2か月ぶり安値更新のBAT(ベーシック アテンション トークン)、下値の目途は?

Daily Market Report 2022/5/9

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市場のリスクオフに押され、2か月ぶり安値圏へ

BAT/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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上図は、BAT/JPYの日足チャート(期間:2022/1/23~現在)である。

今年2月以降のBAT/JPYは売買の手掛かりとなりうるBAT特有の材料に欠け、他のリスク資産にも通ずるようなファンダメンタルズに振り回される展開となったようだ。

主なファンダメンタルズはロシアによるウクライナ侵攻と米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げを挙げることができよう。

ロシアによるウクライナ侵攻が発生した2/24では、BAT/JPYで年初来安値を更新(63.101円)する急落となり、その翌週にかけては各国の対ロシア制裁の発表やその影響を見極めようとする動きなどから、ボラタイルな値動きとなった。

3月に入り、ロシア-ウクライナ間の停戦協議進展への期待からリスクオフが後退するなか、3/15~16に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.25%の利上げを決定した。

多くの市場参加者の予想通りだったことや、FRB議長が「早ければ次回5月の会合」で保有資産を縮小する量的引き締め(QT)を決めると表明し、先行き不透明感が和らいだことも好感され、上昇基調となった。

しかし、4月に入り、ウクライナの停戦期待が後退したことや、利上げが0.75%幅となる可能性への思惑から、市場のリスクオフは再燃したようだ。

5月のFOMC政策発表では0.75%幅の可能性は後退し、0.5%の利上げが決定したことから5/4の米国株式市場では反発して引けたものの、翌日に上げ幅を全て打ち消す下落となり、BAT/JPYもあわせて下落を再開している。

直近、昨日5/8には2か月ぶり安値を更新(68.529円)しており、下値を模索する展開となっている。今回は、テクニカル分析を用いて、BAT/JPYの下値の目途を探ってみる。

<上昇シナリオ>:昨日発生したタートルスープを足場に反発、そのままトレンド転換へ

BAT/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上昇シナリオは、「タートルスープ」の発生を根拠として、83円、87円付近の主要レジスタンスを攻略していく展開を想定するものになる(※)。
(※)タートルスープ…米国の先物トレーダーであるリンダ・ブラッドフォード・ラシュキの開発した逆張り投資法。日本では、1999年の「魔術師リンダ・ラリーの短期売買入門」の第4章にて紹介され、注目を集めた。

相場の下落から上昇へと転換する場合の「タートルスープ」は、次の2点が条件となる。

①当日を含めた過去20日間の最安値を更新すること
②直近安値は当日を含めた4営業日以前であること

現在のBAT/JPYについて、5/8を起点とする「タートルスープ」の条件を満たしているかを検証すると、

条件①については、当日を含めた過去20営業日(4/11以降)の安値が5/1につけた69.726円であり、これを5/8の下落(68.529円)で下回っていることから、満たしているといえる。

条件②については、当日を含めた4営業日の安値は5/6の70.890円であるが、5/1につけた安値(69.726円)を上回っているため、満たしているといえる。

BAT/JPYが「タートルスープ」を満たしていることから、5/8(黄矢印)を下値に反発し、白矢印のような上昇シナリオが推測できるだろう。

次に、上値の目処を考える。

現状としてはFOMCを契機とした5/4の上昇分を5/5の下落で打ち消しており、ここでつけた84.127円の高値が意識されやすく、80円台前半から戻り売りに押されやすいと想定される。

一方で、一大ファンダメンタルズともいえるこの時の高値を上抜けることが出来れば、相場心理も好転したともいえ、100円を目指す展開も考えられる。

テクニカル的にも、4/28の反発時につけた87.870円を抜けることが出来れば、4/21の103.235円の高値までレジスタンスの節目となるの価格が存在しないため、大幅高も視野に入りうるだろう。

