BTC(ビットコイン)、今年も来るのか年末ラリー。今見ておきたい注目指標をチェック!

Daily Market Report 2021/10/22

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年末ラリーの第一歩となるのか!?

Bloombergより当社作成
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上図は2021年1月1日から現在の暗号資産時価総額とBTC/USDの価格を比較をしたグラフである。

BTC(ビットコイン)は、10月20日の取引で過去最高値を更新。暗号資産時価総額も、10月21日の取引で過去最高値を更新することとなった。

過去最高値を更新した背景として、米国で初めての上場投資信託(ETF)であるプロシェアーズ・ビットコイン・ストラテジーETFが上場したこと(10/20 Bloomberg)や、アメリカ証券取引員会(SEC)の委員長であるゲイリー・ゲンスラー氏が、中国が暗号資産マーケットの締め付けを強化するのに対し、米国では投資家保護の必要性はあるものの、取引禁止の可能性はない姿勢を示したこと(10/19 日経)で、投資家心理の改善につながったようだ。

BTC/USDは一時67,000ドルの大台を突破したことで、BTC(ビットコイン)の時価総額は1.2兆ドルまで上昇、世界時価総額ランキング7位のFacebook(時価総額0.9兆ドル)を超えて6位を記録した。

暗号資産市場全体の時価総額も2.7兆ドルまで上昇したことで、世界時価総額ランキング1位のApple(時価総額2.4兆ドル)を超える一大マーケットとなった。

今回の上昇を受けて、米国の資産家で投資家でもあるピーター・ティール氏は、暗号資産の上昇について、「中央銀行が完全に破綻している時代にわれわれはいるということだ」と暗号資産について賞賛する発言をしている(10/21 Bloomberg)。

2021年度に入り、著名投資家であるレイ・ダリオ氏やジョージ・ソロス氏が創設したソロス・ファンドマネジメントもBTC(ビットコイン)を所有していること(7/1 CoinPost、9/15 Bloomberg)を公表しており、分散投資におけるBTC(ビットコイン)の重要性が急上昇していることを示していると思われる。

今後、BTC(ビットコイン)の動きはどうなるのか。

以下の指標から、示唆される相場展開を確認したい。

・期待インフレ率
・ハッシュレート
・Googleトレンド

BTC(ビットコイン) vs 期待インフレ率

Bloombergより当社作成

上図は2020年10月30日から現在のBTC(ビットコイン)価格と米国の期待インフレ率の比較をしたグラフである。

暗号資産の代表格であるBTC(ビットコイン)が高騰した一つの要因として、コロナショックをトリガーとした例をみない金融緩和が挙げられる。グラフから、期待インフレ率とBTC(ビットコイン)は右肩上がりに上昇しており、中央銀行による増大した資金供給がBTC(ビットコイン)とインフレ率を共に押し上げたことが考えられる。

金融緩和によるインフレ回避目的として、いわばインフレヘッジ資産としてのBTC(ビットコイン)に注目が集まっていたが、5月に期待インフレ率が2.5%でピークを迎えて以降、期待インフレ率は低下傾向で推移すると、同時にBTC(ビットコイン)の価格も下げており、概ね順相関の関係があるといえるだろう。

8月下旬に米連邦制度準備理事会(FRB)のパウエル議長がジャクソンホールで講演を行い、2021年度内に量的緩和の縮小が実施される可能性を示唆した。これは、大規模金融緩和によって暗号資産市場にマネーが流れてきた蛇口に栓がされるトリガーでもあった。

期待インフレ率上昇に伴い、BTC(ビットコイン)も上昇していることがグラフからわかる。

9月下旬から期待インフレ率を上昇させた背景は、原油やエネルギーなどの商品市場価格の高騰や、コロナショックの余波に伴う供給サイドの混乱といった影響によるものだと考えられる。

今後は、量的緩和縮小という栓をすることが確定しているものの、商品市場価格の高騰にみられる量的緩和による実態経済への弊害をマーケット参加者が嫌気しており、インフレヘッジ資産の連想からBTC(ビットコイン)は過去最高値まで上昇した側面もあるといえるであろう。

今後の展開として、期待インフレ率との順相関を保っているBTC(ビットコイン)であるので、期待インフレ率がさらに上昇するならば、BTC(ビットコイン)は上値をさらに伸ばすと考えられる。

一方で、期待インフレ率の過去1998年から現在までの高値は2005年3月の2.71%である。現在の期待インフレ率は2.5%水準と既に高位置にあり、上値追いに慎重なムードが漂う可能性には注意が必要となるであろう。

