BTC(ビットコイン)は機関投資家の参入後でテスラ超え?オンチェーンから示唆される未来は?
Daily Market Report 2021/11/08
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・2021年後半は機関投資家が先導か
Bloombergより当社作成
上図は2021/6/1を起点としたCMEグループが提供するBTC(ビットコイン)先物価格と、総建玉を比較したグラフである。
グラフから、10月のBTCの価格上昇と同時にCME参加者の建玉の急増が目立つことがわかる。
今回の急増がどの程度であるのか。以下の図で主要取引所の先物建玉ランキングを確認したい。
執筆時時点の建玉ランキングを確認すると、CMEの建玉は主要取引所の内、2位にランクインしていることがわかる。
また、10/19に取引を開始した米国発のBTC先物ETF、プロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETFはわずか一日で10億ドルの売買代金を記録しており、初日の売買代金としては過去二番目の歴史を紡ぐこととなった。
BTC現物の保管やカストディ、紛失やハッキングといったセキュリティ関係の暗号資産特有の諸所の問題をクリアにしたETFの到来によって、いよいよ2021年後半は機関投資家が本格参入した段階に位置しているかもしれない。
また、機関投資家が本格参入する背景の一つとして、BTCの市場規模の拡大という面が見られる。誕生から12年が経過したBTCの、現在の時価総額を既存の金融市場で比較してみる。
※TはTrillionで兆、BはBillionで十億
執筆時点で、BTCの時価総額は米国株式の代表格であるMeta(Facebook)の時価総額を上回っており、現在はTeslaの時価総額に並ぶにまで成長した金融資産となったことがわかる。
直近では、中国の暗号資産全面禁止やマイニングの移転騒動、技術的問題としては、2017年に大手マイナー同士のシステムに対する主義の不一致により、BCH(ビットコインキャッシュ)の分裂といった問題が生じたものの、今ではそうした問題を克服し、機関投資家にとって注目に値する金融資産として主流になりえる可能性がある。
では、これまでBTCに投資をしてきた投資家や、ETFの登場を受けて、これから新規で投資をする投資家の動向はどうなっているか。
今回は、オンチェーン分析(ブロックチェーン上のデータからアドレス数、資金流入、資金流出、流動性といった暗号資産ならではの分析)を使用して示唆されるものを確認したい。
・アクティブアドレスは5月水準を下回る
Bloombergより当社作成
上図は2020年1月からのBTC価格とBTCのアクティブアドレス数を比較をしたグラフである。
アクティブアドレス数の上昇は、BTCに対するユーザーの需要の強さを確認できる指標である。上図を確認すると、10月のBTCの価格上昇に対し、アクティブアドレス数は遅れて上昇していることがわかる。
また、5月のアクティブアドレス数の水準と現在の水準を比較すると、現在の水準は、5月水準を下回っていることがわかり、5月並みの需要の強さは認められないことが読み取れる。
以上を踏まえると、2021年後半の上昇は、機関投資家が先導となった買いにより、BTC価格は押し上げられ、次いで各ユーザーが遅れながらも買いに走っているということが想定される。
次に新規アドレス数をみていきたい。
・アドレス数の増加に伴う機関投資家の売り抜けに注意
Bloombergより当社作成
上図は2020年1月からのBTC価格とBTCの新規アドレス数を比較をしたグラフである。
新規アドレス数の上昇は新規で取引を行うユーザー数の増加を示す指標である。
上図を確認すると、アクティブアドレス数と同様に、新規アドレス数も10月のBTCの価格上昇に対して、遅れて上昇していることがわかる。
新規アドレス数の増加は一般的にはFOMO(Fear of Missing Out)と呼ばれる、価格の急騰に対して、自分だけ取り残されてしまうのではないかという不安と恐怖に襲われる状態がもたらすと考えられる。
つまり、FOMOの状態は買いが買いを呼ぶ好循環な相場となりえる可能性があると言い換えることもできる。
しかし、既に機関投資家が先導して購入している可能性がある以上、新規アドレス数の増加=新規ユーザーの増加を材料とした、機関投資家の売り抜けの可能性があることには十分注意を払いたいところだ。
(11/7 午後6:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
11/7の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は1.11%、中央値は1.78%、標準偏差は2.18%となった。
最大上昇銘柄はXRP/JPYの6.07%、最大下落銘柄はXEM/JPYの-2.69%。
最大上昇銘柄のXRP/JPYは、週末の弱含みから一転し、大幅反発となった。
XRPは11/9から開催される「Ripple Swell 2021」を控えており(11/4 CoinPost)、本稿記載のBTC先物建玉ランキング3位の取引所CEOの登壇予定も市場参加者に好感されているようだ。
最大下落銘柄のXEM/JPYは、続伸して始まるも、午前9時以降は軟調な展開となった。11/5のXEMとシンボル(XYM)のハードフォークの発表(11/6 CoinPost)から3日目にして、材料一服感が強まったようだ。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
11/7の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は4.24 %、中央値は3.59%、標準偏差は1.99%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はOMG/JPYで8.47%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はLTC/JPYで2.19%となった。
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