BTC(ビットコイン)、海外との価格差が意味するものとは
Daily Market Report 2021/09/03
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・韓国取引所との価格乖離率は20.1%→0.4%まで縮小
BTC/JPY日足 Tradingviewより当社作成(期間:2020.11.1~2021.9.1)
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上図は、2020年11月から現在までの韓国大手取引所2社のBTC/KRWの平均価格、当社BTC/JPYおよびそれらの乖離率を示したチャートである。BTC/KRW平均価格を当時のKRW/JPYレートで円換算した。
韓国における暗号資産取引については、XEMの取引の4割をKRWが占めている通り(Daily Market Report 2021/08/31「XEM(ネム)の4割はKRW(ウォン)建、節目となる価格は?」参照)、世界的にみても活況であることが伺えるが、規制等の理由によって海外とのアクセスが難しいことから、韓国取引所と諸外国との価格乖離が注目されるケースがある。
直近10ヶ月の価格を当社価格と比較しても、うち半年近くは5%以上の乖離局面が発生していたようだ。
例えば4/16のBTC/JPYの当社価格は635万円だが、韓国取引所では764万円と129万円の上乗せ(プレミアム)が発生しており、価格に対して+20.18%の乖離率となった(上図黄矢印)。
価格の乖離は上昇局面だけでなく、下落局面でも発生している。
5/19にはテスラ社の決済動向や中国国内の暗号資産規制から、リスクオフとなり、当社のBTC/JPY価格は424万円まで下落するが、韓国レートでは509万円を保っていた。乖離率は+19.99%と4月の上昇局面と遜色ない数字となった(青矢印)。
一方、2/3(赤矢印)に関していえば、韓国取引所のBTC/JPY価格が367万円と当社取引所391万円を-6%と下回っており(ディスカウント)、必ずしもプレミアムが発生するとはいえない。
同様のディスカウントは約半年ぶりに8/1にも発生している。価格差は何を意味するのか、さらに過去のチャートも確認してみよう。
・プレミアムは10%超だが、ディスカウントは8%以内に留まる
BTC/JPY日足 Tradingviewより当社作成(期間:2019.1.1~2020.11.1)
上図は前述のチャートにおける期間を2019/1/1~2020/11/1にした当社と韓国取引所との乖離率チャートである。
前述のチャートと比較すると、2019年8月頃から約1年間は韓国取引所が当社レートを下回っている期間が長いことから、必ずしもBTC/JPYに韓国のプレミアムが乗る傾向があるとはいえないことがわかる。
また、2019年12月には量子コンピュータの存在を懸念した急落が発生し、今年5月と同様に、下落局面において、プレミアム(青矢印)が発生したが、2020年3月の新型ウイルス懸念による急落時(黄矢印)にはディスカウントされるケースも確認でき、ボラティリティの拡大がプレミアム発生に結びつくとは限らないようだ。
一方で、価格上昇時のプレミアム上乗せに着目すると(赤矢印)、半年以上前につけた高値を更新した場合に乗る傾向があると推察される。
また、高値を更新していく中、大きな価格プレミアムが発生した場合、総じてその後に大きな価格調整が発生している。なお、ディスカウントは-8%~-5%以内に留まっている点も前述のチャートと共通しており、注目しておきたい。
・価格乖離の末には
BTC日足 Tradingviewより当社作成(期間:2020.11.1~2021.09.01)
上図は2020年11月から2021年9月現在までの世界におけるBTC全体の取引高と、韓国取引所の取引高を比較したチャートとなる。
価格乖離が顕著だった、2021年3月から2021年5月において、全体の取引高が比較的低く、日次の取引高が100,000BTCを下回る日も多く散見されるようだ。相対的に韓国取引所の取引高はそこまで落ち込んでおらず、価格乖離は全体の取引高が低下することにより、相反して韓国取引所の取引高の比率が高まる事で発生している可能性が垣間見える。
足元では、2021年8月以降、出来高が100,000BTC/日を下回る日が続いているが、韓国取引所の取引高は概ね同水準を維持しており、大きな乖離は発生していない。
近い将来、韓国取引所において大きな価格乖離が生じる一方、全体の取引高が盛り上がってないような状況が発生した場合、5月中旬の様な大きな価格調整が発生する可能性も考えられるだろう。
韓国取引所の価格プレミアムと、全体の取引高の動向に注視していく必要があるであろう。
(9/2午後10:00時点)
・銘柄別価格前日比(%)
社内データより作成
9/2の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は1.87%、中央値は1.71%、標準偏差は1.15%となった。
最大上昇銘柄はXRP/JPYの4.24%、最大下落銘柄はOMG/JPYの-0.05%。
暗号資産市場は全面高。
9/7に施行されるエルサルバドルの「ビットコイン法」による需要期待や、BIS(国際決済銀行)が4か国(オーストラリア、マレーシア、シンガポール、南アフリカ)と連携した国境間決済プラットフォーム「Dunbar」プロジェクトを発表した(9/2 CoinPost)ことでデジタル通貨市場拡大の期待から堅調に推移。
ニューヨーク市場時間に入ると、MAS(シンガポール金融管理庁)のInvestor Alert List(投資家警告リスト)に大手暗号資産取引所がリストアップされた(9/2 CoinPartner)ことや、米SEC(米証券取引委員会)が暗号資産レンディングサービスを手掛ける企業とその関連会社に対し、投資家から2,000億円超えを不正詐取したとして起訴した(9/2 CoinPost)ことを嫌気され、暗号資産関連株と連れる形で下押し。
しかし、9/2午後11時にUSDT(テザー)がミント(Mint:新規発行)されたことを引き換えに、下値は限定的であった。
最大上昇銘柄のXRP/JPYは、8/15から価格とオシレーター(日足14日RSIなど)の間にダイバージェンス(価格上昇、オシレータ下落)が生じており、140円(ピボットポイント・R2、日足20日移動平均線+2σ、8/23高値付近)での引けを意識された。
最大下落銘柄のOMG/JPYは、昨日に日足スローストキャスティクスがゴールデンクロス(=上昇サイン点灯)したものの、710円(8/29高値、日足20日移動平均線+1σ付近)を下値目途、740円(8/25高値付近)を上値目途として小競り合いが続いた。
・24時間 ボラティリティ(%)
社内データより作成
9/2の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は4.73%、中央値は4.71%、標準偏差は1.00%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はXRP/JPYで6.50%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETH/JPYで3.28%となった。
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