米ビットコインETF承認を再延期、規制強化連想で上値が重いか―米SECの動向に注目

Daily Market Report 2021/09/14

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米SEC委員長(ゲーリー・ゲンスラー氏)、上院銀行委員会へ登壇―「規制」言及に警戒

9/14午後7時(日本時間)、米SEC委員長登壇へ

9/14 午後7時(日本時間)に米国で開催される上院銀行委員会の公聴会で、米SEC(米国証券取引委員会)のゲーリー・ゲンスラー委員長が登壇する予定である(CoinPost クリプト指標より)。

同氏は、8/4に開かれたオンラインの公演で「投資家保護体制が整っておらず、開拓時代の西部のようだ」、「我々の力を使い、役割を果たす」(8/4 日本経済新聞)と述べており、暗号資産に対する規制強化の必要性を強調している。

従って、同氏が当委員会で「暗号資産に関する規制強化」について言及する可能性が高く、ネガティブ・サプライズとなることに警戒しておかなければならない。

「規制強化」は市場にとってネガティブ材料

DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)などの分野においては、法整備が十分でない今、市場は陽気(将来的な幅広い可能性を織り込む形)であると言える。

もし、規制強化ないし、それに付随する発言があれば、多かれ少なかれ将来的に規制強化が成される(施行される)可能性があるという、思惑または事実から、市場は売りで反応(=思惑売り、事実売り)することが想定できる。

実際問題、規制の軽重によっては、取引所の閉鎖や取扱銘柄や取引の制限、投資者の取引メリットの抑制等が生じる可能性があり、その場合、著しく流動性が低下(需要が減少)する等という悪循環に陥りかねない。

米SEC、ビットコインETF審査期間を再び延長へ―「規制強化」が先か

<ビットコインETFとは何か>

ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)は、取引所に上場したインデックスファンド(特定の指標に連動するよう設計された投資信託)のことである。つまり、暗号資産ETF(ビットコインETF)とは、ビットコインを投資対象に含め、かつ価格に連動するよう設計された上場投資信託を表す

なぜ、ビットコインETFに注目するのか

ETFの運用方法としては主に「現物拠出型ETF(参加者が構成する銘柄と同等の現物を購入したポートフォリオを運用会社に拠出し、それを基に運用会社がETFを設定する方式)」と「デリバティブ型ETF(参加者がETF発行者に金銭を拠出し、ETF発行者が特定の指標に連動するデリバティブ商品を購入する方式)」があり、ETFが承認(上場)されるということは、ETF運用会社が、スポット市場やデリバティブ市場において対象銘柄について、旺盛に売買を行ってくる参加者として参入することを示唆し、一定数量の需要の増加が見込まれている。

加えて、ETFを通してビットコインを保有できるということは、投資家の間接的なビットコインの保有を意味しており、投資家が個人でウォレットを管理する必要がなくなり、ハッキング等の煩わしい保管リスクの低減も期待される。

また、ETFの上場には、金融監督当局からの承認が必要で、取引面やセキュリティ面など厳格な審査がなされる。

そのため、ETFの承認は、それら厳格な審査をパスしたということになり、暗号資産の信頼性が増し、一部で始まっているようなビットコインによる確定拠出年金(401k)等、より多くの投資資金が参入してくることが期待できるだろう

米SEC、ビットコインETFの審査期間を11月14日まで再延長>

米SECは、米資産運用会社VanEck(バンエック)が申請しているビットコインETF(上場信託)の審査期間を今年11月14日へ再延長(9/10 Coindesk)した。

同社のビットコインETF(=「VanEck Bitcoin Trust」)は、昨年の12月30日に米国で初めて申請されたビットコインETFである。その申請日から現在まで、米SECは2度、回答を延期してきた。今回の回答期限は9月15日であったが、SECは8日、審査期間を11月14日までと再び延長した。延長はこれで3回目となるが、今回の延長はこれまでとは大きく異なる。

米SEC、「ビットコインETF承認」より「規制強化」が先か1114日までに法整備される可能性も

ここで、直近の米SECに関連するヘッドラインを整理してみる。

ビットコインETF、上場申請相次ぐ 米SECに迫る判断の時(9/10 日本経済新聞)
・米SEC、暗号資産商品に異例の警告-募集開始前に「無法地帯」介入(9/9 Bloomberg)
・SEC、仮想通貨の融資巡りコインベース提訴も(9/8 Reuters)
・米SEC、DeFiのユニスワップを調査(9/4 Coindesk)
・「規制がなければ仮想通貨は長続きしないと主張」=SECの委員長(9/2 CoinPartner)
・米SECゲンスラー委員長、仮想通貨について欧州議会と意見交換を実施(9/2 CoinPost)
・XRPの未登録証券訴訟で、リップルがSEC内部の仮想通貨取引方針の開示を請求(8/31 Cointelegraph)

現在、米SECは、XRP(リップル)の訴訟問題やDeFiの調査、米レンディング大手の証券法違反に関する問題など、ビットコインETFの審査以外にも多くの課題を抱えている中、今回のETFの審査期間を11月14日までとした。

SECでは、申請されたETFについては申請日から45日間の審査期間が設けられており、その期間内に判断できない場合は最大240日間の延長が可能となっている。

これらの状況からすると、同ETFの審査期間である11月14日までには、最終的な結論が出る見込みであり、これら積み上げられた課題を何らかの規制強化等で解決する算段であるとも考えられる。

