サイバー攻撃による暗号資産価格への影響-過去の事例から振り返る

Daily Market Report 2022/4/7

Thomson Reuters、ITmedia、CoinDesk、CoinDesk Japan、CoinPost、ZDNet Japanより当社作成

この表は、暗号資産に関する過去発生したサイバー攻撃による被害総額となる。

一度の被害が200億円を超えるサイバー攻撃は、暗号資産の価格にどのような影響を与えたのだろうか? 本日はその影響について分析してみる。

直近では2022/3/29、サイバー攻撃によって人気ブロックチェーンゲーム「アクシーインフィニティ」のサイドチェーン「Ronin Network」において約750億円相当の被害を受けた。これは、暗号資産の流出事件としても過去最大級だ。

本件の影響により、ハッキング被害にあったRonin Networkで使用されるネイティブ暗号資産RONIN(ローニン)の価格は25%以上も下落した。

また、本件ほど大規模な事案は過去の例を見ても少ないものの、上図の通り日本円にして50億円以上もの被害が発生したケースは数多く存在している。

本稿では、サイバー攻撃による暗号資産価格への影響を過去の事例と共に記載する。

1. RONIN Networkへのサイバー攻撃の事例

CoinGecko(https://www.coingecko.com/)より当社作成

まずは、今回起きたRONIN Networkへのサイバー攻撃による価格の推移を見てみよう。

上図は、各銘柄JPYペア(終値)をベースにRONIN Networkへのサイバー攻撃が行われた前日である2022/3/28を100として指数化したグラフだ。

RONIN Networkの運営によると、サイバー攻撃によって奪われた暗号資産は主にETH(イーサリアム)とUSDC(USDコイン)とされており、RONIN NetworkのネイティブトークンRONINは奪われていないと公表している。

しかし、上図が示す通り、ハッキングにて奪われたETHの価格への影響はほとんど無く、明確に価格への影響を受けた銘柄はRONINのみであった。

なお、RONIN Networkとサービス面で繋がりのあるAXS(アクシーインフィニティ)ですら価格への影響は受けていない。

これは、サイバー攻撃を受けたRONIN Network側のセキュリティの脆弱性を突かれた事件であったためRONINの価格へ影響したものの、盗難被害にあったETHについては、ETH側のセキュリティの問題ではなかったため、価格には影響を及ぼさなかったと考えられるだろう。

2. Poly Networkへのサイバー攻撃の事例

次に、Poly Networkへのサイバー攻撃の事例を振り返る。

この事件では2021/8/10頃、中国のクロスチェーンDeFiである「Poly Network」が日本円にして約733億円相当の暗号資産が盗難被害にあった

事件当時は過去最大の被害額が発生した事例ではあるが、奇妙な事にハッカーは盗難した暗号資産を返却し、ハッカーとしての実力を試すために事件を起こしたとの声明を出していた。

CoinGecko(https://www.coingecko.com/)より当社作成

上図は、各銘柄JPYペア(終値)をベースにPoly Networkへのサイバー攻撃が行われた前日である2021/8/9を100として指数化したグラフだ。

本件で盗難を受けた銘柄は主にETH、BNB(バイナンスコイン)、DOGE(ドージコイン)、SHIB(柴犬コイン)、MATIC(ポリゴン)とされているが、上図の通り、本件の影響によって明確に暗号資産へ影響を及ぼし、価格が下落した銘柄はなかったといえるだろう。
(※なお、「Poly Network」は中国のDeFi、「Polygon」はインド発の暗号資産であり、関連性はない。)

サイバー攻撃によって暗号資産が流出する事例も数多く存在するものの、これらRONIN NetworkとPoly Networkの事例から、「なぜ」、「どこで」、「どのように」、流出したかによってどの暗号資産の価格へ影響するかは大きく変わるといえるだろう。

3. 国内A社へのサイバー攻撃の事例

暗号資産自体の脆弱性を突かれた事件ではないにもかかわらず、盗難被害にあった銘柄が一時価格を下落した事例も存在する。

CoinGecko(https://www.coingecko.com/)より当社作成

上図は、各銘柄JPYペア(終値)をベースに国内A社へのサイバー攻撃が行われた前日である2018/1/24(世界標準時UTC+0)を100として指数化したグラフだ。

