BTC(ビットコイン)、注目指標をチェック。ビットコイン法は転換点となるか

Daily Market Report 2021/09/01

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様子見相場でも勢い衰えない銘柄は?

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
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上図は2021年6月1日を起点とした当社取扱い銘柄の過去90日間の騰落率グラフと下表はそのランキングである。

ポイントとしては下記の点があげられる。

BTC(ビットコイン)の騰落率は30%超と他銘柄を引き離して上昇
・ETH(イーサリアム)やXRP(リップル)といった時価総額の大きい銘柄も10%を超える上昇
MONA(モナーコイン)は最下位となり下げが目立つ

BTC (ビットコイン)の8/23から8/30までの動きは、概ね横ばい状態での相場推移となった。8/23週の週足を確認すると、その変動は0.97%の下落となっており、暗号資産市場の変動率としては動きに乏しい期間であったといえる。

また、BTC(ビットコイン)の日足を確認すると、200日移動平均線に支えられているものの、移動平均線が横ばいであることから、買い方、売り方ともに拮抗状態であり、8月下旬は様子見ムードが続く相場展開となった。

横ばい相場が続く中、次のトレンド相場が発生するのはいつになるのか。

以下の指標から、示唆される相場展開を確認したい。

・期待インフレ率
・ハッシュレート
・採掘難易度
・フィボナッチ・タイムゾーン

BTC(ビットコイン)vs 期待インフレ率

Bloombergより当社作成

上図は直近一年(2020年8月1日から現在)のBTC(ビットコイン)価格と米国の期待インフレ率の比較をしたグラフである。

暗号資産の代表格であるBTC(ビットコイン)が高騰した一つの要因として、コロナショックをトリガーとした例をみない金融緩和が挙げられる。

グラフから、期待インフレ率とBTCは右肩上がりに上昇しており、中央銀行による増大した資金供給がBTCとインフレ率を共に押し上げたことが考えられる。

金融緩和によるインフレを回避するインフレヘッジを目的としてBTC(ビットコイン)に注目が集まっていたが、5月に期待インフレ率が2.5%でピークを迎えて以降、期待インフレ率は低下傾向にあり、同時にBTC(ビットコイン)の価格も下げていたことがわかる。

8/27にはFRB(米連邦制度準備理事会)のパウエル議長がジャクソンホールで講演を行い、経済が予測通りの見通しに着地するならば年内の資産購入ペースの縮小を始める考えを表明し、2021年度内に量的緩和の縮小が実施される可能性を示唆した。

ジャクソンホールでの講演は、大規模金融緩和によって暗号資産市場にマネーが流れてきた蛇口に、栓がされるトリガーでもあった。しかしパウエル議長が、2021年内の量的緩和資の縮小が適当としつつも、資産購入縮小と政策金利の利上げを切り分けることを強調したことから、政策金利引き上げ懸念が後退し、マーケットに安心感が広がった。BTC(ビットコイン)の価格は急落することなく、足元でしっかりしている

しかし、コロナショック以後、暗号資産市場とBTC(ビットコイン)の成長を支えてきたであろう金余りの状況も終盤に近付きつつあるのは確かであり、BTC(ビットコイン)を始めとした暗号資産市場が今後も成長を続けるためには別角度の材料が必要なのかもしれない。

BTC(ビットコイン)vsハッシュレート

Bloombergより当社作成

上図は直近一年(2020年8月1日から現在)のBTC(ビットコイン)価格とハッシュレートのグラフである。

5月に中国が行った暗号資産の規制強化により、中国金融機関の暗号資産の預け入れ禁止や取引の禁止、そしてマイニングを中国国内で行うことに対する締め付けが強化されたことにより、マイニング業者は撤退を余儀なくされ、一部は海外移転など戦略の転換を強制される事態となった。

現在のハッシュレートは130EH/sまで回復し、6月中旬の水準まで戻ってきたものの依然として、一年前のハッシュレートを下回っている状況である。海外移転を選択する業者も確認できるものの、世界がコロナ禍という病を抱えている状態のため、設備投資に遅れが出ている。

ハッシュレートが過去高値を更新する時期は2022年以降という声もあり、ハッシュレートの低下がBTC(ビットコイン)にどのような影響が出るのか、注視する必要があるだろう。

