2022年のBTC(ビットコイン)の行方は?注目指標をチェック
Daily Market Report 2022/1/19
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・BTC(ビットコイン)、2022年の相場は?
Bloombergより当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は2021/1/1から現在までの暗号資産時価総額とBTC/USDの価格を比較したグラフである。
2022年の暗号資産時価総額とBTC/USDともに軟調推移での展開となっており、年初からの騰落率はそれぞれ-11.26%、-11.65%とマイナス推移である。
2021年のBTC/USDは、11/10の取引で過去最高値を更新し、69,000ドルまで上昇。暗号資産時価総額も、11/10の取引で一時約3.0兆ドルまで増加し、過去最高値を更新した。
これは年末にかけて価格が上昇していくアノマリーを示す、年末ラリーを想起させる価格上昇であった。
その後は12/4の取引で、13時から14時のニューヨーク市場、欧州市場、東京市場が休日で流動性の低いアジア時間のタイミングで暗号資産マーケットは下落し、BTC(ビットコイン)も値を消す展開となった。
BTC(ビットコイン)は一時20%を超える下落率となり、3.0兆ドルまで増加した暗号資産時価総額も一時1.9兆ドルまで急落した。
暗号資産時価総額は現在2.0兆ドルを維持しているものの、反発の勢いは乏しく、2022年に入って以降も暗雲が漂う相場となっている。
2022年のBTCは再度過去最高値を超えられるのか、それとも弱気相場の序章となるのか。
以下の指標から、示唆される相場展開を確認したい。
- 期待インフレ率
- 銅価格
- ハッシュレート
・BTC vs 米期待インフレ率
Bloombergより当社作成
上図は2021/1/1から現在までのBTC/USD価格と、米国の期待インフレ率の比較をしたグラフである。
暗号資産の代表格であるBTCが高騰した一つの要因として、コロナショックをトリガーとした過去に例をみない金融緩和が挙げられる。
グラフから、期待インフレ率とBTCは右肩上がりに上昇しており、中央銀行による増大した資金供給がBTCとインフレ率を共に押し上げたことが考えられる。
金融緩和によるインフレ回避を目的として、インフレヘッジ資産としてのBTCに注目が集まっていたが、11月に期待インフレ率が2.76%でピークを迎えて以降、期待インフレ率は低下傾向で推移しており、同時にBTCの価格も下げていることがわかる。
期待インフレ率上昇に伴い、BTCも上昇した2021年であったが、12/14~15に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨では、2022年に3回利上げする具体的な見通しが示されたことや、バランスシート縮小の早期化を示唆したこと(1/6 日経)を受け、コロナショック以降の過剰流動性相場が終焉に向かうとの見方による警戒心が広がった。
これを受けて、株式市場を始めとしたマーケットのボラティリティを高め、暗号資産市場にも影響を及ぼすこととなった。
市場参加者が予測する物価変動率である期待インフレ率の低下ぶりをみると、金融政策の引き締めについて既に織り込み済みであるとも言えなくはないだろう。
足元の米金利は上昇基調にあるものの、期待インフレ率からは過剰流動性を糧に上昇を続けたBTCにとっては、上値の重い展開が想定されると考えられる。
インフレヘッジ資産として価値を高めてきた暗号資産が今後も成長を続けるためには、別角度の材料が必要なのかもしれない。
・BTC(ビットコイン)vs 銅
Bloombergより当社作成
上図は2017年1月からの銅価格とBTCの価格比較をしたグラフである。
グラフを見ても分かる通り、銅とBTCは同じような値動きとなっており、高い相関を示してきた。
大きなサイクルとして具体的には、下記のとおりとなる。
BTCは大きな上昇と下落を繰り返しながらも、世界経済の成長に寄り添って銅と同様な値動きで推移していたことがわかる。
銅価格はかつて2008年のリーマンショック発生1か月前に急落。2020年コロナショックでも1か月前に価格はいち早く下落しており、世界経済を占う道標と言われている指標である。
しかし、2021年11月以降、BTCは上値が重く、軟調な推移をしているのに対して、銅は高値は更新できていないものの、堅調な推移となっていることがわかる。
世界経済の先行指標であり炭鉱のカナリアとも呼ばれる銅がBTCをはじめとした暗号資産の動向の鍵となっていたが、直近はゲームチェンジしたかに思える値動きをみせている。
景気を下支えするために、FRBはコロナショック以降、総資産を4兆ドルから8.8兆ドルと約2倍にまで膨らませることとなった。パウエルFRB議長は、年内に総資産の縮小を実施する意向を示している(1/16時事通信社)。
利上げとバランスシート縮小に伴う総資産の保有債券の売却という2つのオペレーションを2022年に実施することは、マーケットの流動性の悪化や金利上昇圧力にさらされる可能性もあると考えられる。
以上の事が、BTCと銅との相関を否定するトリガーとなった可能性があり、2021年のような上昇トレンドを描きづらくなったということもできるであろう。
・BTC vs ハッシュレート
Bloombergより当社作成
上図は2021/1/1から現在のBTC/USD価格とハッシュレートのグラフである。
2021年5月に中国が行った暗号資産の規制強化により、中国金融機関の暗号資産の預け入れ禁止や取引の禁止、そして中国国内でマイニングを行うことへの締め付けが強化されたことで、マイニング業者は撤退を余儀なくされ、一部は海外移転など戦略の転換を強制される事態となった。
このような背景から、一時は85EH/sまで落ち込んでいたハッシュレートであるが、現在は196EH/sまで回復していることがわかる。
今回の調整局面において、BTC相場が落ち込む中でも、ハッシュレートの回復につながっている傾向は現在も継続しているようだ。
5月の水準(180EH/s)を超え、マイナー業者は引き続きマイニングに対して強気姿勢であることがわかる。
今後も中国から米国へのマイニング業者の移転トレンドが持続し、ハッシュレートの成長が進むならば、長期的にはBTCにポジティブな環境となる可能性もあるだろう。
(1/18 午後10:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
1/18の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は0.94%、中央値は0.61%、標準偏差は2.40%となった。
最大上昇銘柄はETC/JPYの5.79%、最大下落銘柄はLTC/JPYの-3.42%。
最大上昇銘柄のETC/JPYは、欧州時間に力強く上昇し、昨日の高値を更新した。3,800円付近で伸び悩むとやや押し戻されたものの、3,600円台を維持し、底堅い展開となっている。
最大下落銘柄のLTC/JPYは、東京時間に昨日高値に肉薄したものの、高値を更新することが出来ないと、その後は売りに押された。米国時間序盤までほぼ一本調子で下落したが、米国時間終盤にBTC/JPYが上昇したことにつれて16,000円台まで値を戻しクローズを迎えた。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
1/18の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.95%、中央値は6.88%、標準偏差は2.22%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はLTC/JPYで10.87%。
一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで3.57%となった。
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