始めに補足事項として、この時期は「暗号資産の冬(Crypto Winter)」と呼ばれる弱気相場に突入していた事を念頭に置きたい。

本件では、暗号資産のXEM(ネム)が国内A社へのサイバー攻撃によって盗難され、被害にあった数量は発行総量の6%にも及んだ

これは、単一の暗号資産としての被害総量としては非常に多く、例として2022/3/29にサイバー攻撃による被害額を更新したRONIN Networkにて盗難された173,600ETHですら、ETHの発行総量として見ると0.14%に過ぎない事から6%という総量が非常に多い事がわかる。

この事件翌日、BTC(ビットコイン)やETHの価格の下落幅と比較してもXEMは大きく下落しており、これはサイバー攻撃による価格変動と見なしてよいだろう。

事件の翌々日に価格は反発したものの、その後XEMの価格は盗難されなかったBTC、ETH、XRP(リップル)等の暗号資産と比較して伸び悩んでおり、事件の影響が伺えよう。

この事例のように、暗号資産側の問題ではなくともサイバー攻撃によって奪われた暗号資産の総量が多い場合は、長期的に価格を下落する要因になりえる事がわかる。

サイバー攻撃の報道による暗号資産価格の影響のまとめ

サイバー攻撃による暗号資産の盗難事件はたびたび話題となり、被害額によっては世間的にも大きく報じられることもあるが、過去の事例と価格を比較すると市場への影響力としては、米国の政策金利の利上げ報道やウクライナ危機による影響よりも低いといえるだろう。

ただし、2022/3/29に発生したRONIN Networkの事例のように、暗号資産取引所ではなく、暗号資産を発行する団体へのサイバー攻撃が行われるケースにおいては、そこで発行される暗号資産が盗難されなくとも価格を大きく下げる場合もあることは意識しておきたい。

さらに今後、過去の事例に当てはまらないような大きなサイバー攻撃が発生する可能性も考えられよう。

しかし、一般的な傾向としては暗号資産の盗難報道が流れた場合、状況を知らないまま自身が保有する暗号資産を売却するよりも、まずは報道の内容や真偽を確かめ、状況を把握してから行動することで、より適切な対処ができるだろう

(4/6 午後2:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

4/6の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-7.78%、中央値は-8.14%、標準偏差は2.48%となった。

最小下落銘柄はMONA/JPY-2.97%、最大下落銘柄はETC/JPY-12.78%

当社取扱銘柄は全面安となった。

日中の暗号資産市場はFOMC議事録の公開への警戒感から上値重い展開となった。

一部の銘柄は4/7午前3時の公開直後に反発したが、0.5%の利上げを1回以上、実施する可能性が言及されるなど、インフレの封じ込めを急ぐ姿勢が鮮明な内容だったこともあり(4/7 日本経済新聞)、鈍い戻りとなった。

最小下落銘柄のMONA/JPYは、ボラティリティも最も低い銘柄となった。

値動き自体は他銘柄と同じく概ね下落基調だったが、MONA/JPYの取引のほとんどが日本国内に限られることもあり、暗号資産市場全体の下落には反応しづらかったようだ。

最大下落銘柄のETC/JPYは、大幅に続落。

ETC/JPYは米国の個人投資家に人気のアプリで上場している銘柄だが、今回のFOMC議事録は、同じく個人投資家に人気の高いハイテク株やグロース株の下押し要因にもなった。株式市場で損失を抱えた投資家がETC/JPYを投げたこともまた、下落加速の要因になったといえそうだ。

24時間ボラティリティ(%)

社内データより作成

4/6の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は11.87%、中央値は11.70%、標準偏差は3.32%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPY17.59%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPY6.30%となった。

◆本資料においてお客様に提供される情報は、株式会社DMM Bitcoinが収集・作成等したものです。

◆本資料は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。

◆本資料は、本資料作成時点で株式会社DMM Bitcoinが信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。

◆本資料の情報によって生じたいかなる損害についても、株式会社DMM Bitcoinおよび本情報提供者は一切の責任を負いません。

◆本資料のグラフ・データ等は、過去の実績または作成時点での見通し・分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。

◆本資料に関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、株式会社DMM Bitcoinまたは権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。

2022-04-07
ページTOPへ