投資家の注目を集めるLTC(ライトコイン)、 アクティブアドレスから見える強気シグナル

Daily Market Report 2021/09/13

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8月後半からの上昇率が目立つLTC

米国のインフレ動向とそのインフレヘッジ資産としての暗号資産の関係から、暗号資産市場と米国の金利動向は2020年以降、概ね相関がある動きとなっている。

したがって、暗号資産の行方を考えるにあたり、米国の金利動向は重要なパーツの一つである。

8/27に米連邦準備制度理事会(FRB)議長がジャクソンホールにて基調講演を行い(8/27 Bloomberg)、“資産購入縮小”と“政策金利の利上げ”を切り分けることを強調した。

これを受けて、利上げを急がないと市場関係者が受け止め、株式市場を中心にリスク選好ムードが改めて広がったようだ。

FRBのスタンスは、利上げを急ぐほどインフレ懸念が強くないということでもあり、過去の暗号資産との相関からは暗号資産市場へはネガティブな要因が懸念された。

ふたを開けてみると、ジャクソンホールの後に暗号資産市場は、大きく下落する局面もなく、逆にBTC(ビットコイン)は9/1にもみ合いを脱して9/7には約4ヶ月ぶりに約570万円へと回復している。

その後、スポット的な調整局面に起因してか、大きなストップロスを巻き込み暗号資産市場全体が急落する流れとなっている。

BTCは、600万円の大台が見えてきたためか、一部では、エルサルバドルでのBTC法定通貨化の実施に対する“事実売り”との声もあったようだ。

BTC/JPYは足元では、500万円付近での取引となっているが、今回はBTCと関係の深いLTC(ライトコイン)の動きに注目してみる。

当社配信レートより作成

上図は、ジャクソンホールでの基調講演開催日の8/27を起点とし、9/12までの当社取扱銘柄の最大上昇率、最大下落率、騰落率を表している時価総額順のランキングである。

最大上昇率はOMGの67.1%であり、QTUMの39.3%、LTCの35.6%等が上位を占めている。最大下落率では、XLMの-19.5%、ETCの-18.2%、BATの-13.7%等が上位として目立つ。

LTCに注目すると8/27始値(18,578円)から9/7高値(25,190円)にかけて35.6%のも上昇を記録しており、「上昇率」「現時点での騰落率」を他銘柄と比較すると、LTC/JPYのパフォーマンスが良好であることが伺える。

当社配信レートより作成

上図は、6/14を起点とした過去90日間のボラティリティ推移について、時価総額上位5銘柄、時価総額6位以下、LTCの数字をプロットしたものである。

時価総額1兆円を超える“大型銘柄”であるLTCのボラティリティは、時価総額上位5位銘柄のボラティリティのみならず、時価総額6位以下のボラティリティに対しても、比較的低いことが分かる。

一般的に、時価総額とボラティリティは逆相関であり、時価総額が大きい銘柄ほど値動きは小さい傾向にあるが、時価総額が低い暗号資産も含め、LTC/JPYは、比較的に安定した値動きであったとみることが出来そうである。

それでは、LTCの安定的な上昇の背景にはどのような要因が存在しているのであろうか。

アクティブアドレス数の増加が背景にあり

Glassnode(https://glassnode.com/)より当社作成

上図は、BTC(ビットコイン)、LTC(ライトコイン)それぞれにおけるトランザクション(取引)に一日で使用されたアクティブアドレス(※)の数を表しており、黄色部分は過去最高値を表している。
※アクティブアドレスとは、暗号資産の送付と受取に使用されたアドレスのことであり、この数が多いほど取引が活発であると言える。

BTC(ビットコイン)のアクティブアドレスが最多となったのは4/15であり、BTC/JPYはこの前日に最高値を記録している。

LTC(ライトコイン)においては、LTC/JPYが最高値を付けた5/10時点のアクティブアドレス数は43万アドレスと高い数値を記録しているが、アクティブアドレス数の最高値は8/25の46万アドレスであることがわかる。

アクティブアドレス数のボラティリティは、価格に比べて高く、5/10に43万を超えた一方で、7/30には約18万にまで急低下した場面もあり、短期的な評価については注意が必要であるが、中長期の視点においては有効性を見出せるかもしれない。

上図「a÷b(LTC/BTCのアクティブアドレス比率)」で分かるように、BTC(ビットコイン)とLTC(ライトコイン)のアクティブアドレス数の比率に着目すると、1/1の0.11、5/10の0.33、8/25の0.55とLTCのアクティブアドレスは着実に増加傾向にあると言え、LTC(ライトコイン)への市場参加者の関心は高まっていると考えられる。

8月のLTC(ライトコイン)上昇局面は、こうしたLTCアクティブアドレスの増加傾向からみると、市場参加者の強気コンセンサスが形成された結果とも捉えられるかもしれない。

次にLTCの行方について、上昇、下落の2つのシナリオを検討してみる。

今後のシナリオ

LTC/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
LTC(ライトコイン)のチャート・価格情報はこちら

<シナリオ1>:上昇シナリオ

過去に何度も上値を抑えるレジスタンスラインとなった25,000円付近までの上昇は期待できそうだ(上図黄線)。

上述の通り、長期的なアクティブアドレス数の増加及び、ボラティリティが相対的に低水準が継続するようであれば、他銘柄と比較しLTCの上昇が加速する場面も考えられる。

また一方で、短期的にはアクティブアドレス数の増加がピークをつけている側面もあり不安材料として捉えている可能性がある。長期・短期ともにアクティブアドレス数が増加傾向を示し、不安材料が取り除けるようであれば、直近の高値25,000円を上値目途とした、反発局面入りに転換するケースも考えられるであろう。

25,000円の上昇までに、まずは足元のレンジ高値の20,000円を攻略できるかどうか注目したい。

<シナリオ2>:下落シナリオ

9月最安値の約17,000円が、重要なサポートラインとなってきそうだ。

長期的にはアクティブアドレス数の増加傾向が見られるものの、短期的にはアクティブアドレス数の増加がピークをつけ、足元で頭打ちになっている。そのため、アクティブアドレス数の最高値更新を改めて確認するまで、現在推移しているレンジで値固めとなるだろう。直近のレンジ下限目安は17,000円が可能性として挙げられる。

17,000円を下回る場合、今年1月からの長期的なサポートラインとなっている12,000円が視野に入ってくる。

短期的なアクティブアドレス数の頭打ち傾向が止まらずに継続するか、増加への反転に時間がかかるようであれば、17,000円を下回ることも考えられる。

年初来サポートラインとなっている12,000円を下限目安としてレンジ形成することも想定する必要があろう。

(9/12午後8:00時点)

銘柄別価格前日比(%)

社内データより作成

9/12の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値、中央値ともに0.55%、標準偏差は1.02%となった。

最大上昇銘柄はMONA/JPY3.10%、最大下落銘柄はLTC/JPY-0.83%

最大上昇銘柄のMONA/JPYは、大幅反発。MONA自体に明確な材料は挙がっていないが、次期政権への期待感を背景とした海外投資家の見直し買いを一因とした日本株の株高(9/12 Bloomberg)もあり、日本発祥の暗号資産であるMONAへの市場心理が好転しつつあるようだ。

最大下落銘柄のLTC/JPYは、実体の乏しい十字線。前日9/11は6%の大幅高となり、9/10の下げ幅を取り戻したが、上値追いは続かなかったようだ。

24時間 ボラティリティ(%)

社内データより作成

9/12の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は6.75%、中央値は6.10%、標準偏差は2.73%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はOMG/JPY13.87%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY3.18%となった。

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2021-09-13
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