比較チャートでみるXLM(ステラ・ルーメン)とXRP(リップル)
Daily Market Report 2022/2/25
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・二大ファンダメンタルズはCBDCとウクライナ情勢
比較チャート(2020.12.5- 現在)当社取引ツールより作成
XLM(ステラ・ルーメン)のチャート・価格情報はこちら
XRP(リップル)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2020/12/5を起点とするXLMとXRP, BTC, ETHの対円比較チャートである。
2021年前半のXLM/JPYは大きく値を伸ばし、前年12/5から半年で+300%のパフォーマンスを発揮した。
当時の上昇要因として、ヘッジファンドの帝王と称されるレイ・ダリオ氏にBTCが「ものすごい発明」と投資対象として評価されたことや(2021/1/29 Bloomberg)、DeFi、NFTに関連した基盤をもつETHへの注目など、他の市場参加者が暗号資産に目を向け始めたことが挙げられる。
XLM特有の材料としては、ウクライナ政府のCBDC(中央銀行デジタル通貨)開発基盤として、ステラブロックチェーンが採用された点にも注目しておきたい(2021/1/5 Coindesk JAPAN)。
ここで、同期間のXRPをみると、3銘柄に水を開けられているが、これは前年12/22の米証券取引委員会(SEC)によるリップル社提訴の影響があったと考えられる(2020/12/22 Bloomberg)。
以上を踏まえると、暗号資産市場にトレンドが発生している中でも、銘柄それぞれ特有のファンダメンタルズが値動きに作用していたことがわかるだろう。
一方、2021年5月の急落を経た、2021年後半からのXLM、XRPは概ね似通った動きとみることができる。
上図下部の相関分析(28日)では、XLMとその他3銘柄の相関を示しており、XRPをみると2021年は4月までに2度、0.0(無相関)に近づいたものの、いずれも0.0に触れてはおらず、逆に9月(黄矢印)では他の2銘柄よりも1.0に近いことから、XLMはXRPに近い動きだったことが伺えるだろう。
当時はXLM、XRPとも売買の手がかりとなりうる特有の報道が少なかったため、XLMがXRPと同じく決済系の暗号資産であるという特性のみが着目されやすかったといえるだろうか。このため、一方が動くと連れ高・連れ安になりやすかったとみることもできそうだ。
11月に入ると、再びXLMとXRPの相関が切れ始め、0.28まで下降するが、これは11/9にむけたXRP特有の好材料「Ripple Swell Global」が背景にあったと考えられる。
また、12月中旬からはXRPを含め、他の銘柄との相関が切れ始めたが、XLMをCBDCに採用したウクライナ情勢の緊迫化が懸念要素として意識された可能性もあろう。
直近では、XRPが他の2銘柄よりもXLMとの相関が切れ始めているが、これはドイツに拠点を置くデジタル・ユーロ協会がCBDC開発のため、リップル社との提携を発表したことが要因ともいえよう(2/14 CoinPost)。
これらのことから、XLM、XRPの価格特性について、以下3点を推測した。
・両銘柄ともCBDC採用が好感される
・XLMはウクライナ情勢、XRPは訴訟問題が懸念される
・特有の報道がない限りは決済系の暗号資産としての特性が目立ち、相関性の高い値動きが推察される
次に、直近のXLM、XRPの値動きについて、より短期の比較チャートを用いて確認し、今後の展開を考察する。
・<相関が1.0に近づくシナリオ>
比較チャート(2021.11.30- 現在)当社取引ツールより作成
上図は2021/11/30を起点とするXLMとXRPの対円比較チャートである。
(前述より短期を想定するため、相関分析は14日とした)
まず、直近の両銘柄の位置関係を確認する。
2021/11/30を起点とすると、XLM、XRPとも20%以上、下落しているが、XRPに比べ、XLMの下げ幅が大きい現況といえるだろう。
1/16時点(黄矢印)では同じパフォーマンスだったが、ウクライナ情勢の緊迫化によるリスクオフ時に、XLMがXRPよりも下げたことが確認できる。
その後の反発時では、デジタル・ユーロ協会のCBDC提携が好感されたことで、XRPが大きく戻し、さらなる情勢緊迫化による下落時でもXLMに比べ、CBDC提携が市場参加者の記憶に新しいXRPは値を保ちやすかったとみることもできよう。
次に、今後の展開を考える。
相関が1.0に近づくシナリオは、XLM、XRPとも関連した報道がされず、売買の手掛かりに欠ける状況となる場合である。
その場合は黄矢印のように、XLM、XRPが同じパフォーマンスとなる可能性が考えられ、XLMとXRPで逆のポジションを構築する現在の価格差を狙う取引参加者の存在も考えられそうだ。
勿論、一方の銘柄のみに続報が発生し、XLM、XRPが逆相関となった場合には、単一の銘柄を選択する以上にリスクがあるため、注意は必要だろう。
・<相関が1.0から離れるシナリオ>
比較チャート(2021.11.30- 現在)当社取引ツールより作成
相関が1.0から離れるシナリオは、XLM、XRPに関連した続報がなされ、それぞれ銘柄固有の動きをする場合である。
分散投資の観点でいえば、相関性の低い銘柄に投資することは、一定のリスク低減に繋がるといえるため、前述のシナリオとは逆に、XLM、XRPとも同じ方向感で臨む市場参加者の存在が考えやすいともいえるだろう。
その場合のシナリオとしては、次の(A)や(B)が考えられそうだ。
(A)両銘柄とも上昇、または一方の銘柄がもう一方の下落分を補うパフォーマンス
…ウクライナ情勢の緊張緩和や、CBDC採用の進展が考えやすいか
(B)両銘柄とも下落、または一方の銘柄がもう一方の上昇分を打ち消すパフォーマンス
…安全資産へ買いの動きや、暗号資産市場における規制が考えられるか
(A)、(B)いずれにしても、市場参加者は同じ方向感でそれぞれの銘柄に臨むため、加熱したトレンド相場になることも想定し、警戒しておきたいところだ。
(2/24午前3:30時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
2/24の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-0.50%、中央値は-0.41%、標準偏差は2.06%となった。
最大上昇銘柄はBCH/JPYの3.65%、最大下落銘柄はOMG/JPYの-4.59%。
最大上昇銘柄のBCH/JPYは、3日連続の日足陽線となり、一目均衡表の雲下限に近づいた。
最大下落銘柄のOMG/JPYは、444円(日足一目均衡表・基準線、雲下限)でオープンし、2022年最低価格の370円まで下押した。
・24時間 ボラティリティ(%)
社内データより作成
2/24の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は16.17%、中央値は17.08%、標準偏差は2.71%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はBCH/JPYで21.57%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPYで9.98%となった。
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