インフレリスクの高進が継続するならば、米連邦準備制度理事会(FRB)による金融政策によって、早期にインフレに歯止めをかける対応が実施される可能性も考えられる。

この場合は、株式市場を始めとして過剰流動性相場の終焉を迎えることにつながり、BTC(ビットコイン)を始めとした暗号資産市場にも影響を及ぼすことになる。

暗号資産市場は今後も成長を続けるためには、別角度の材料が必要なのかもしれない。

BTC(ビットコイン) vs ハッシュレート

Bloombergより当社作成

上図は2020年10月30日から現在のBTC(ビットコイン)価格とハッシュレートのグラフである。

5月に中国が行った暗号資産の規制強化により、中国金融機関の暗号資産の預け入れ禁止や取引の禁止、そして中国国内でマイニングを行うことに対する締め付けが強化されたことで、マイニング業者は撤退を余儀なくされ、一部は海外移転など戦略の転換を強制される事態となった。

このような背景から、一時は85EH/sまで落ち込んでいたハッシュレートであるが、現在は145EH/sまで回復していることがわかる。

英国ケンブリッジ大学の調査によると、8月までのデータで寡占状態にあった中国のハッシュレートシェア率が大きく落ち込む一方で、米国のハッシュレートシェア率が35%を超えるにまで拡大したと指摘している(10/14 CoinPost)。

中国から米国へのマイニング覇権が移転することで、ハッシュレートの回復につながったようだ。

現在のハッシュレートは、依然として、一年前の水準を下回っている状況であるが、今後も中国から米国へのマイニング業者の移転トレンドは継続すると考えられ、ハッシュレートの回復が進めば、長期的にはBTC(ビットコイン)にポジティブな環境となる可能性もあるだろう。

BTC(ビットコイン) vs Googleトレンド

Bloomberg、Googleトレンド(https://trends.google.co.jp/trends/)より当社作成

上図は2020年10月30日から現在のBTC(ビットコイン)価格とGoogleトレンドのグラフである。

Googleトレンドは特定のワードが、どの程度Googleで検索されているかを0から100までの数値で可視化できるサービスであり、これまでのBTC(ビットコイン)の価格推移とGoogleトレンドを比較することで、現在のBTC(ビットコイン)価格がどの程度、世界の人々から関心を持たれているかを確認することが可能となる。

グラフでは、5月16日のTesla社CEOであるイーロン・マスク氏が、同社が所有する15億ドル相当の BTC(ビットコイン)の一部売却を示唆したことを受けて、BTC(ビットコイン)が一時45,000ドルを割り込んだことをきっかけに、Googleトレンドが100の数値を示していることがわかる。

今回は、BTC(ビットコイン)が過去最高値まで到達したものの、Googleトレンドは7月のBTC(ビットコイン)が30,000ドル台で推移していた水準と同じ数値を示している。

以上のことから、今回の過去最高値の更新とGoogleトレンドの落ち着きは、BTC(ビットコイン)、そして暗号資産投資家層の成熟化を現しているとも言える。

米国を中心に機関投資家の参加により、BTC(ビットコイン)は成熟した市場へと移行する過渡期にあるという見方もできるであろう。

一方で、株式市場に比べて、BTC(ビットコイン)を始めとする暗号資産の流動性はまだまだ小さいものであるのも事実である。

出来高や流動性が低水準のまま相場が進行する場合、一部海外取引所のように板が薄くなることで、フラッシュクラッシュのような瞬間暴騰、瞬間暴落の懸念がある。このようなリスクから、機関投資家の参入拡大が限定的となり、市場が停滞する可能性もある。

安定した市場形成のために、個人投資家を含めた市場参加者のすそ野の拡大が、BTC(ビットコイン)、そして暗号資産にはまだまだ必要であろう。

(10/21 午後9:00時点)

銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

10/21の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-1.18%、中央値は-1.69%、標準偏差は2.65%となった。

最大上昇銘柄はMONA/JPY2.63%、最大下落銘柄はBTC/JPY-5.15%

最大上昇銘柄のMONA/JPYは3日続伸。多くの銘柄が軟調に推移する中で、下値堅く165円前半台での推移となった。

最大下落銘柄のBTC/JPYは上述の通り。

24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

10/21の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は9.06%、中央値は8.61%、標準偏差は1.69%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はMONA/JPY11.99%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBAT/JPY6.46%となった。

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2021-10-22
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