BAT自体に特有の悪材料が挙がっていないことからも見直し買いの動きも想定されやすいのではないだろうか。

あわせて、「タートルスープ」の条件が否定される状況を考えよう(「タートルスープ」ではシナリオを見直すラインの設定が求められている)。

上図では、約10%高となった5/4の上昇をBAT/JPYで一日に発生しうるボラティリティと鑑み、現在の価格水準から約10%安となる63円を記載している。

特に、付近の63.101円には2/24の年初来安値が存在し、それ以下の価格帯は昨年9/30以来つけていないことから、買い支えとなるサポートの目安材料に乏しく、真空地帯ともいえる点には注意しておきたい。

また、次に述べる下落シナリオでも下値の目処について触れたので、あわせて参照されたい。

<下落シナリオ>:「ブラックスワン」の買い控えで55円~58円付近まで下値模索

BAT/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図、BAT/JPYの日足チャートでは、ハーモニックパターン「ブラックスワン」を描画させている(※)。
※ハーモニックパターン…フィボナッチ比率を用いて相場の転換点を探るテクニカル分析の一種。上図は新種のパターンの一種で「ブラックスワン」と呼ばれる。

「ブラックスワン」の成立要件は、以下の4点となる。

・条件1.(B)は、(X)-(A)からの138.2 – 261.8%エクステンション(上図では160.5%(※))。
(※)(A)-(B)の値幅(33.509円)/(X)-(A)の値幅(20.877円)≒160.5%となる。

・条件2.(C)は、(A)-(B)の23.6% – 50.0%リトレースメント(上図では43.0%)。

・条件3.下値のターゲットプライスとなる(D)は、(X)-(A)の112.8% – 261.8%エクステンション
⇒上図では、58.808円を下回るとき、112.8%以上となり、その場合は満たしている
55.325円(後述)となる場合は129.5%となり、同様に満たしている。

・条件4.(D)について、(B)-(C)の112.8%-200.0%エクステンション
⇒上図では、55.325円を上回るとき、200%以下となり、その場合は満たしている。
前述の58.808円となる場合は、175.8%となり、満たしているといえる。

以上を踏まえると、BAT/JPYが「ブラックスワン」である場合の値動きとしては、①55.325円~58.808円の範囲のターゲットプライスを目指して下落し、②ターゲットプライスの価格帯で反発し、上昇となると考えることができるだろう。

ここで、反転ポイントが前項の上昇シナリオの価格帯よりも約10%低いことから、このパターンに着目したテクニカル分析を主とする市場参加者の買い控えが想定され、現在の下落が続く可能性にも注意されたい。

また、ファンダメンタルズでみても、FRBの0.75%の利上げの線は遠のいたものの、0.5%の利上げでは現在のインフレ懸念を払拭できないとする市場参加者の見方もあり、依然として下値模索の展開は警戒しておきたいところだ。

 (5/8 午後10:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

5/8の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.32%、中央値は-0.34%、標準偏差は2.77%となった。

最大上昇銘柄はXTZ/JPY5.37%、最大下落銘柄はXYM/JPY-7.12%

最大上昇銘柄のXTZ/JPYは、334.54円でクローズ。オープンから一時間ほどの間に大きく下げたものの、その後反転、そのまま堅調な値動きとなった。今後の展開としては340円のラインをこなすことができるかに注目したい。

最大下落銘柄のXYM/JPYは、4日続落。オープンから下落を続け、深夜2時台のBTC/JPYの下落に連れ添う形で安値9.44円をつけた。その後は反転し10円台を目指すかに思えたがつけることなく下落、9.72円でクローズとなった。

心理的な抵抗線である10円を割り込んだことを踏まえると、このラインがレジスタンスとして機能することが考えられるため、まずは10円台へのしっかりとした復帰、そのまま地固めができるかに注目したい。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

5/8の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は6.70%、中央値は6.59%、標準偏差は1.87%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXYM/JPY12.14%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETC/JPY4.73%となった。

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2022-05-09
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