イーサリアム(ETH)、 NFTの盛況との価格連動性に注目
Daily Market Report 2022/2/10
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2021年の初頭から、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)が急激に注目を浴びるようになった。NFTはERC-721というイーサリアムのブロックチェーンを利用した技術をベースとしていることが多く、2022年1月現在においてNFT取引の90%以上はETHを使用して行われている (THE BLOCKより) 。
NFTは主にアートやゲーム等の多彩な領域においてコレクション目的で取引されており、2022年に入っても取引の勢いはとどまるところを知らず、この盛り上がりがETHの堅調を支えている一因といえるだろう。
今回は、これまでにETHの価格に影響を与えたNFTの事例及び今後のETHの価格に影響を及ぼす可能性のあるNFTのイベントを紹介する。
・2021年の振り返り ~ETHとNFTの関連性~
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ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上図は2021/1/1~12/31までのETH/USDの価格(青線)と、Googleで”NFT”と検索された回数(灰色の面)を、同年1/1を起点に100として指数化したグラフである。
”NFT”ワードの検索はNFT黎明期である2021年3月頃から増え始め、ETHの価格上昇とともに5月までは検索の強いニーズがあったことが伺える。その後、検索回数はいったん落ち着くものの、2021年9月からは再度上昇基調になり、年末にかけては黎明期の3倍に膨れ上がっている。
ETHの価格も検索ニーズに呼応するように2021年の8月以降は上昇基調が強くなっていることがわかる。
続いてイベントごとに、詳細を見てみよう。
始めに、2021年3月期に起こったイベントとして、2021/3/8に米Twitter社のCEOであるJack Dorsey(@jack)氏が自身のツイートをNFT化し、売り出したニュース(2021/3/8 THE BLOCK)が挙げられる。
この事例によってNFTは一気に世界中で注目される事となり、実際に同期間はGoogle検索にて”NFT”の検索回数が大きく増加した。
ただし、上述したイベントが起きた3月においてETHの価格上昇幅は大きくなかった。これはNFTの技術基盤がイーサリアムである事について、当時はまだ広く知られていなかったためだと考えられる。
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次に、2021年6月から8月の期間にかけては、NFTに関する大きな取引事例や目新しいニュースは少なく、それに追随する形で他の暗号資産同様の値動きとなった。
この期間においてGoogleで”NFT”と検索された回数は、2021年の中でもNFTへの認知度がまだ低かった1月から3月上旬までの期間を除くと、最も低い水準でもあった。
この期間はETH価格の動きにおいて、他の暗号資産の値動きとさほど変わらない幅で推移することとなった。
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その後、2021年8月中旬~9月中旬にかけて徐々にNFTへの注目度が再上昇した。同年3月のJack氏のツイート売却のような大きなイベントはなかったものの、アート・ゲームの領域において個人間のNFT取引が活発に行われるようになった結果、世界中で”NFT”という単語が検索されるようになった。
この期間は他の暗号資産が堅調な時期でもあったため、ETHの値動きは好調な市場状況に加え、Googleにて”NFT”という単語の検索された回数に比例し、価格が上昇した。
また、2021年9月~2021年12月末には、個人間のNFT取引だけでなく、著名人によるNFTの購入や、企業のNFT参入も増加し話題となった。
Twitterのフォロワー数1200万人を抱えるバスケットボール選手のステフィン・カリー氏がNFTの購入をした(2021/8/30 BUSINESS INSIDER)事など著名人のNFT購入報道に加えて、Twitter(9/30)、Meta(10/29)やAmazon(11/2)といった世界を代表する企業もこの期間にNFTに対する計画を発表している。(なお、Twitterについては有料オプションでNFTアートをプロフィール画像に設定できる機能を2022/1/20に実装済み。)
結果として、NFTの単語検索回数とETHの価格は9月から10月にかけて一旦下落したものの、11月にかけてはともに上昇する動きを見せ、ETHの価格に至っては11月に過去最高値を記録した。
