BTC(ビットコイン)、地熱マイニング実現を織り込み-その背景とは?
Daily Market Report 2021/10/6
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・中東エルサルバドル、地熱マイニング実現―市場は将来を織り込み
暗号資産のマイニングは大量の電力を消費するため、「安定性かつ持続性を維持するために何を発電源とするか」が課題となる。
カーボンニュートラルが叫ばれる中、クリーンエネルギーの一つとして地熱発電があるが、10/1にエルサルバドルが地熱発電によりマイニングを実施したとのニュースが流れた(10/1 CoinPost)。
地熱発電によるマイニング事業(以下、地熱マイニング)に取り組むエルサルバドルは、「ビットコイン法」の施行でビットコインを法定通貨化したことから、同アセットに対して非常に楽観的である。規制強化の厳しい米国や中国などとは異なり、マイニング事業抑制の心配は薄いと感じられる。
さらに、エルサルバドルは20以上の火山を要しており、未だ発展途上段階の地熱マイニング市場のさらなる拡大が見込まれ、将来的にハッシュレートの支えとなるマイニング大国となる可能性がある。
※詳細はDaily Market Report 2021/09/07「BTC(ビットコイン)、「ビットコイン法」可決後はおぼろげながら上昇―可決で買い、施行で売りに警戒か」を参照
こうした注目が集まる中、同国が地熱マイニングで初のビットコインの採掘に成功したというニュースは注目に値する。
米国のインフレ懸念による金利上昇により、BTCは10/1から反発しているが、エルサルバドルのニュースも反発局面をサポートしたかもしれない。
BTCは上値に構える多くのテクニカルポイント(※)として意識されやすい、9月高値である580万円ラインを起点とした、480万円の三尊のネックラインのレジスタンス、日足目線での一目均衡表の雲上限のレジスタンス等をしっかり攻略することに成功し、10/1の価格は前日比+10%上昇を果たし、市場は将来を織り込んだ。
※Daily Market Report 2021/09/24「韓国ライセンス制度施行―アジア売りに警戒か」内の「<上昇シナリオ>:多くのテクニカルポイントを攻略できるか」を参照
・「地熱マイニングの成果」とは?-採掘規模拡大に伴い、ハッシュレートが維持または向上し続けられるか
エルサルバドルの地熱マイニング成功後、次に期待されるのは「地熱マイニングの成果」である。
将来的に同国の事業拡大や新規参入などによって、地熱マイニングの「市場拡大」と「持続性のあるマイニング」の土台が確立してくると、(地熱は安定した発電源であることから)中長期的にハッシュレートが一定水準で維持されつつ、マイニング市場拡大による計算処理速度向上によって、ハッシュレートが向上して行く傾向(=成果)が見られるかもしれない。
マイニングはBTC(暗号資産)が流通するための根幹であり、その計算能力を示すハッシュレートと価格間には正相関を意識されている(※)ことから、今後の市場展望を図る上で、地熱マイニングの発展とハッシュレートの推移には注目していく必要があるだろう。
※コラム「ビットコインのハッシュレートとは?チャートや価格との関係について解説 」を参照
そこで、現在のハッシュレートと価格の推移を確認してみる。
ハッシュレートとBTC価格(Blockchain.comより当社作成)
ハッシュレートとBTC価格の関係(Blockchain.comより当社作成)
上図は、ハッシュレートとBTC価格、およびハッシュリボン(※)を表示させた図である(表示期間:2019/11/1~2021/10/4)。
※ハッシュリボンとは、採掘速度を示すBTCハッシュレートの移動平均線(短期と長期の2本)を観測することで、マイナー動向の好調・不調を分析する指標のこと。一般的には、30日移動平均線と60日移動平均線が用いられている。
ハッシュレートの21日移動平均と90日移動平均との差域をハッシュリボンとして設定し、21日線が90日線を上回った時は好転(赤丸)、21日線が90日線を下回った時は逆転(青丸)としてBTC価格にプロットしている。
ハッシュレートと価格の相関関係より、中長期的なトレンド転換を察知するハッシュリボン(21日移動平均と90日移動平均)は今年8/20に好転している。また、リボンの領域が厚いことから、マイナーの動向は好調であるとうかがえる。
主な背景としては、中国のマイナー規制によって撤退した大手マイニングプールが、国外で事業を再開したことがあげられる。
今後、地熱マイニングの成果がハッシュレート維持または向上という形で表れるとすれば、未だハッシュリボンの上昇シグナルは維持できる公算で、「ハッシュリボンが逆転しない限りは、ハッシュレート向上傾向が価格をサポートする」との見方で、下値を固めていく展開が想定される。
一方、エルサルバドルの地熱マイニング成功報告で思惑買いが先行したため、ハッシュレートが向上しようとも事実売りとなる可能性には注意が必要だ。
また、各国の規制(特に米国)、採掘難易度(ディフィカルティ)の引上げ、地熱エネルギーのコスト上昇や天候などの悪影響が顕在化するようであると、ハッシュリボンは下落シグナルとなり、BTCの下落も追随するよう展開もリスクシナリオととして念頭に置きたい。
(10/5 午後9:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
10/5の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は3. 80%、中央値は4.66%、標準偏差は3.85%となった。
最大上昇銘柄はBCH/JPYの9.28%、最大下落銘柄はOMG/JPYの-5.02%。
10/5は、当社取り扱い銘柄の12銘柄中10銘柄が上昇し、全体として地合いの良い環境であった。
米国の非製造業総合景況指数が市場の予想を上回ったことや(10/5 Bloomberg)、SEC議長が暗号資産に対する禁止措置をする予定は無いとの発言をしたこと(10/6 CoinDesk)が好感されたようだ。
最大上昇銘柄のBCH/JPYは大幅上昇し、9/6の高値88,000円ラインを起点とした中期下落相場の一服感から、買いが徐々に入ってきている印象だ。
最大下落銘柄のOMG/JPYは、他銘柄に比べ下落率が目立っていた。大きな個別材料があった訳ではないが、昨日までは連騰する展開であったため、利益確定の売り等に押されたような印象だ。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
10/5の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.94%、中央値は6.39%、標準偏差は2.06%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はOMG/JPYで11.34%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPYで4.16%となった。
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