XEM(ネム)の4割はKRW(ウォン)建、節目となる価格は?

Daily Market Report 2021/08/31

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2位のQTUMを10%以上引き離す

CryptoCompare(https://www.cryptocompare.com/coins/xem/analysis/)
8/30午後4:00に取得したデータより、当社作成

上図ランキングは当社取扱銘柄について、それぞれの銘柄ペアにおける全体の取引に対するKRW(ウォン)取引の占める割合である。

暗号資産のフィアット(法定通貨)での取引比率に注目すべき理由として、以下の2点が挙げられる。

①:市場参加者の属性の把握

②:①に対する心理的節目となる価格の存在の把握

① 市場参加者の属性として、暗号資産がどのフィアットで取引されているかをみることにより、市場参加者の傾向が読み解けるであろう。例えば、USD建での暗号資産の取引は、米国の投資法人や大口機関投資家等が、厳格な規制の元で用いることの多い暗号資産と言えるだろう。

今回フォーカスしたKRWについては、規制等の理由から売買は韓国国内の投資家である可能性が高いことに注目しておきたい。

韓国では、韓国国内における暗号資産規制により、韓国国内から海外取引所への送受金と海外投資家による韓国系取引所の口座開設が困難であるため、対KRWの取引は主に、韓国国内の個人投資家の取引である可能性が高い。

このため、KRWの取引量が多い銘柄は、相対的に韓国の個人投資家の取引が旺盛であることが推察出来るだろう。

ここで、当社取扱銘柄ペアに占めるKRWの割合に着目すると、以下のように分ける事ができる。

・1位XEM(KRW建て率が約42%) : ボラティリティが高く、リスク志向の投資家が集う銘柄

・2位QTUM(KRW建て率が約28%) : 中国系のエンジニアが関わっていることから、中国国内の暗号資産報道で変動することの多い銘柄

また、これら銘柄はCoinmarketcapにおける時価総額が100位以内であり、決して小さい市場とは限らない点には留意しておきたい。

上位1~3位の銘柄はKRW比率が20%を超えて推移しているので、韓国国内のファンダメンタルズの影響を受ける可能性も考えられる。韓国のファンダメンタルズの変化にも注意する必要があるだろう。

② 心理的節目となる価格については、「キリ番(キリの良い数字)」の存在を意識しておきたい。例えば「100円」や「5万ドル」のようなキリの良い価格では、「5万ドルの節目を突破等の報道」や、指値注文の手軽さから他の価格帯よりも売買が厚くなり、サポートやレジスタンスラインとなる可能性がある。

このため、他の市場参加者が扱うことの多い通貨で価格をみることで心理的節目となる価格を理解しやすくしておきたい。

実際にKRW建てでXEMの価格推移を確認してみよう。

直近1年は100KRW-1,000KRWを推移

XEM/KRW日足 Tradingviewより当社作成(期間:2020.08.01~2021.08.29)
XEM(ネム)のチャート・価格情報はこちら

上図は、2020年8月以降のXEM/KRWの日足チャートである。

XEMは2021年3月に上髭をつけたが、このときのKRW建て価格は992KRWと、キリの良い数字である「1,000KRW」に近い価格である。確かに心理的節目を背にした売り圧力があったとする見方もできそうだ。

同様の見方でキリ番に着目して主要な価格帯を纏めると以下のようになる(1KRW=0.094円で換算)。

以上のように、KRWでのキリ番が重要な価格帯と重なっていることが分かる。

足元6月以降のXEMは100KRW(9.4円)~300KRW(28.2円)のレンジとみることができるが、現在は200KRW(18.8円)を下支えとし、300KRW(28.2円)を目指す動きとなるのか、はたまた、200KRW(18.8円)がブレイクされる展開となるのか。分岐点となっているような局面である。

上値では、300KRW(28.2円)を上抜けした場合には、400KRW(37.6円)~500KRW(47.0円)が視野に入り、4~6月の同価格帯の売り圧がこなせるかが注目される。

下値では、200KRW(18.8円)を下抜けた場合に、100KRW(9.4円)で持ちこたえられるかという展開が考えやすいか。

① 市場参加者の属性に記載したとおり、XEMは4割超をリスク志向度の高い韓国個人投資家が占めている可能性もあり、一方向にレンジをブレイクした時点でモメンタムの加速から、相応の勢いが出てくる可能性には注意が必要だ。

また、韓国は通貨ウォン安も進んでいる中で、経済の先行きに不透明感が強まっている状況だ。経済悪化が広まるようであると、ポジション決済からXEMが急落するような可能性にも注意が必要となろうか。

XEMは市場参加者の傾向が偏っていることで、暗号資産全体のファンダメンタルズから乖離した値動きとなる可能性についても留意する必要があるだろう

(8/30午後9:00時点)

銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

8/30の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-0.66%、中央値は-1.34%、標準偏差は1.83%となった。

最大上昇銘柄はBAT/JPY3.46%、最大下落銘柄はBCH/JPY-2.17%

8/30の暗号資産市場は値動きがまちまち。

セーシェル共和国の暗号資産取引所でハッキング被害(8/30 CoinPost)があったことによるセキュリティ懸念や、6/9にBTCを法定通貨として認める法案を可決した中米エルサルバドルでの9/7に控えた「ビットコイン法」の施行を目前に、同国内では法案に対する懸念や大規模な反発デモ(8/30 NextMoney)があることを背景に、日本市場時間帯は売り込まれた。

JCBA(日本暗号資産ビジネス協会)が発表した2021年度の事業計画内に税制課題について「本要望及び提言の実現に向け、与野党を含む関係各所との積極的かつ着実な対話を行う」(8/30 CoinPost)と強調を受けて、市場は前向きに捉えた(=反発した)ものの、SEC(米国証券取引委員会)がDeFi(分散型金融)市場の規制に向けてブロックチェーン分析会社と契約提携(8/30 NextMoney)したことや、ECB(欧州中央銀行)副総裁の「暗号資産を他のアセットと同じルールに従うべき」との言及(8/30 CoinPartner)、加えて、SARB(南アフリカ中央銀行)総裁は「暗号資産は通貨ではない」とネガティブ発言(8/30 CoinPartner)していることを背後に、マネーロンダリングなど調査する国際組織FATF(金融活動作業部会)が日本の資金洗浄対策について「実質不合格」とする報告書を発表(8/30 Reuters)したことが明らかになったことで規制ムード漂い、かしこまった(=再び下押した)。

しかし、ニューヨーク市場時間(8/30午後10時半)に入ると、ETHやUNI(ユニスワップ)などのDeFi関連銘柄や暗号資産関連株の上昇に連れ高し、オープン水準近くまで立て直した。

最大上昇銘柄のBAT/JPYは、80円(日足一目均衡表・基準線、日足20日移動平均線、ピボットポイント・S1付近)で支えられ急伸。

最大下落銘柄のBCH/JPYは、昨日の上げ幅調整となり、70,000円(日足一目均衡表・転換線付近)で支持された。

24時間 ボラティリティ (%)

8/30の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は5.28%、中央値は4.70%、標準偏差は1.37%となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はQTUM/JPY7.47%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY3.19%となった。

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2021-08-31
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