インフレ高進、市場は焦心。どうなるBTC(ビットコイン)
Daily Market Report 2022/2/15
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・BTC(ビットコイン)、2022年の相場は?
Bloombergより当社作成
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上図は2021/1/1から現在までの暗号資産時価総額とBTC/USDの価格を比較したグラフである。
足元の暗号資産時価総額とBTC/USDともに軟調推移となっており、年初からの騰落率はそれぞれ-15.95%、-10.47%とマイナスの推移である。
暗号資産市況は、BTC/USDが1/21に約半年ぶりとなる34,000ドル台まで下落。米ナスダック指数のハイテク株式が大幅下落といった既存金融の下落の波に押される形で、BTC/USDも値を下げることとなった。
暗号資産は他の金融資産とは相関関係が低いと市場関係者の間で広まっていた定説に反する価格変動となり、マーケットには依然、疑心暗鬼の声が広がっている。
しかし、2月当月にフォーカスを当てると、執筆時点で暗号資産全体の時価総額とBTC/USDの騰落率はそれぞれ、10.35%、9.2%となっており、反発基調であることは事実である。
Bloombergより当社作成
上図は、BTC/USDの2011年から2022年までの月別騰落率である。月別騰落率をみると、過去3年(2020年、2014年、2012年)以外の年で2月の騰落率は上昇で着地しており、1月に下落した場合の2月の騰落率は過去全ての年で上昇相場となっている。
次に、BTCを貴金属や主要な株式と比較してみる。
※TはTrillionで兆、BはBillionで十億
Bloombergより当社作成
表のとおり、BTCの時価総額は貴金属や主要な株式との対比では世界9位に位置していることがわかる。
昨今の米株高を牽引したハイパーグロース株の代表格である米テスラ社を下回るものの、世界有数の投資家であるウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社・米バークシャーハサウェイ社の時価総額を上回っている。
BTCは過去最高値である1.27兆ドルから0.4兆ドルもの時価総額を喪失したものの、現在も既存金融資産に匹敵する存在感を示していることが上図から読み取ることが出来る。
さて、2022年のBTCは再度過去最高値を超えられるのか、それとも弱気相場の序章となるのか。
以下の指標から、示唆される相場展開を確認したい。
- 米10年債利回り
- 期待インフレ率
- EMA(指数平滑移動平均線)
・BTC vs 米10年債利回り
Bloombergより当社作成
上図は2021/1/1から現在までのBTC/USD価格と、米国の10年債利回りを比較したグラフである。
既存金融、暗号資産マーケットをはじめとして、上値の重さの鍵となっているのは金利上昇によるリスクアセットのリスクオフにあるようだ。
暗号資産の代表格であるBTCが高騰した一つの要因として、コロナショックをトリガーとした過去に例をみない金融緩和が挙げられるが、金融緩和の代償としてインフレ高進という弊害をもたらすこととなった。
直近の2/10に発表された1月の米消費者物価指数は前年同月比7.5%と40年ぶりの高い数値が発表された。これは、物価上昇の余波が続いていることを示している。
2/4に発表された米国の雇用統計では、労働市場が完全雇用に近いことが示されたため、次回のFOMCでは金融政策で物価動向を落ち着かせる方向にかじ取りを進めるとみられている。
市場関係者の間では、3月に0.5%の利上げを予想する向きもあり、金融緩和に慣れ切った金融市場、暗号資産市場を一段安へ導く危険が迫っていると考えられる。
ブッシュ政権の政策要人でFRB理事を務めたラリー・リンゼ氏は、来年末までのリセッション(景気後退)確率を50%超とし、そのトリガーは金融市場の相場急落がきっかけになると発言(2/12 Bloomberg)している。
FRBのかじ取り次第でBTCの今後は上値が重たくなる展開が想定されよう。
・BTC vs 期待インフレ率
Bloombergより当社作成
上図は2021/1/1から現在までのBTC/USD価格と、米国の期待インフレ率の比較をしたグラフである。
グラフから、期待インフレ率とBTCは右肩上がりに上昇しており、中央銀行による増大した資金供給がBTCとインフレ率を共に押し上げたことが考えられる。
