ETH(イーサリアム):足元は総悲観。今後の行方はファンダメンタルズが知っている

Daily Market Report 2022/1/7

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売り方優勢のETH

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
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上図は、ETH/JPYの日足チャート(2021/8~執筆時点)に主要なレジスタンス・サポートラインを描画したものである。

今年1/5に昨年の12/14~15に開かれたFOMC(米連邦制度準備理事会)の議事要旨が公開された。議事要旨によると、急激なインフレ懸念から、金融緩和の引き締めや早期利上げが議論され、事前の予想よりもタカ派的であったことなどから、金融市場は株安で反応した。

暗号資産の動きは、これに追従する形で、BTCをはじめ暗号資産市場も大きく売り込まれているのが足元の状況だ。

一方で、米大手投資銀行のゴールドマンサックスは、「ビットコインは、デジタル資産がより広範に採用される過程で金から市場シェアを引き続き奪い、支持者らがしきりに宣伝する10万ドルという予測を実現可能。」(1/5 Bloomberg)として、強気のスタンスを見せている。

直近の市場動向は米国金利の引き締めと、その影響から株式、暗号資産が売り込まれている展開となっているが、近視眼的な視点のみでなく長期的な視野も持っておきたいところだ。

このような状況で、本日はETH/JPYの価格推移に着目してレポートしてみたい。

本稿では昨年12/23の当社マーケットレポートにおけるシナリオ更新を、ライン分析を用いて考察していく。
(前回のレポート:Daily Market Report 2021/12/23「ETH(イーサリアム)、次のターゲットは65万円か?」参照)

最初に今後のETH/JPYの展開を考察するうえで重要なレジスタンス・サポートラインとして以下を設定する。

・チャネルライン(a)、(b)、(c)

(c)のチャネルで反発の反応を見せたものの、大きくブレイクして下落ちしている。

現在は、(c)のチャネルがレジスタンスとなり、さらに下落したような状況だ。

下落シナリオ>:下落継続で29万円を目指すか

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

上図はETH/JPYの8時間足チャートに下落シナリオにおける価格推移(白矢印)を線画したものだ。8時間足で見えてくるラインとして(d)、(e)のラインも線画しておく。

シナリオの1つ目は調整相場が継続し、中長期下降トレンドに転換していく下落シナリオだ。

このシナリオにおいては、(e)のチャネルの下限を推移し、昨年9月下旬に付けた安値29万円を目指してくる展開が見えてくる。

市場は米金利の引き上げが今年4回となる公算も織り込みつつあり、最初の利上げとなる3月をターゲットに更なるリスクオフの流れが強まることが、このシナリオの補完要因となる。

逆に言うと、米国のインフレ懸念は思っていたほど進まない状況が発生した場合や、ゴールドマンの言う「価値の保存」に着目された暗号資産の見直しが起こるような場合は、この下落シナリオは否定されることになる。

今後は米国の経済動向が、暗号資産の運命を握るような重要な局面となっていることを認識しておきたいところだ。

<上昇シナリオ>:(e)ラインを回復し(c)ラインを目指す

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

上図はETH/JPYの日足チャートに上昇シナリオにおける価格推移(白矢印)を線画したものだ。

シナリオの2つ目は足元の短期調整が終わり、長期の上昇トレンドへ再び回帰するシナリオである。

この上昇シナリオにおいては、下落シナリオの否定状況、つまり、米国のインフレ懸念後退や、「価値の保存」による暗号資産の見直し買いが起きる場合となる。

このような局面においては、BTCの買いが進むことになるが、つられて暗号資産時価総額2位のETHにも買いが入る展開を想定する。

ETH/JPYが上昇に転換する場合、(e)ラインの回復をまず、確認しておきたい。

(e)ラインの回復後は、(c)ラインの達成が視野に入ってくるが、これら二つのラインの回復を達成するにはかなりの買いのエネルギーが必要となろうか。

ただし、上述のとおりファンダメンタルズの変化によっては、難なくクリア可能とも言えるレベルである。

加えて言うと、ETH自体のファンダメンタルズにも上昇を補完する材料がある。

昨年10 月にETHは、ETH2.0への移行に向けた大型アップグレード「Altair(アルタイル)」の実装を完了し、本格的なPoS(プルーフオブステーク)への移行が進んでいるようだ(10/28 CoinPost)。

電力を大量消費するPoW(プルーフオブワーク)からETHは徐々に脱却してきており、今日における環境保護の機運の高まりがETHの追い風となるかもしれない。

また、昨年8月には、ETHの総発行量が減少するバーン(焼却)が発生する仕組みが取り入れられるようになった。各国の法定通貨の供給量が増加の一途を辿っているのとは対象的であり、ETHが今後、デジタルゴールドとされるBTCのような「価値の保存」としての性格が強くなることも十分考えられる。

下落・上昇どちらにしても、米国の金融政策動向や、ETH独自のファンダメンタルズ要因等が今後のETH/JPYの行方を左右することになろうか。

(1/6 午後9:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

1/6の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-1.70%、中央値は-1.22%、標準偏差は1.95%となった。

最大上昇銘柄はENJ/JPY2.03%、最大下落銘柄はMONA/JPY-6.52%

最大上昇銘柄のENJ/JPYは、下落基調ながら260円(ピボットポイント・S1付近)で反発。294円(日足一目均衡表・転換線、90日移動平均付近)で引ける展開となった。

最大下落銘柄のMONA/JPYは、130円でオープンすると下落。119円(ピボットポイント・S2、12/31安値付近)で引けた。

24時間 ボラティリティ(%)

社内データより作成

1/6の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は9.08%、中央値は9.23%、標準偏差は2.51%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はENJ/JPY16.61%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで6.98%となった。

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2022-01-07
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