すなわち、少なくとも、今年11月14日(=ビットコインETF審査期間)までに(何かしらの)規制強化」が成される可能性があるかもしれない。

そもそも、承認にあたっては取引面など厳格な審査を要し、課題を残したままで承認される事は考え難い。米SEC委員長が「規制がなければ仮想通貨は長続きしない」と主張(9/2 CoinPartner)していることからも窺える。

その場合、「(何かしらの)規制強化→ビットコインETF承認」という流れも考えられそうである。いわば、ETFの承認は「規制の関門」であり、市場にとっては、諸刃の剣となるかもしれない。

市場は、米国初となるビットコインETF承認をもって再び好機づくことになるのか、はたまた、規制によって長い冬を迎えるのか、注意する必要があるだろう。

市場情勢によっては、SECが再びETF申請を却下するという選択も考えられるであろう。

【一目均衡表分析】マーケット-インプレッション:「規制ムード」をなかなか払拭できず―ネガティブ・サプライズで急落もあるか

BTC/JPY 日足チャート(当社取引ツールより作成)
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら

上図は、BTC/JPY日足チャートに一目均衡表(転換線期間:9日、基準線期間:26日、先行スパン2期間:52日)と4つの単純移動平均線(5日移動平均、21日移動平均、90日移動平均、200日移動平均)を設定した図(期間:2021/8~現在)である。

現在、実体(価格)は相場の勢いに追撃する5日移動平均と長期トレンドの分岐点ともなる200日移動平均で上値を抑えられる形で下押し。4,820,000円~5,430,000円(8/12以来の安値~8/26日高値、上図①~②)をレンジに攻防戦となっている

26日遅行スパンが実体と絡み合っている(=上図Ⓐ)ことや、9/17(水)に転換線が基準線を下回る見込み(=上図Ⓑ)であることから、三役好転の継続が怪しい。

二役逆転(転換線が基準線を下回り、26日遅行スパンが実体を下抜けた状態)となり、下落トレンドが視野に入ってきそうであるが、雲の先行きは上向きで厚い(=上図Ⓒ)ため、下値は限定的だが、停滞気味な展開となるか

この相場認識を踏まえ、<上昇シナリオ>と<下落シナリオ>を想定する。

上昇シナリオ>:5日移動平均で追撃しても、雲上限でサポートされるか

5日移動平均と200日移動平均に抑えらる形で下押すと、4,820,000円(8/12以来の安値付近)が上向きの厚い雲の上限(先行スパン1)と重なっているため、強いサポートとなる可能性が高い(=上図①)。

同価格(=上図①)をサポートに反発に成功し、攻防戦(上図①~②)を脱した場合、一旦は、5,280,000円~5,320,000円を上値目途とした反発が期待出来そうである。同価格帯では、21日移動平均、基準線、転換線等が意識され(=上図③)、下落トレンド継続の見極めの重要なポイントとなりえそうだ。

5,280,000円~5,320,000円(=上図③)をハイブレイクできれば、厚い上昇雲を足元に三役好転相場となるため、青天井(テクニカル的な許容幅を超える大相場)と判断し、逆転しない限りはトレンドフォローのスタンスで臨むことも一考かもしれない。

下落シナリオ>:上昇雲と90日移動平均でしっかりサポート

4,820,000円(=上図①)を下抜けても、雲の上下限(先行スパン1と先行スパン2)は上昇(=上図Ⓒ)していることや、雲に寄り添う90日移動平均が上向きであるため、4,100,000円~4,460,000円(=8/3安値~90日移動平均、上図④~⑤)では下げ止まることが想定される。

戻り目としては、4,820,000円(=上図①)を割れる際に急落するようであれば追撃型の5日移動平均を、巡航速度で切り下げる場合は日足トレンドの節目を捉える21日移動平均を意識するとよいかもしれない。

「上昇期間より下落期間の方が短い」という上昇トレンド中の波の性質からすれば、4,100,000円~4,460,000円(=上図④~⑤)への到達に要する日柄は短い可能性があるため、前者は特に警戒すべきだろう。

勢い余って4,100,000円~4,460,000円(=上図④~⑤)をローブレイクするようであれば、底抜け(テクニカル的な許容幅を超える大相場)と判断する必要があるかもしれない。

(9/13午後2:30時点)

銘柄別価格前日比 (%)

 社内データより作成

9/13の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-3.12%、中央値は-2.87%、標準偏差は1.96%となった。

最大上昇銘柄はLTC/JPY0.09%、最大下落銘柄はOMG/JPY-7.22%

最大上昇銘柄のLTC/JPYは、午後10時台にウォルマートがライトコインによる支払いを受け入れるとの報道を受けて30%上昇したが、それが事実ではないことが判明すると、もとの価格水準まで急落する展開となった。

最大下落銘柄のOMG/JPYは、他の銘柄と同様にLTC/JPYにつられて上昇したのち下落した。午後11時台に安値となる852円をつけてからは反発したものの、他の銘柄に比べて戻りが弱かった。

24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

9/13の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は13.53%、中央値は11.42%、標準偏差は6.82%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はLTC/JPY33.75%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY7.69%となった。

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2021-09-14
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