金融緩和によるインフレ回避を目的として、インフレヘッジ資産としてのBTCに注目が集まっていたが、11月に期待インフレ率が2.76%でピークを迎えて以降、期待インフレ率は低下傾向で推移しており、同時にBTCの価格も下げていることがわかる。
足元の米金利は上昇基調にあるものの、期待インフレ率からは過剰流動性を糧に上昇を続けたBTCにとって、今後は上値の重い展開は考慮に入れるべきかもしれない。
市場参加者が予測する物価変動率である期待インフレ率の低下ぶりをみると、金融政策の引き締めについて既に織り込み済みであるかもしれないが、FRBの打ち出す金融政策で、インフレを適正水準に管理できるかは疑問符がつく。
根強い物価上昇の背景にあるのは、現在もなお続くコロナ変異株の影響による供給連鎖が途絶えてしまう点や、原油や天然ガスをはじめとした商品市況の急騰等もあげられる。
金融政策は経済ショックには対応できるものの、現在問題視されている供給側のショックに対する影響は大きくないと考えることができよう。
その場合は、根強いインフレが恒常化し、法定通貨の希薄化・価値の減少は今後も継続することになる。現に、直近の期待インフレ率は反発しており、BTCも同時に反発している。(上図 紫四角線)
インフレヘッジとして価値を強めてきたBTCが2022年以降、ヘッジから実需への転換となり、更なる価値向上の時代となることも考えられようか。
・BTC vs EMA
BTC/USD週足チャート
Tradingviewより当社作成
上図は2021年から現在までのBTC/USD価格とEMA(指数平滑移動平均線)を比較したグラフである。週足でみると大きく、以下の価格帯に分けることができる。
上レンジ:46,500ドル
中レンジ:44,100ドル
下レンジ:39,800ドル
足元のBTC/USDは1月後半からやや反発基調にあるが、2/7週には中レンジを超える水準で一旦頭を抑えられ、42,000~43,000ドルの中レンジの下の水準で推移している。
中期的な上昇を想定する場合に、前述の上値を抑えられた水準である44,100ドルより上の価格帯、つまり中レンジの水準以上で2月の終値を迎えることが出来なければ頭の重さが払拭できないだろう。
加えて、2021年中頃には中レンジライン付近で揉み合ったのち、上昇に転じた経緯があり、中レンジを明確に上抜けることで本格的な上昇局面入りとなることも考えられる。
以下の図の通り、2月の月別騰落率は上昇する年が多く、中レンジの突破で再度上昇の波に復帰できるとみることもできる。
Bloombergより当社作成
しかし、中レンジの突破に失敗し、3月を迎える場合は、危険信号が伴うであろう。
3/15-16はFOMCの開催日であり、利上げの開始となる初めの月であるコンセンサスが取れている状態である。2月中に中レンジを突破失敗するならば、下レンジ39,800ドルからさらなる一段安の32,530~25,383ドルも考えられようか。
いずれにせよ2月相場の行方が、今後の暗号資産市場の行く末を問うこととなりそうだ。
(2/14 午後10:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
2/14の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-1.22%、中央値は-1.03%、標準偏差は1.32%となった。
最大上昇銘柄はETH/JPYの1.46%、最大下落銘柄はETC/JPYの-3.42%。
最大上昇銘柄のETH/JPYは、5日ぶりの日足陽線となった。心理的節目となる3,000ドル(約346,000円)を突破できるかどうかがポイントとなりそうだ。
最大下落銘柄のETC/JPYは、昨日から反落。
2/14に行われたハードフォークは無事完了したが、その他に目新しい材料はなく、勢いに乏しい値動きとなった。
・24時間 ボラティリティ(%)
社内データより作成
2/14の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.40%、中央値は6.12%、標準偏差は1.69%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPYで9.94%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで3.88%となった。
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