BTC(ビットコイン)、保有数量はどうなっているのか
Daily Market Report 2021/09/21
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・BTC現物保有高はゆるやかに減少するが・・・
BTC現物保有高: https://jvcea.or.jp/about/statistics/より、BTC価格:当社終値仲値、当社作成
上図は、2018年12月から2021年7月までの現物BTCの保有高の推移(日本暗号資産取引業協会資料)とBTC/JPYの価格推移である。
2020年9月からBTC価格は顕著な上昇が確認できるものの、BTCの保有高については逆に右肩下がりとなっていることがわかる。
BTC保有高は2019年1月に164,058BTCを記録した後、2019年1月から2020年2月にかけては16万BTCから13万BTC間で推移し、BTC価格は100万円前後の価格帯で推移した。
BTC保有高は2020年3月に再び16万BTCを超え、翌月2020年4月にはJVCEAの統計上過去最高となる169,397BTCを記録した。一方でこの間のBTC価格は100万円を割り、3/31は69万円、4/30は94万円を記録した。このことから、BTC/JPYの価格下落に伴い、押し目買いが入ったことが読み取れる。
BTC保有高は2020年4月にピークをつけた後は減少に転じているが、一方の価格は2020年4月以降も堅調な推移を見せている。特に、その値動きは2020年9月から2021年3月にかけて顕著になった。
BTC価格の上昇に対して、BTC保有高が減少していることは、一見BTC市場が縮小しているように見える。しかしながら、BTC/JPYの価格が大きく変動しており、BTC/JPYの価格も考慮するべきである。
次項以降において、価格を加味したBTCの保有金額について検証をしてみる。
・BTC円換算ベースでは増加傾向
BTC現物保有高、現物円換算ベース: https://jvcea.or.jp/about/statistics/ より当社作成
上図は、先ほどの図にBTCの保有額を円換算したチャート(オレンジ色)を加えたものである。
BTC価格は2018年12月から、ピークを付けた2021年4月までで、およそ2,500%(25倍)にまで上昇していたが、同時期のBTCの円換算保有高は、1,000%(10倍)程度の増加に留まっているのがわかる。
価格上昇に伴い、利益確定の売りからか持ち高は下落しているが、円換算したBTCの保有額は価格を加味しない保有数量と比べると保有状態の下落が顕著に表れていない。
これはBTCが投資アセットクラスとして、一定の役割を担っていることを示していることの証左かもしれない。つまり、投資家のポートフォリオのなかで、流動性の高い資産として価格水準の変化により、臨機応変に保有数量を変更している動きということである。
その後、2021年5月の価格急落でBTC保有高は若干の持ち直しを見せているが、価格の上昇を加味すると、表立って増えているとは言えない状態が見えてくる。
・証拠金取引建玉の推移
BTC証拠金買建玉売建玉合計円換算ベース、BTC現物保有高円換算ベース: https://jvcea.or.jp/about/statistics/より当社作成
上図は、証拠金取引建玉の買いと売りを合計した円換算金額(証拠金取引建玉額)とBTCの円換算保有高とを比較したものである。
2018年12月以来、相関する関係にあったが、2021年5月の急落を受け、6月以降、乖離が大きく広がっている事が見受けられる。
・レバレッジ規制の影響か?
両者は俯瞰して見ると、相関した動きをしていると言えるが、過去、2019年初期には、証拠金取引建玉額はBTCの円換算保有高と相関せず、荒い動きをしていたことが分かる。
これは、2019年の2月から4月にかけての暗号資産のレバレッジ取引を提供する国内大手各社が自由に設定していたレバレッジ比率を4倍へ変更することを発表した時期、および2019年7月に変更が適用された時期と重なる。
上記期間において、現物は増加傾向にあったが、レバレッジ変更の発表を受けて、証拠金取引は減少したようだ。また、2019年7月に変更が適用されると、価格が横ばいで推移していたことも相まって、両者とも資金の流入が低迷した。
2021年4月には、国内大手各社がレバレッジ2倍へと変更した。
レバレッジ2倍の影響からか、4月から5月にかけて現物と証拠金取引はともに減少している。6月には減少を続ける現物保有高に対し証拠金取引は伸びたが、7月に再び乖離し、現物と逆行する流れとなった。
2021年5月は相場の急変があり、ボラティリティが生じたことにより一時的に証拠金のニーズが増加したことが考えられる。しかし、その後においては再度乖離が発生しているのがわかる(現物増加、証拠金減少)。
今後の現物とレバレッジの乖離については、収縮していくのか、拡大するのかは明確でないものの、前述のとおり、暗号資産がポートフォリオの一翼として重要度が増す可能性には留意しておきたい。
この場合、個人投資家の現物ニーズと機動的なヘッジ需要からのレバレッジ取引のニーズから両者へのニーズは価格水準により収縮と乖離を繰り返すことを想定しておく必要があるかもしれない。
足元では取引高の推移を見ると、5月と7月の取引高は証拠金が314億円から315億円と横ばいであるものの、現物取引は5,347億円から6,028億円の+12%となっており、回復基調であるようにも見受けられる。
アノマリーでは、年末年始の暗号資産市場はとてもボラティリティが高まる傾向がある上、XRPはスウェルの開催も迫っており、今後、益々暗号資産マーケットに注視する必要がありそうだ。
(9/21午前7:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
9/20の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-9.92%、中央値は-11.62%、標準偏差は5.91%となった。
最大上昇銘柄はOMG/JPYの9.05%、最大下落銘柄はQTUM/JPYの-14.43%。
最大上昇銘柄のOMG/JPYは、3日連続陽線となった。BTC/JPYを含め、他の銘柄と同様に軟調な値動きで推移したが、午後9時からの反発で昨日終値を上回り、クローズを迎えた。
最大下落銘柄のQTUM/JPYは、他の銘柄と同様に軟調な推移となった。午後9時台に底値をつけると、そこから反発したが、戻りが弱く、1,107円でクローズを迎えた。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
9/20の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は19.10%、中央値は17.63%、標準偏差は5.16%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はOMG/JPYで33.89%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPYで12.33%となった。
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