低迷するXEM(ネム)の行方

Daily Market Report 2021/08/13

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・XEM(ネム)の価格と出来高の推移

CoinMarketCap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
XEM(ネム)のチャート・価格情報はこちら

上図は今年2021年に入ってからのXEM/JPYの価格と出来高の推移である。

3月に実施された大型アップデート「カタパルト」の影響により、2月から価格は出来高を伴い上昇し、3/3には82.551円に到達し、年初から実に400%を超える上昇率となった。

その後、価格は下落に転じ、3/17の「カタパルト」ローンチ後も下落の流れは止まらなかった。出来高も徐々に減少し、特に6月下旬から7月にかけては出来高が50億円を下回る水準にまで落ち込み、価格も、6/22には8.788円にまで下落していた。

足元のXEM/JPYは6/22を底値に反発しているが、上値の重たい展開が続いている。価格下落の背景には一体何があるのだろうか?

・価格下落の背景➀:高すぎるボラティリティ?

日次変化率分布(当社クローズレートより作成)

上図は2020年1月1日から12月31日までの1年間と2021年1月から2021年8月10日までのXEM/JPYの日次変化率の分布を比較したものである(日次変化率は、前日の終値からX%変動した日が何回あるかを数えてその分布を示している)。

2020年は±3%に分布が集中し、少なくとも120日以上の期間で3%以上の変動があったことが読み解ける。2021年については、8月10日現在までで、グラフの高さが低く、裾野が広い。これは、全体的にボラティリティが高かったことが読み解ける。

一般的にボラティリティが高いことが知られている暗号資産であるが、2021年においては「カタパルト」という材料に対し、Buy the rumor, sell the fact. (噂で買って事実で売る)という典型的な投資手法であったように思われる。

また、それによって増幅したボラティリティを目的に短期的な取引を主体とした市場参加者がエントリーした可能性も高かったのではないかと考えられる。

市場参加者の買い意欲が上回っている限りにおいては、上昇相場の様相を演じていたが、カタパルトが終わった『祭りの後』には、取引高・市場参加者は減少し、価格の低迷が起きているのではないかと思われる。

・価格下落の背景②:関心の低下

キーワード「ネム」で検索したGoogleTrends結果および当社クローズレートより当社作成

上図は1/1から8/9までの期間において、キーワード「ネム」で検索したGoogleTrendsの結果である。指定した期間の中で、最も「ネム」というキーワードが検索された日を100として相対的な推移を示している。

上述した取引高の低迷に加えて、検索数も2021年3月以降において大幅に減少していることがわかる。

大型アップデートに沸いた2月から3月のGoogleTrendsの検索値は高く、3/12に100をマークしている。

しかし翌日の3/13には47と半減し、それ以降の数値は低迷しており、4/14以降は20を下回った水準で推移しているが、現在の8月においては10を下回るほどにまでXEMへの関心が薄れていることがわかる。

・価格下落の背景③:国内投資家の保有状況

JVCEA統計情報より当社作成(https://jvcea.or.jp/about/statistics/)より当社作成

続けて、国内投資家の動向についての具体的な数字を見てみる。上図はJVCEAが発表している国内の暗号資産交換業者における現物XEMの保有状況を表したものである。

2020年の現物XEMの保有高は緩やかに増加しており、2020年11月は20億XEMとなっておりこれは発行枚数が約90億XEMのおよそ22%となる。しかし、2021年に入ると現物XEMの保有高の減少は顕著となり、2021年4月には12.9億XEMとなった。4割弱の国内投資家が2月~3月の価格高騰でXEMを売却し、手放したことがわかる。

このままXEM/JPYの価格低迷は続くのだろうか?

上図を見てみると、2021年4月以降の現物XEMの円換算の評価額(国内投資家の保有数量×価格)の曲線は下を向いているが、保有高の曲線はやや上を向いている。これは価格が減少していく最中、保有数量を増やしている国内投資家が押し目買いを行っており、XEMの根強い人気を示唆しているのかもしれない。

・フィボナッチ・リトレースメントによる分析

XEM/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)

上図は、XEM/JPYの日足チャートに3/3の高値82.5円と6/22の安値8.7円を結んで、描画ツールにあるフィボナッチ・リトレースメント(※)を反映させたものである。
(※)フィボナッチ・リトレースメント:「1:1.618」という黄金比率をチャートに組み込み、その後の動きを予想するテクニカルな分析方法。

上図から8月に入り、一目均衡表の雲を上抜け、現在のXEM/JPYは、反発局面であると言えそうである。目立つ節目も見出しにくい状況と言え、厚かった雲も上抜け、反転の兆しが見受けられる。

このままじりじりと上昇が継続したとして、一旦は26.1円が意識される展開となるかもしれない。15円程度に雲が位置しているが、雲の捻じれも近い事から、下落に転じるような場合は注意が必要であろう。

下押しするような場合には、再び8.7円までの下落を警戒しておく必要がありそうだ。

(8/12午後8:00時点)

・銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

8/12の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-6.04 %、中央値は-6.27 %、標準偏差は1.29 %となった。

最小下落銘柄はBCH/JPY-4.15 %、最大下落銘柄はOMG/JPY-7.96%

当社取り扱い銘柄は8/9~8/11において全面高であったが、本日は一転し全面安となった。

一日を通して大きな材料はなかったものの、米国でのインフラ法案可決に伴う暗号資産業界への課税強化(8/10 coinpost)といった材料が重荷になっているようだ。

最小下落銘柄のBCH/JPYは小幅下落。

日足チャートでの一目均衡表(9,26,52)の「雲」を8/10に上抜けしたことが短期的な強気相場入りの材料となり、暗合資産全体的な下げ相場の中でも下落幅を抑えた印象だ。

最大下落銘柄のOMG/JPYは、午前に5/28以来となる100日単純移動平均線に届く上昇を見せた場面もあったが、勢いを保つことは出来ずに反落に転じた。630円付近には200日単純移動平均線も構えており、このような節目となるポイントとの関係性にも注目したい。

・24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

8/12の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は11.47 %、中央値は11.90 %、標準偏差は2.60 %となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はQTUM/JPY15.64 %。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTC/JPY5.71 %となった。

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2021-08-13
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