ETH(イーサリアム)、「NFT」検索数減少の影響は?

Daily Market Report 2021/09/16

_

「NFT」への関心が価格形成の一助?

Googleトレンド 検索:「NFT」, 場所:全世界
ETH/JPY 当社クローズレート(Mid)
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2021年初~2021/9/12までのGoogleトレンドにおける「NFT」の検索数と、当社ETH/JPYの終値価格(Mid)の比較チャートである。

ETHは「NFT」市場における取引手段としての一面も持っていることから、世間における「NFT」への関心も、価格形成の要因の一つとなりうると推察される。

上図をみると、年初はごくわずかだった「NFT」検索数が、3月には期中最大値の100に到達しているのがわかる。これに引っ張られるように、ETH/JPYの価格も7万円台から20万円台まで上昇しており、「NFT」の盛り上がりがETHに影響したように見える。

過去を振り返ると、3月中旬から7月にかけては、「NFT」検索数の推移は下落基調となったが、逆にETH/JPYの価格は検索数のピークから61日遅れて高値を付け、45万円にまで達している。

その後は反落、中国の規制強化等ファンダメンタルズの材料も重なり、ETH/JPYは下落トレンドに入りし、20万円前後まで価格は下押しすることになった。

同時期の「NFT」検索数も低迷しており、NTFの関心低下がETH/JPY価格の重しとなったような状況となっていた。

一方で、1月から5月上旬にかけては連日のBTCの史上最高値更新に挙げれられるように、暗号資産全体が上昇していた時期でもあったため、「NFT」への関心がETH価格の上昇に寄与していたとは断言できないかもしれない。

そこで対BTCでの比較もみてみよう。

対BTCのほうが底堅い?

Googleトレンド 検索:「NFT」, 場所:全世界
ETH/BTC (当社クローズレートETH/JPY BTC/JPYより合成)

上図は、先ほどのGoogleトレンド「NFT」の検索数にETH/BTCの終値価格(Mid)をプロットしたチャートである。

ETH/BTCの価格をみると、1月から2月にかけては上昇し、「NFT」が注目され始めた時期と重なるが、3月にかけては下落しているのがわかる。

このことから、前述の対JPYにおける3月までのETH価格の上昇は、BTC/JPYに連れた結果の上昇であり、「NFT」への関心がBTCを上回るパフォーマンスには波及していなかったという見方もできるだろう。

一方、5月の下落局面における下げ幅をETH/BTCでみると、ETH/JPYは半値以上のマイナス幅で3月からの上昇を打ち消すほどであったが、対BTCでは高値圏での調整程度の下落となっており、年初から見ると、未だ高値圏を維持していると考えられる。

俯瞰的にみると、「NFT」検索数から想定されるETH/BTCの強弱の循環は63日と、概ね2ヶ月程度であることがわかる。

検索数のピークアウトとETH価格のピークまでのタイムラグについては、ETHと「NFT」の関係性から推測できる。

世間一般の「NFT」への関心増加がETHの購入動機となり、ETHの価格を押し上げる。その後、ETHの価格上昇はETH建てである「NFT」への買い控えにつながる。

結果として、「NFT」市場における売買が滞り、「NFT」活況の沈静化、ETHのじり下げに繋がるという流れが推測される。

検索数の急減に対してETHの価格が緩やかに下降するのは、「NFT」以外にも価値の保存や値幅取り等の保有動機を持つからとも考えられる。

上記を踏まえた上で、足元の「NFT」検索数とETHの価格は興味深い状況となっている。 

直近9月の「NFT」検索数は100付近からピークアウトし、3月と同じような状況が発生している点は注目しておきたい。

過去と同じような推移となるならば、「NFT」検索数のピークアウトから2ヵ月ほどで、ETHの価格もピークを付けることになる。今回も同様に2ヶ月の下落サイクルとなりうるのか注目しておきたい。

最後にETH/BTCの価格について、状況を整理する。

ETH/BTCは週足の平行チャネルに注目

ETH/BTC 週足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、ETH/BTCの週足チャートである。

ETH/BTCは、昨年2月を起点とする週足目線での平行チャネルが意識されてきた(上図白線)。

2020年2月から2021年4月の期間においてはチャネル上限として機能していたラインが、2021年4月のチャネル上抜け以降はサポートラインとして機能していることが分かる(上図白丸)。なお、平行チャネル下限では、赤矢印を含めると2度反発しており、中間地点(点線)は、2020年の前半にもみ合った位置となる。

