LTC(ライトコイン)―「3つの指標」と「オンチェーン」から見るトレンドの継続性

Daily Market Report 2021/08/16

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LTC取引高シェアを占めるアセットは何か

暗号資産分析会社のCryptoCompare(cryptocompare.com)によると、1か月あたりのLTCの取引高シェアは、1位USDT(テザー)約62%2位BTC(ビットコイン)約14%3位USD(ドル)約8%となっており(8/15午後2時半時点)、これらだけで8割(約84%)のシェアを占めているようだ。

本稿では、これらのアセットとLTCの動向を比較することで、LTCの方向性を模索できる可能性について推考してみたい。

具体的には、USDT時価総額、BTCドミナンス、ドルインデックスの3つの指標を基に、今年7/20から続くLTCの上昇トレンドの継続性について想定をしてみる。

3つの指標とLTCの関係

まず、USDT時価総額、BTCドミナンス、ドルインデックスとLTCの関係を整理する。

①:<LTC VS. USDT時価総額>
本レポートにおける時価総額とは、発行数量と現在価格を掛け合わせた値を表す。上述したLTC取引高シェアを踏まえると、USDTの新規発行(Mint:ミント)は、LTCやその他のアルトコインの買いに充てるアセットの流通量が増加することが想定され、逆に、USDTの焼却(Burn:バーン)は、LTCやその他のアルトコインの流通量減少を意味していると考えられる。

②:<LTC VS. BTCドミナンス>
BTCドミナンスは暗号資産全体の時価総額に占めるBTCの割合を表す。
BTCドミナンスが50%を下回る場合は、BTCからLTCやその他アルトコインへ交換が活発である状況を表し、BTCドミナンスが50%を上回る場合は、LTCやその他アルトコインからBTCへの交換が活発である状況だと言える。

(Tradingviewより当社作成)
*参考:ビットコインのドミナンスとは? 価格との関係を読み解く

③:<LTC VS. ドルインデックス>

Bloombergより当社作成

ドルインデックスはEUR(ユーロ)やJPY(円)などの複数の主要通貨に対するUSD(ドル)レートの割合を指数化したもの。ドルインデックスの上昇は、USDへの資金流入を表している。逆にドルインデックスの低下は、USDが他の法定通貨(Fiat:フィアット)に交換(USDからの資金流出)されていることを示す。

一般に、市場がリスクオフであればUSDへの資金流入が起こりやすい状況と言え、市場がリスクオンであれば、USDからリスクおよび収益性の高い資産へ資金流出が起こると考えられる。

よって、リスクオフであればUSDに資金が集まる事から、相対的にLTCやその他暗号資産は、USDに対し価格が下がる状況と考えられ、リスクオンでは、LTCやその他暗号資産に対し、USDが安くなる(暗号資産の価格が上がる)事が考えられる。

「市場内物色」と「市場外物色」

3つの指標(①:USDT時価総額、②:BTCドミナンス、③:ドルインデックス)を整理したところで、「市場内物色(暗号資産市場内で起こっていること)」と「市場外物色(暗号資産市場外で起こっていること)」の視点に分類すると、①と②は市場内物色③は市場外物色となる。

基本的には、BTCやアルトコインなどの暗号資産市場は相関関係にあるが、こと市場内物色に限ってみれば、「BTCドミナンス低下に伴い、BTCは下落、アルトコインは上昇(逆相関)」のように必ずしも価格が相関するわけではない。

一方の市場外物色は資金流入出の関係があり、「ドルインデックス低下に伴い、USD下落、暗号資産上昇(逆相関)」のようなトレンドの視点をもつことができる。
つまり、LTC(暗号資産、アルトコイン)の<上昇サイン>および<下降サイン>とその強弱は次のように整理する事ができると考えられる。

<上昇サイン>
ドルインデックス低下でLTCは上昇サイン。さらにUSDT時価総額上昇(新規発行)、かつBTCドミナンス50%割れの状況で強い上昇サイン。

<下降サイン>
ドルインデックス向上でLTCは下降サイン。さらにUSD時価総額下落(焼却)、かつBTCドミナンス50%超えの状況で強い下降サイン。

LTCの需給はオンチェーンが手掛かり

上述の対外的な指標に加えて、現在、LTCが「買われやすい(需要>供給)」か「売られやすい(供給>需要)」か(対内的な指標)は、オンチェーン分析が手掛かりとなりうる。

オンチェーンは、暗号資産の送金履歴などブロックチェーン上に記録されたトランザクション(取引)のことを示し(↔オフチェーン:暗号資産同士の交換など取引所を介した取引で、ブロックチェーン上には記録されない)、オンチェーン分析とはオンチェーン情報を活用して、暗号資産の価値やその動向を分析する方法のことである。