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しかし、12月は暗号資産市場全体が弱気相場になっていた影響もあり、ETHの価格もそれに引きずられて下落した。これにより、2021年1月から11月末にかけてはほとんどの期間でおおまかに連動していたETHの価格と”NFT”の検索回数は目に見える形で反比例した。
一方で、この期間のETHの価格に対して他の暗号資産の価格を比較すると、別の捉え方も可能であろう。
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上のグラフは、当社取り扱い銘柄のうち、2021/11/1~12/31の期間の中で記録した日足終値の最安値を日足終値の最高値で除算した下落幅を表している(なお、このうちBATを除く全ての銘柄は11月に高値を記録し、12月に安値を記録している)。
当社取り扱い銘柄のうち、期間中の安値/高値の平均値は-43.47%となっている中、ETHは変動幅が最も低い-24.60%となっており、弱気相場の影響は受けつつも、NFTのブームというポジティブな状況から、価格の下落を抑えられたと考えられるだろう。
・2022年2月~4月までの注目NFTイベント
2022年2月~2022年4月末までにおける注目イベントとしては、K-POPアーティスト”BTS”のNFTが2/1以降販売予定である事が挙げられるだろう(2021/11/4 Bloomberg)。
BTSはInstagramにおいてフォロワー数5,864万人(2022/1現在)に上り、世界で最も注目されるアーティストグループの一つといわれる。
その他の注目イベント
・2022/2/1~3/8 GUCCI NFT販売
・2022/2~ 経産省 NFT実証実験開始
・2022/3/28~3/30 NFT LA Conference 2022
これまでアートやゲームといったやや対象を選ぶ範囲で取引が行われていたNFTだが、これらイベントは明らかにそれらとは異なる層を対象としており、話題性もあるだろう。
また、今回発売されるNFTの技術はイーサリアムを基盤としている(NFTCALENDAR)ため、このイベントがポジティブなニュースとなる可能性もありえる。
また2022年1月、Instagramフォロワー数が1億6500万人にも上るサッカー選手のネイマール氏がNFTの購入を投稿したように、著名人による購入も続く可能性も考えられる。
・一方、過度な期待には注意が必要
これまでNFTの検索回数とETH価格の連動性について解説してきたが、警戒すべき点もある。
一番の懸念材料は、NFT自体のブームが終わってしまうリスクだ。
現状、フォロワー数の多い著名人がSNSを利用してNFTの購入発表が行われるケースも多く、SNSの高い拡散力によってNFTは世界中で注目を集めており、Googleでの”NFT”検索回数は増えている。
反面、デジタルアート一枚に数千万円の値が付くといったニュースは、「NFT=高級」といった印象を与えており、このまま富裕層のみが利用し、広く一般に広がらないようであると、一過性のブームとして過ぎ去る可能性は否定できない。
さらに、NFTは著作権の不透明化、税制や法整備の遅れもあり、社会的基盤としての優位性が実現されるかどうかは、現状では不確定である。
(2/9 午後12:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
2/9の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は4.11%、中央値は4.15%、標準偏差は2.47%となった。
最大上昇銘柄はETC/JPYの8.34%、最大下落銘柄はXTZ/JPYの-0.26%。
最大上昇銘柄のETC/JPYは、1/5以来となる高値3,967円まで上昇する場面もあった。
3,900円付近がレジスタンスラインとして機能している可能性もあり、上昇トレンドが続くか見極めたいところだ。
最大下落銘柄のXTZ/JPYは、唯一の下落銘柄となった。
1月下旬に300円付近で下値を固め上昇傾向が続いていたが、現在値は100日移動平均線ともみ合う形となっており、上値が重たくなっている格好だ。
・24時間 ボラティリティ(%)
社内データより作成
2/9の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は7.69%、中央値は7.61%、標準偏差は1.86%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPYで12.03%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで4.09%となった。
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