今後のETH/BTCの展開として、まず念頭に入れておきたいのは赤矢印の今年2月に反転上昇したパターンである。

当時のチャネル上限での反落から振り返ると、ETH/BTCは平行チャネル内のレンジ推移のため、もう一度チャネル下限に触れるまで下押してから再び上昇する展開が想定される流れだったが、実際のETH/BTCは下限に触れることなく浅い位置で反発している。

その後のチャネル上限のブレイクについては「従来の平行チャネルをレンジとした相場よりも、買い意欲が強まる流れに変わった」と考えられるが、浅い位置からの反発の時点でETH/BTCに変化の兆候が現れていたようだ。

この平行チャネル付近の値動きと前述の2ヶ月スパンの弱気局面を踏まえた上で、現在のETH/BTCのチャートに当てはめると各シナリオは下記になる。

<上昇シナリオ>

「NFT」検索数のピークから2ヵ月後の11月下旬にかけては「NFT」への関心低下が続き、ETH/BTCは平行チャネル上限まで下押するものの、反転上昇するシナリオとなる。

このシナリオでは、過去においてはチャネルの上限であり、現在はチャネルの下限・サポートに変わったラインにおいて反転し(上図黄矢印)、そのまま上昇する展開を想定する。

その場合、年初来高値と8月末より形成していたレジスタンス(青矢印)と平行チャネルより形成された三角保合いとなる展開がまずは想定されよう。

その後、三角持ち合いをブレイクすれば、上昇トレンドを受けた強い基調が継続することになり、買い戻しも相まって、そのまま年初来高値を更新する、年初の大幅上昇の再現となる可能性も考えられる。

<下落シナリオ>

上昇シナリオの破綻の一例として下落シナリオを検討してみる。

このシナリオでは「NFT」検索数のピークアウトから2ヵ月後にETHはピークをつけて下落するシナリオとなる。

具体的には平行チャネル上限を2週連続で下回り、平行チャネル内に引き戻されてしまう動きとなるが、その後は前述の平行チャネル内でのレンジ推移が想定しやすいか。

ここでは、点線部のチャネル中間(年内は0.0500BTC-0.055BTC付近)が、6/28の押し目(上図白ホライゾンライン)とも重なってくるため、この辺りでは買い支えが入り、反転の兆しとなりえるかもしれない。

反転した場合は、再度チャネル上限を目指す動きとなるのか、それとも続落、チャネル下限を目指す動きとなるのかに注視しておきたい。

(9/16午前6:30時点)

銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

9/15の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は3.52%、中央値は3.37%、標準偏差は1.20%となった。

最大上昇銘柄はETH/JPY6.18%、最小上昇銘柄はMONA/JPY1.35%

9/15の当社取扱い銘柄は全面高となった。主な材料はGoogleとNFT関連企業の提携報道と、米国大手取引所における発表2件「デリバティブ取引の提供を目的とした商品取引員の申請」「2銘柄の新規上場(うち1銘柄はイーサリアム基盤)」である(9/15 CoinPost)。

最大上昇銘柄のETH/JPYは、欧州市場時間から夜間にかけて堅調に推移した。ETCも上昇している点を踏まえると、前述の報道が買い材料としてイーサリアム基盤の銘柄に強く働いたようだ。

最小上昇銘柄のMONA/JPYは、小幅に続伸。9/8以降は値動きに乏しく、約10%未満の値幅に落ち着いている。

24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

9/15の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は4.43%、中央値は4.52%、標準偏差は0.96%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はETH/JPY6.60%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPY2.59%となった。

◆本資料においてお客様に提供される情報は、株式会社DMM Bitcoinが収集・作成等したものです。

◆本資料は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。

◆本資料は、本資料作成時点で株式会社DMM Bitcoinが信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。

◆本資料の情報によって生じたいかなる損害についても、株式会社DMM Bitcoinおよび本情報提供者は一切の責任を負いません。

◆本資料のグラフ・データ等は、過去の実績または作成時点での見通し・分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。

◆本資料に関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、株式会社DMM Bitcoinまたは権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。

2021-09-16
ページTOPへ