今週は軟調なBTC(ビットコイン)、注目される12/6の週と今見ておきたい指標をチェック
Daily Market Report 2021/11/19
_
・過去最高値更新するも今週は軟調な展開へ…
Bloombergより当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は2021/1/1から現在までの暗号資産時価総額とBTC/USD価格を比較したグラフである。
BTC/USDは、11月第2週の取引で過去最高値を更新し、69,000ドルまで上昇。暗号資産時価総額も、11月第2週の取引で一時3.0兆ドルまで増加し、過去最高値を更新することとなった。
※TはTrillionで兆、BはBillionで十億
今週のBTCは軟調な推移を見せているが、貴金属、世界株式市場のマーケットと比較した時価総額をみると、前回記事ではTeslaの時価総額の下に位置していたBTCはTeslaを追い抜き7位へ繰り上がっている。
今後、BTCの動きはどうなるのか。
以下の指標から、示唆される相場展開を確認したい。
・アメリカ消費者物価指数(CPI)
・ハッシュレート
・フィボナッチ・タイムゾーン
・インフレ高進によるBTCの価値向上
BTCの上昇の後押しをしたのは10月のアメリカ消費者物価指数(CPI)であると考えられる。
Bloombergより当社作成
上図は11/10 午後10:30に発表されたアメリカ消費者物価指数とBTC(白線)と金(橙線)の動向を比較したグラフである。
アメリカ消費者物価指数は、市場予想を大きく上回る前年同月比6.2%と31年ぶりの上昇率となったが、発表と同時にBTCやインフレヘッジ資産として代表的な金が大きく上昇していることがわかる。
また、ローレンズ・サマーズ元財務長官は再三にわたり、インフレ抑制をコントロールできないのではないかと警告している。(11/15 Bloomberg)
持続的なインフレ圧力が続く中で、BTCが上昇していることは、市場参加者がBTCや金といったインフレに備える代替資産としての価値上昇を徐々に織り込んでいるのではないかと思われる。
・BTC vs ハッシュレート
Bloombergより当社作成
上図は2020/11/1から現在のBTC価格とハッシュレートのグラフである。
5月に中国が行った暗号資産の規制強化により、中国金融機関の暗号資産の預け入れ禁止や取引の禁止、そして中国国内でマイニングを行うことへの締め付けが強化されたことで、マイニング業者は撤退を余儀なくされ、一部は海外移転など戦略の転換を強制される事態となった。
このような背景から、一時は85EH/sまで落ち込んでいたハッシュレートであるが、現在は165EH/sまで回復していることがわかる。
英国ケンブリッジ大学の調査によると、8月までのデータで寡占状態にあった中国のハッシュレートシェア率が大きく落ち込む一方で、米国のハッシュレートシェア率が35%を超えるにまで拡大したと指摘している(10/14 CoinPost)。
中国から米国へマイニング覇権が移転することで、ハッシュレートの回復につながっている傾向は現在も継続しているようだ。
一年前の水準(180EH/s)には至っていないものの、今後も中国から米国へのマイニング業者の移転トレンドが持続し、ハッシュレートの回復が進むならば、長期的にはBTCにポジティブな環境となる可能性もあるだろう。
・BTC vs フィボナッチ・タイムゾーン
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は直近一年(2021/1から現在)のBTC/USDの週足チャートである。
BTC(ビットコイン)価格64,899ドル(横白線)を付けた4/12週を起点とし、1、2、3、5、8、13、21、34週目にフィボナッチ・タイムゾーン(縦橙色線)を示した図となる。
多くのテクニカル分析は、チャートの縦軸(価格)を予測する手法として有名だが、フィボナッチ・タイムゾーンは、フィボナッチ数列から時間というチャートの横軸(時間)に焦点を当て、時間の経過によるトレンドの状態変化を見極め、トレンドの転換点を把握することを目的とした手法である。
上図から、
・過去最高値からフィボナッチ・タイムゾーン5週目ラインで下落相場の一番底を付ける
・フィボナッチ・タイムゾーン8週目ラインで下落相場の反発上昇が一巡
・フィボナッチ・タイムゾーン13週目以降、5週間に渡る上昇相場を形成
・フィボナッチ・タイムゾーン21週目で相場は反転するも再度過去最高値へ上昇
となっており、フィボナッチ・タイムゾーンがトレンドの転換点となっていたことがわかる。
週足単位でみると、次の転換点が予測される週は、高値である価格64,899ドルを付けてから34週目にあたるラインの「12/6週」となる。
・フィボナッチ・エクスパンション
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は直近一年(2021/1から現在)のBTC/USDの週足チャートである。
BTC(ビットコイン)価格64,899ドル(横白線)を付けた4/12週を起点とし、1、2、3、5、8、13、21、34週目にフィボナッチ・タイムゾーン(縦橙色線)を示している。
更に縦軸(価格)を予測するために、7/20の安値(横赤線)と9/6週の高値、そして上昇の押し目となった9/20週の安値(0%横線)を結ぶフィボナッチ・エクスパンションを引いた図となる。
・上昇パターン
現在の11/15週足ローソクは陰線を形成しており、直近高値まで上値の重い展開となっているが、前述のフィボナッチ・タイムゾーン34ライン(12/6週)で転換すると想定される。
この場合は上昇方向へ向かう動きといえることから、今週の下押しする価格は押し目を拾ういい機会ともいえるかもしれない。
上昇トレンド継続ならば、フィボナッチ・エクスパンション161.8%ラインである77,000ドルの大台まで到達する可能性が考えられるだろう。
・下落パターン
フィボナッチ・タイムゾーンは相場の転換点を示すテクニカル指標であるが、現在のインフレ高進により、各国中央銀行がインフレ抑制のための早期利上げを選択するといった動きも想定される。
ゴールドマンサックスのCEOであるデービッド・ソロモン氏は、「金利の上昇によって一部市場での活力が奪われることになる」と警告しており、(11/18 Bloomberg)世界金融市場への緊迫感が強まることによって、BTCも調整局面が継続する可能性も否定できないと考えられる。
フィボナッチ・タイムゾーン34ライン(12/6週)以降も調整が続く場合は、フィボナッチ・エクスパンション61.8%の54,000ドルから50%の51,500ドルまでの下押しも警戒される局面であるといえるだろう。
12/6週が年末ラリー継続か、調整かの転換点になることが想定されるため、注目される週となりそうだ。
(11/18 午後10:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
11/18の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-6.39%、中央値は-5.60%、標準偏差は2.21%となった。
最小下落銘柄はBTC/JPYの-4.10%、最大下落銘柄はOMG/JPYの-10.77%。
最小下落銘柄のBTC/JPYは、節目の670万円を割り込んだことで下げが加速し、640万円台まで足早に下落した。しかし、翌19日明け方にかけて下げ渋り、660万円手前まで反発した。
最大下落銘柄のOMG/JPYは17日に戻り高値を付けた後、依然として続落中という印象だ。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
11/18の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は12.64%、中央値は12.63 %、標準偏差は2.92%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はLTC/JPYで17.72%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで7.28%となった。
◆本資料においてお客様に提供される情報は、株式会社DMM Bitcoinが収集・作成等したものです。
◆本資料は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。
◆本資料は、本資料作成時点で株式会社DMM Bitcoinが信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
◆本資料の情報によって生じたいかなる損害についても、株式会社DMM Bitcoinおよび本情報提供者は一切の責任を負いません。
◆本資料のグラフ・データ等は、過去の実績または作成時点での見通し・分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。
◆本資料に関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、株式会社DMM Bitcoinまたは権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。