年初来から半値になったENJ(エンジンコイン)、気になる今後の展開は?

Daily Market Report 2022/3/15

_

暗号資産市場全体が軟調推移

CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
ENJ(エンジンコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2022/1/1から執筆時点(3/14)までの当社取り扱い銘柄の騰落率ランキングと、2021/11/1から執筆時点までのENJ/JPYの出来高(棒グラフ)と終値(折れ線グラフ)を表したものである。

直近では、ロシアのウクライナへの軍事侵攻による地政学的リスクの高まりが各国株式市場をはじめ、金融市場全般に影を落としている。

暗号資産市場も例外ではなく、上図のランキングにおいても全ての銘柄の騰落率が年初来マイナス圏に沈んでおり、市場全体が軟調な値動きを辿っていることがわかる。

そうした中、下落率が-8%と最も小さいXRP(リップル)では、XRPを管理しているリップル社と米証券取引委員会との係争において、リップル社に有利な展開が見られたこと(3/12 @FilanLaw)が材料視されXRPは急伸し、その他銘柄に比べて下落率が小さくなったと考えられるだろう。

次いで、下落率の小さい銘柄はBTC(ビットコイン)の-19%であるが、BTCはウクライナ危機に起因して、ルーブル(ロシア)やフリヴニャ(ウクライナ)建て取引が増加したとの指摘(3/2 CoinPost)もあり、実需要因がBTCの価格の下支えの一因になったものと捉えることもできるだろう。

暗号資産市場全体が下落に向かう中でも、ポジティブな独自材料が見られる銘柄には一定程度の需要が下支えとなり、下落率の縮小に繋がったと考えられる。

現状は特に暗号資産市場全体に影響を与える事象とともに、個別銘柄に影響を与えるファンダメンタルズ(※)についての分析が重要な局面となっている。
※ファンダメンタルズ分析とは、世界の景気動向や各国の経済政策などと言った外的要因と、主として分析対象の資産に関係する内的要因を勘案し、将来の価格予測を行う分析手法である。

一方で、下落率の最も大きい銘柄に目を転じると、ENJ(エンジンコイン)が目立つ。ENJは、当社取り扱い銘柄で唯一、年初来から-50%を超える下落率となっている。

ここで、ENJの出来高と終値の価格推移を確認すると、2021/11/25に出来高と価格がピークを付けた以後、両者揃って減少・下落に転じている。

今年に入ってからは、押しなべて出来高が250億円以下と、直近ピーク時の約10分の1程度まで減少し、同時に価格も軟調推移を辿っているといえる。

ENJがさえない展開となっている理由の一つとして、ゲームトークンとしての性質にあるかもしれない。昨今ではNFTやメタバースなどが注目され、ENJの展開するプラットフォームに日が当たりにくい状況が、価格に反映されていると考えることができるのではないだろうか。

足元での世界情勢不安や2021年1月初めのENJ/JPYの水準が10円台であったことを考えると、まだ高い水準にあると見ることもでき、やや買いにくい状況であるとも推測されるだろう。

そのため、今後も世界情勢が好転せず、出来高が振るわない状況が継続する場合、新規買いでの参入が限られ、価格がじわじわと下落を続ける可能性もあるだろう。

価格動向を見る上で出来高推移にも注目をしておきたい。

次にテクニカル面で、上下シナリオについて考察する。

上昇シナリオ:スロー・ストキャスティクスでゴールデンクロス出現

ENJ/JPY 週足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、スロー・ストキャスティクスフィボナッチリトレースメント(2021/11/22週-2022/2/21週下落)を表示させたENJ/JPYの週足チャートである(2021年5月~執筆時点)。

現在週足では、スロー・ストキャスティクスにおいて、売られすぎ水準である20以下において、%D(上図 赤破線)がSlow%D(上図 緑実線)を下から上に抜けるゴールデンクロスが形成(上図 赤丸)され、反転シグナルが点灯している。

過去には、2021/7/5週付近(上図 白丸)で同様のシグナルが点灯しており、その後価格は上昇に向かい、2021/8/30週までで200%を超える上昇相場の入り口となったといえるだろう。

