建玉動向からみるチャイナショック後のBTC(ビットコイン)
Daily Market Report 2021/09/27
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・BTC証拠金取引建玉の動向とBTC価格
BTC証拠金取引建玉数量: https://jvcea.or.jp/about/statistics/より、BTC価格:当社月末終値仲値、当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は、2018年12月から2021年7月までのBTCの証拠金取引の建玉数量とBTC/JPYの価格推移である。(BTC建玉数量は日本暗号資産取引業協会資料を参照)
BTCの建玉数量は基本的に買いの建玉数量が売りの建玉数量を上回っている傾向が見られる(上図赤と青棒グラフ)が、2019年3月と2020年10月においては、売りの建玉数量が買いの建玉数量を上回った(上図緑の〇)。
売りの建玉数量が買いの建玉数量を上回った後、BTC価格は上昇していることが分かる。
特に2020年10月以降の上昇は大きく、2020年10月末時点では144.9万円だったが、2021年3月末には651.8万円となった。2019年の上昇では、同年3月末時点で45.2万円、同年6月末時点で123.3万円となった。
BTC証拠金取引の建玉は買いの建玉数量が売りの建玉数量を上回っているのが常であるが、2018年12月以降の統計で、過去2回そのポジションが反転し、その後BTC価格は大きく上昇した。
このことから証拠金取引建玉の買い<売りは、BTC価格上昇の手がかりとなりそうである。
2020年11月から翌年2021年1月までは買い売りともに建玉数量は横ばいで推移したが、2021年2月から買い売り共に減少を続け、6月の下落で建玉残は持ち直すかと思われたが、7月には再び減少している。
この間、売りが買いを上回ることはなく、買い>売りを維持したままとなり、BTC価格上昇のシグナルとなる買い<売りの偏りは見られなかった。
足元のBTC証拠金取引建玉数量は、JVCEAの公表とタイムラグがあるために不明であるが、暗号資産取引に対する中国政府の規制強化(※)という悪材料も再燃しており、直近では売りポジションが大きくなっている可能性には留意しておきたい。
(※)中国人民銀行(中央銀行)は24日、仮想通貨に関係する全ての取引は違法であり、禁止しなければならないとの見解を示した(9/24 Bloomberg)。
一方で、チャイナショックというべき中国政府の規制強化が発表された後も、BTCの価格は大きく崩れていないことは注意すべき点かもしれない。
このまま価格が踏みとどまるようであると、売りポジションが厳しい状況となる。
たまった売りポジションが一気に踏み上げられると、急上昇するような局面となる可能性もあり、注意が必要となる。
次はテクニカル分析で今後の値動きを探ってみよう。
・フィボナッチ・リトレースメントによる分析
週足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、BTC/JPYの週足チャートに2020/3/9の安値42.9万円と2021/4/12の高値704.4万円を結んで、描画ツールにあるフィボナッチ・リトレースメント(※)を反映させたものと、一目均衡表(※)(転換線期間:9日、基準線期間:26日、先行スパン2期間:52日)を反映させたものである。
※フィボナッチ・リトレースメント:「1:1.618」という黄金比率であるフィボナッチ数列を用いてチャート分析を行い、その後の動きを予想するテクニカルな分析方法。
※一目均衡表についてはこちら:暗号資産(仮想通貨)のトレンドを分析する「一目均衡表」とは
現在BTC/JPYは450万円から480万円で推移し、フィボナッチ23.6%水準の赤ラインと38.2%水準のオレンジ色のラインの間で推移している。BTC/JPYは9/21営業日に427万円まで下落した際は、一目均衡表における雲に突入したものの、反発して雲の上まで戻っている。
今後の値動きはどうなるだろうか?
<シナリオ1>:下落シナリオ
足元では、大きく値を下げることになったが、フィボナッチ・リトレースメントの38.2%にあたる451万円のオレンジ色のラインが9/21の下落時においてサポートラインとして意識された様で、下髭の長い陰線を形成している。一目均衡表の雲もオレンジ色のラインに重なり、下ヒゲをつけて押し戻された。
眼下には厚い雲が広がっており、今後もしばらくは下値のサポートとしての機能が期待できそうである。
しかし、オレンジ色のラインを突き抜けた場合、注意が必要だろう。
確かに一目均衡表の雲は厚く推移しているが、油断は禁物である。所詮はテクニカルなので、ファンダメンタルズの変化等で簡単に下限ブレイクすることも考えられる。
その場合、フィボナッチ・リトレースメントの38.2%にあたる451万円のオレンジ色のラインが一つの目安となるだろう。
このラインは実体で下回る様な場合、雲の下限割れまで警戒する必要が生じるだろう。その場合、次のサポートとなるのは373万円にあたるフィボナッチ・リトレースメントの50.0%が一つの価格目処として想定される。
フィボナッチ・リトレースメントの50.0~61.8%は、5~6月の前回下落時の下値でのもみ合い水準と言え、一定程度の買い支えが期待出来そうである。
しかし、この295万円の水準を下回る様な場合、フィボナッチ・リトレースメント76.4%の198.7万円までは目立った揉み合いも見受けられない。このことから、下落に拍車がかかる可能性があり、注視しておきたい。
<シナリオ2>:上昇シナリオ
レジスタンスラインとして機能しているのはフィボナッチ23.6%の赤色ラインであると考えられる。
赤色ラインは、9/6の上昇時においても、反落した価格帯である。その後雲にサポートされているが、このフィボナッチ・リトレースメントの23.6%にあたる548万円を突き抜けることができれば再び700万円が見えてくるかもしれない。
BTC/JPYは、レジスタンスの赤のラインとサポートのオレンジ色のラインの450~550万円のレンジ帯での価格推移が意識される中、3角保ち合い(図白矢印)を形成していく流れが想定されるだろう。
(9/26 午後9:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
9/26の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は1.55%、中央値は1.11%、標準偏差は1.75%となった。
最大上昇銘柄はETH/JPYの5.85%、最大下落銘柄はBCH/JPYの-1.03%。
9/26の当社取扱い銘柄は午前中から午後5時にかけては全面安となったが、午後6時以降から反発し、BCH/JPY以外は前日の終値を上回る下髭陽線の展開となった。
最大上昇銘柄のETH/JPYは、1時間足で見ると、午前から午後5時かけての下落で、ボリンジャーバンド2σの下限まで到達し、バンドムーブの流れの中下落していたが、午後5時を過ぎると、そこから急反発して午後5時には、始り値を上回り2σのUpperLineまで上昇した。
最大下落銘柄のBCH/JPYは、他の銘柄同様に下落からの急反発となったが、翌午前1時以降は上昇が続かず、下落に転じたことからBCH/JPYだけ前日の終値を上回ることができなかった。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
9/26の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は8.97%、中央値は8.75%、標準偏差は2.78%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はOMG/JPYで15.40%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPYで3.93%となった。
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