例えば、取引所に送金されるLTCが増加傾向にある場合は売られやすい環境であると考えられ、送金されるLTCが減少傾向であった場合、売り玉が出にくく、相対的に買われやすい環境であると考えることが出来る。

参考:Chainalysis(markets.chainalysis.com)

LTCのフローはブロックチェーン分析会社のChainalysis(markets.chainalysis.com)が提供している「LTC inflows to exchanges(取引所へのLTC流入量)」と「Change in LTC held on exchanges(取引所のLTC保有量)」が参考になる。

取引所へのLTC流入量増加は、投資筋の売り圧力となる兆候があるが、保有量の増減と相まって検証することによって、安全なウォレットとして、取引所で暗号資産を保管することを選択したことによる増減等の想定をすることも出来るだろう。

また、「LTC trade intensity(LTC取引強度)」の指標も参考になる。この指標は、オーダーブック取引の価格を取引所の流入と比較しており、取引強度の増加は、より多くの市場参加者が売りよりも買いたいことを示唆している。

3つの指標とオンチェーンから見るトレンドの継続性

LTC/JPY 日足Bidチャート(当社取引ツールより作成)
LTC (ライトコイン) のチャート・価格情報はこちら

上チャートはLTC/JPYチャート(期間:2021/3/19~現在)である。上昇トレンドライン(基準:7/20安値、8/3安値)と抵抗帯(上限値:5/27高値、下限値:6/15高値)を描画してある。

LTC/JPYは、7/20から約+81%(11,000円から20,000円まで)の上昇トレンドが継続しており、現在は19,000円から22,000円の抵抗帯が意識されてか、やや上値が重い状況だ。

8/9に実施されたUSDTの新規発行による時価総額増加や、現在BTCドミナンスが50%割れ(約45%)の水準であることはLTCにとって好都合(※詳しくは上述の「・3つの指標とLTCの関係」を参考)と考えられるであろう。

さらに、先週末(8/13)のニューヨーク市場時間午後11時にミシガン大学消費者態度指数(速報値)が予想81.2%を大きく下回る70.2%と発表され、消費者間の米経済見通しやインフレなどの懸念が強まりドル売り加速の引き金となったことで、ドルインデックスは低下した。

ドルインデックスの低下はLTC/JPYはじめ暗号資産の買いの打診につながり、強い上昇サイン(陽線)が点灯している(※詳しくは上述の「・「市場内物色」と「市場外物色」」を参考)。

現時点の背景からすると、上昇トレンドライン上でのサポートを下値目途に、意識された抵抗帯(19,000円から22,000円)の突破、則ち、7/20からの上昇トレンドは継続を視野に入れておくことを想定しておくことも可能であろう。

しかし、LTCのオンチェーンでは、供給量増加の懸念がある。
LTC inflows to exchanges(取引所へのLTC流入量)は7/20から増加傾向にあり、8/14に急増した。今年の高水準(6億ドル)に迫っており、売りに警戒が必要であろう。ただ、同期間のLTC trade intensity(LTC取引強度)は上昇傾向である。

もし取引所への流入量が増加傾向のまま、取引強度が低下する様であると、需給面で売られやすい環境を招くため、上昇トレンドの転換もしくは調整のトリガーとなるかもしれない(※詳しくは上述の「・LTCの需給はオンチェーンが手掛かり」を参考)。
その場合の想定としては、抵抗帯での叩き下げや上昇トレンドラインのブレイクを目路に15,000~10,000円程度のレンジを想定しておきたい。

(8/15午後5:00時点)

銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

8/15の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は2.73 %、中央値は2.87 %、標準偏差は3.49 %となった。

最大上昇銘柄はETC/JPY12.14%、最大下落銘柄はQTUM/JPY-1.90%

最大上昇銘柄のETC/JPYは、当社取扱銘柄の中では単独での上昇が際立った。一つのターゲットプライスである6,800円まで8/14に回復したことが節目となり、一段高となったようだ(Daily Market Report 2021/08/05「 抜群のパフォーマンス、ETC(イーサクラシック)」参照)。

最大下落銘柄のQTUM/JPYは、8/13に19%の大幅上昇を記録し、8/14に1,500円を付けてからは勢いが衰えてきている。ここ数日間で急騰した反動で利益確定の売り圧力に押されたと考えられそうだ。

24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

8/15の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.92%、中央値は7.00 %、標準偏差は2.57 %となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はETC/JPY14.35 %。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY4.05 %となった。

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2021-08-16
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