ETH(イーサリアム)-成長の鍵を握る隠された好材料に注目!-
Daily Market Report 2022/3/24
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2~3月の暗号資産市場は、米国の政策金利引き上げやウクライナ危機などの影響により、大きな上昇と下落を繰り返す状況が続いている。
CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/)より当社作成
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上図はETH/USDが最高値を記録した2021/11/1~2022/3/22までの価格推移を表したグラフだ。
ETHについて短期的に見ると、数日ごとに激しい上昇や下落を繰り返すような状況であるが、過去最高値を付けた昨年11月から現在までの動きとして見ると、徐々に下落傾向にある事がわかる。
実際、2~3月において、高いボラティリティの要因として挙げられる米国の政策金利引き上げやウクライナ危機による市場へのインパクトもあるようで、ETHは方向感を失っている状況だ。
しかし、下落基調から方向感なく動いているETHであるが、ファンダメンタルズに目を転じると、長期目線では好材料も存在する。
本稿では、ETH成長の鍵を握る隠された好材料に注目してみたい。
・直近のトピック
まずは、直近のトピックをおさらいしてみる。
大きなトピックとしては3/15、イーサリアムブロックチェーンのPoWからPoSへの移行を目的とした大型アップデート「The Merge」がイーサリアムのテストネット「Kiln」で稼働した事が挙げられる(3/14 Ethereum Foundation blog)。
正確には、昨年12月末にもテストネット「Kintsugi」でThe Mergeのテストは行われていたが、今回のKilnテストネットの稼働によりイーサリアムブロックチェーンがThe Mergeアップデートに至るまでの最終段階に入ったと評価できるのではないか。
度々延期され、ようやく実装段階にまで近づいたPoSへの移行は、過去のマーケットレポート(Daily Market Report 2022/2/24「イーサリアム(ETH)-1月の市況からみる今後の展望-」)でも解説した通り、今後のETHの価格に大きな影響を与えると考えられるだろう。
また、イーサリアムブロックチェーンのPoS移行が望まれる理由の一つとして、EUにてPoW禁止案が浮上した事も挙げられる。
3/14、欧州議会で取り扱われたMiCA(暗号資産市場規制)の法案において、EU内でコンセンサスアルゴリズムとしてPoWを採用する銘柄に対し、環境への負担を理由としてマイニング及び取引を禁止する条項が含まれていた。
結果として、この条項は棄却されたものの、「PoWが禁止されなかった=PoWへの風当たりが弱まった」わけではない。
実際、本議会では、「二酸化炭素排出量の抑制のため、2025年までに暗号資産市場はマイニングを含めて持続可能な体系を構築する事」で終決しており、今後、唐突にPoW銘柄の規制・禁止案が浮上する可能性も考えられる。
このような理由から、イーサリアムブロックチェーンもできるだけ早くPoSへの移行が求められる中、移行へのステップが最終段階に到達した事はポジティブな材料といえるだろう。
・今後のトピック
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次にETHの成長の鍵を握る今後のトピックをみてみる。
まず、4/18~4/25にかけてオランダのアムステルダムで開催されるオフラインイベント「Devconnect」が挙げられる。
イーサリアムのオフラインイベントの前例として、2019年に大阪で開催された「Devcon 5」では、当時としては珍しかったNFTの配布が行われていた事もあり、今回開催されるDevconnectでも新しい技術が発表される可能性もあるだろう。
また、イーサリアム財団からDevconnectについて、「イーサリアムを改善するために必要な技術的に高度な議論やコミュニケーションを促進する場となる事を目的とし、1週間の期間中に個々のプロジェクト、チーム、または個人によって様々なイベントが行われる」とアナウンスされている。
プログラムによると、少人数で行われるワークショップから800人程度が集まるETHハッカソンまで企画されており、このイベント内で将来的にETHの価格上昇の要因となる有望な技術が発表される可能性も考えられる。
続いて、6/9~6/12にかけて開催予定のオフラインイベント「Consensus 2022」も注目だ。
1年に1度開催される当イベントは2020年と2021年はコロナウイルスの影響によりオンラインでの開催となっていたが、今年は3年ぶりに米国テキサス州でのオフライン開催が予定されている。
イベントのテーマとしては暗号資産やブロックチェーンだけでなく、Web3.0やメタバース、NFTといった次世代の技術に関するものも題材となっており、ETHに限らず暗号資産全体としても注目に値するイベントとなるだろう。
・いずれのイベントも短期的に価格を上昇させる要因にはならない事に注意
もちろん、前述したイベントで新たな技術が発表されたとしても、すぐさまイーサリアムエコシステムに影響を与えるものではく、ETHの価格へ直ちに反映されるとはいいづらい。
CoinMarketCap(https://coinmarketcap.com/)より当社作成
上図は、規模の大きいイーサリアム関連イベントにおける開催前日の終値と終了日までの終値の推移を示したグラフだ。
グラフが示す通り、3~5日のイベント開催期間において、中にはETHの価格上昇に繋がるケースも存在するが、基本的にイベントの開催による価格への影響は軽微といえる。
とりわけ、現在の状況からは、ウクライナ危機や米国の政策金利の報道による影響が暗号資産市場全体に与える影響も考慮に入れる必要がある。
また、ETHの競合相手とされる、通称「イーサリアムキラー」銘柄のADA(カルダノ)やSOL(ソラナ)は、共に時価評価ランキングで8位と9位に入ってきており、ETHの存在を脅かす可能性にも留意する必要があるだろう。
よって、DevconnectとConsensus 2022で競合暗号資産を凌駕する魅力が発見されなければ、引き続きETHの下落基調は継続する可能性が高くなるかもしれない。
最後に、今回取り上げたDevconnectとConsensus 2022はコロナ禍の中でも珍しい規模の大きいオフラインイベントであることに注目したい。
特にConsensus 2022は、開催時期としてもイーサリアムのPoS移行が予定される6月に重なるため、当イベントで成長の鍵を握る好材料の発表があればETHの魅力が再評価され、下落基調の終焉と、価格は再度高値を目指す可能性もあるだろう。
(3/23 午後6:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
3/23の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-0.04%、中央値は-0.09%、標準偏差は3.25%となった。
最大上昇銘柄はOMG/JPYの6.96%、最大下落銘柄はBCH/JPYの-5.34%。
最大上昇銘柄のOMG/JPYは2/8以来の高値を記録し、100日単純移動平均線を上方ブレイクした。
最大下落銘柄のBCH/JPYは反落。3/22には17%上昇を記録したが、その反動で売り圧力が強くなったようだ。
・24時間ボラティリティ(%)
社内データより作成
3/23の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.04%、中央値は5.72%、標準偏差は3.11%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPYで13.86%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで2.66%となった。
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