ここから価格が上昇する場合には、上図フィボナッチリトレースメントの38.2%戻し水準とも重なる、1/17週高値283円前後が目先の目処となろうか。

そこから、一段上の半値戻し水準である330円台は、ゴールデンクロスが成立した3/7週始値155円から200%超上昇した水準となる。

必ずしも価格が過去の値動きを踏襲するわけではないが、前回の上昇の際には200%上昇で一旦頭打ちとなっていることや、2倍というキリの良さから今回も意識される可能性もあろう。

しかし、上述の半値戻し水準もしっかりと回復できるならば、上昇に勢いがあると判断される可能性もあり、全戻し水準である2021/11/22週高値531.72円を目指した上昇相場となる展開を意識したい。

下落シナリオ:日足では上昇の芽が見られず…

ENJ/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上記は、ENJ/JPY の日足チャート(2022/1~執筆時点)に、一目均衡表と100日・200日移動平均線(上図 順に黄色・白線)を図示したものである。

下落シナリオは、テクニカル面での下落サインが意識され下方向に向かうシナリオである。

現在、ENJ/JPYの日足では、一目均衡表で三役逆転が、100日・200日移動平均線の間でデッドクロスが成立しており、強い下落サインが複数点灯している。

チャートを確認すると、三役逆転が成立した2/19以降、上値は一目均衡表・基準線付近でキャップされ、雲下限にすら届いていない。

加えて3月上旬からは、ほど近い転換線さえも上回ることができなくなっており、下押し圧力の強さを感じる相場状況といえるだろう。

下落が継続する場合、まずは直近でサポートとなっている145円ラインを明確に下回るかどうかがポイントとなろう。

終値で下回る場合には、2/24の安値水準でもある節目の125円付近を意識した下落が進行することとなるだろう。

もし勢いが強く125円を簡単に下抜ける場合にはいよいよ大台の100円割れ水準も意識されるそうだ。

ただし、昨年4月以降で終値で100円割れの水準となったのは5/23・6/22のみで、滞空時間が非常に短く、強いサポートとして意識されていることが伺える。

同水準では再度反発の起点となる可能性も考えられ、上下どちらの方向に向くのか見極める必要があるかもしれない。

(3/15 午前6:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

3/14の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.56%、中央値は-0.43%、標準偏差は1.24%となった。

最大上昇銘柄はBAT/JPY0.93%、最大下落銘柄はXLM/JPY-3.44%

最大上昇銘柄のBAT/JPYは、行って来いの値動き。14日早朝に80円の節目を割り込むと、9時過ぎまで下落が継続し一時76円台まで下落した。

しかし、13日安値でサポートされたことで、切り返しを見せると欧州時間序盤までに早朝の下落分を取り戻す事となった。

その後は材料がなく小動きになったものの、80円台を維持する底堅い動きを見せた。

最大下落銘柄のXLM/JPYは、20-21円のレンジで方向感のない値動き。

早朝に下落が加速し、21円を割り込み一時20円割れ目前まで下落した。

しかし、20円を下回らなかったことから一旦買い戻しが先行すると21円手前まで上昇することとなった。

ただ、早朝の水準を取り戻すには至らず、21円台への再浮上に失敗したことで、その後は手がかりが不足する中、20-21円の間で方向感をなくした。

24時間 ボラティリティ(%)

社内データより作成

3/14の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は5.95 %、中央値は5.78%、標準偏差は0.75%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はBAT/JPY7.73%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はENJ/JPY4.70%となった。

◆本資料においてお客様に提供される情報は、株式会社DMM Bitcoinが収集・作成等したものです。

◆本資料は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。

◆本資料は、本資料作成時点で株式会社DMM Bitcoinが信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。

◆本資料の情報によって生じたいかなる損害についても、株式会社DMM Bitcoinおよび本情報提供者は一切の責任を負いません。

◆本資料のグラフ・データ等は、過去の実績または作成時点での見通し・分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。

◆本資料に関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、株式会社DMM Bitcoinまたは権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。

2022-03-15
ページTOPへ