一方で、マイニング企業の暗号資産が保管されるマイナーウォレットは7/1から増加基調での推移をみせていることから、マイニング事業者の保有暗号資産の現金化は一巡しており、現在は値上がりを待つまで財務基盤が安定してきたことが示唆される。

ハッシュレートの回復が進めば、長期的にはBTC(ビットコイン)にポジティブな環境となる可能性も高いだろう。

BTC(ビットコイン)vs 採掘難易度

Bloombergより当社作成

上図は直近一年(2020年8月1日から現在)のBTC(ビットコイン)価格と採掘難易度の比較をしたグラフである。

2020年10月には世界全体のハッシュレートの60%を中国が握っていたが、その比率は一時46%にまで低下した。また、締め付け強化後の難易度調整はマイナス調整が続き、7月3日の難易度調整は-27.94%と過去最大のマイナス調整を記録する事態となった。

ハッシュレートとともに採掘難易度が低下していた環境であったが、7/31の難易度調整以降は6週に渡って難易度が上昇してきたことがわかり、マイニング環境が改善に向かっていることが読み取れる。

BTC(ビットコイン)vsフィボナッチ・タイムゾーン

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

上図は直近一年(2020年8月から現在)のBTC/USDの週足チャートである。

BTC(ビットコイン)の過去最高値である価格64,899ドル(白色横線)を付けた4/12の週を起点とし、1、2、3、5、8、13、21、34週目のフィボナッチ・タイムゾーン(縦線)を示した図となる。

多くのテクニカル分析は、チャートの縦軸(価格)を予測する手法として有名だが、フィボナッチ・タイムゾーンは、フィボナッチ数列から時間というチャートの横軸(時間)に焦点を当て、時間の経過によるトレンドの状態変化を見極め、トレンドの転換点を把握することを目的とした手法である。

上図から、

① 過去最高値からフィボナッチ・タイムゾーン5週目ラインで下落相場の一番底を付ける
② フィボナッチ・タイムゾーン8週目ラインで下落相場の反発上昇が一巡
③ フィボナッチ・タイムゾーン13週目以降、5週間に渡る上昇相場を形成

ということが読み取れ、フィボナッチ・タイムゾーンで示したラインが相場の転換点と価格変動が期待できるポイントであることがわかる。

週足単位でみると、次の転換点が予測される週は、過去最高値である価格64,899ドルを付けてから21週目にあたるラインの9/6の週となる。

9/6週の注目イベントととして既に公開されているのが、中米エルサルバドルによるビットコイン法(Ley Bitcoin)の施行である。

法案は6/8にエルサルバドル議会で賛成多数で可決されており、BTC(ビットコイン)を法定通貨として認める世界で初めての法案となる。BTC(ビットコイン)での支払いに不安を感じる国民や、国民のBTC(ビットコイン)への理解は未知数であり、エルサルバドル全国民にとって待ち望んだ法案であるかは不明だが、ビットコイン法(Ley Bitcoin)の施行により、税金をBTC(ビットコイン)で支払うことができ、BTC(ビットコイン)を通じて経済主体にアクセスすることが可能となる。

コロナショック以降、金融緩和という土壌に支えられてきたBTC(ビットコイン)であるが、9/6週のビットコイン法(Ley Bitcoin)の施行が金融緩和に代わるBTC(ビットコイン)の新たな成長の転換点となるか注目される週となりそうだ。

(8/31午後8:00時点)

銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

8/31の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.91%、中央値は-1.56%、標準偏差は2.31%となった。

最大上昇銘柄はXRP/JPY3.87%、最大下落銘柄はBAT/JPY-3.77%

最大上昇銘柄のXRP/JPYは反発。
当社取扱い銘柄で最もボラティリティが高かった銘柄でもあった。
20日移動平均線を割り込む場面も見られたが、深夜帯で急騰し、一時133円を付けた。

最大下落銘柄のBAT/JPYは小反落。85円付近で揉み合う展開となった。
8/24より下落基調が続いており、依然として上値が重く伸び悩んでいる印象。

24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

8/31の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は6.91%、中央値は7.30%、標準偏差は2.46%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXRP/JPY12.69%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY3.15%となった。

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2021-09-01
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