大統領選を経た韓国市場。QTUM(クアンタム)の注目度が急上昇?

Daily Market Report 2022/3/22

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QTUM、XLMの37%がKRW(ウォン)建て

CryptoCompare(https://www.cryptocompare.com/)
3/21午後6:00に取得したデータより、当社作成

上図は、当社取扱い銘柄のうち、KRW(ウォン)建てのシェアの高い銘柄順にピックアップしたランキングである。

ランキングの「銘柄ペアに占めるKRWの割合」をみると、12銘柄中10銘柄が3/7時点(3/8のレポート参照)よりも増加しており、韓国国内(※)の暗号資産への注目度が高まっていることが伺える。
(※)韓国では暗号資産規制から国外との送受金と、国外投資家による韓国内取引所の口座開設が制限されていることから、KRW建ての取引は韓国国内にほぼ限られると推察できるため。

注目の背景にあるのは、韓国大統領選における「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソギョル)氏の当選が挙げられるだろう。尹氏は公約に暗号資産の規制緩和や、課税基準の引き上げを公約に掲げていたことから、暗号資産の推進に積極的とされている(3/10 CoinPost)。

直近では、2022年に開始される予定だった暗号資産課税を2024年まで延期することを検討していることが報じられており(3/19 CoinPost)、韓国国内の暗号資産における市場心理の好転がランキングに反映されたとみることもできそうだ。

再び上図の最新のランキングをみると、QTUMが急上昇し、1位に繰り上がっていることがわかる。

しかし、QTUMについて、特に明確な報道はなく、注目の内容がQTUMに対しての好意的なものによるのかは気になるところだ。

そこで、当社レート(国内レート)と韓国取引所の価格乖離に着目し、買い/売りに傾いているのか検討してみよう。

韓国国内の売買の方向は中立?

QTUM/JPY日足ベース Tradingviewより当社作成(期間:2021.7.1~2022.3.20)
QTUM(クアンタム)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2021年7月から現在までの当社QTUM/JPY終値(桃線)と韓国大手取引所2社のQTUM/KRWの平均価格を当時のKRW/JPYレートで円換算したもの(白線)、およびそれらの乖離率(下部の緑図)である。

韓国取引所における上方向の価格乖離は、韓国の市場参加者の買い意欲を表しているといえ、下方向の価格乖離は売り優勢になったとも捉えることができる。

上図をみると、QTUMの上方乖離は2021年11月下旬に10%近くまで上昇したが、その後は緩やかに減少している。2022年2月下旬には-1.7%のディスカウントとなっており、韓国の投資家は売り優勢だったといえる。

3月以降は、2月よりも下方乖離していないものの、上方乖離もしておらず、国内取引所との差は概ね±2%以内に収まっている。

前項のランキングより、QTUMの注目度が上がっていることは確からしいが、売買の方向感は定まっていないといえるだろう。

このことから、直近の反発について何らかの好材料があるとは断定もできず、それまで売りこまれていた分の調整による上昇(≒単なる需給によるもの)とも推察することができそうだ。

最後に、テクニカル分析の観点からハーモニックパターンを用いて、今後の展開を探ってみる。

上値の目処は「クラブ」に注目

QTUM/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図では、QTUM/JPYの日足チャートにハーモニックパターン「クラブ」(※)を描画している。
(※)ハーモニックパターン…フィボナッチ比率を用いて目標価格となる(D)点を算出するテクニカル手法。上図はカニのハサミに似ていることから「クラブ」と呼ばれる

「クラブ」の成立要件は、以下のとおりとなる。

条件1.(B)は、(X)-(A)の38.2% – 61.8%リトレースメント(上図では62.26%)(※))
(※)(A)-(B)の値幅(222.488円)/(X)-(A)の値幅(357.331円)≒62.26%となる
条件2.(C)は、(A)-(B)の38.2% – 88.6%リトレースメント(上図では68.0%)
条件3.(D)は、(X)-(A)の161.8%リトレースメント(上図では1124.809円となる)
条件4.(D)が反転のポイントとなり、このとき(B)-(C)の261.8%-361.8%プロジェクションとなる(上図、1124.809円の場合は334.9%となり、満たしている)

QTUM/JPYに「クラブ」を当てはめるとき、条件2~4は満たしているが、条件1の(B)点については理想値の61.8%よりも+0.46%超過している点には注意しておきたい。対円よりも取引高の多い対USDでの価格を当てはめて精査するのも一つの策となるだろう。

これを誤差と捉えて、「クラブ」である場合の値動きは、以下の通りとなる。

1.<上昇局面>(期間:3/7-)

3/7安値であるC点からの反発を起点とした上昇である。その後3/10に失速し、4日間続落したが、3/14にC点よりも高い位置で反発できており、これをテクニカル的な反発のサインでもある「ダブルボトム」とする見方もできるだろう。

実際に3/20の上昇では、それまでレジスタンスとして意識されていた3/1高値の(B)点を上抜け、大幅高となった。また、3/21の下押し時には(B)点をサポートとして反発する局面もあり、上昇トレンドへの転換も視野に入れておきたい。

次の上値の目処は2/17高値の(X)点であり、これを上抜けた場合に3/20同様の大幅高となりうるかが注目される。

2.<下落局面>

(D)点の価格帯で失速し、(X)点→(B)点→(C)点のように、それまでの節目となる価格を目掛けて下落する。

また、上昇局面で失速し、(B)点の位置を再び下回った場合には、(C)点に向けた下落を警戒したほうがよいだろう。

一方で、(D)点を抜けることに成功した場合は、強い相場であるとも考えられる。その場合は、週足単位でのチャート分析も必要といえそうだ。

(3/21 午後9:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

3/21の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は2.02%、中央値は1.07%、標準偏差は3.40%となった。

最大上昇銘柄はXEM/JPY8.42%、最大下落銘柄はOMG/JPY-3.12%

最大上昇銘柄のXEM/JPYは10円付近の強固なレジスタンスにぶつかり、反発したようだ。

最大下落銘柄のOMG/JPYは安値542円のラインと、3/20につけた高値と直近の高値を結んだラインとで三角保合いを形成しており、価格が煮詰まり感を見せている。

24時間 ボラティリティ(%)

社内データより作成

3/21の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.49%、中央値は6.76%、標準偏差は2.74%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXEM/JPY13.87%

一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY3.37%となった。

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2022-03-22
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