伸び悩む BCH(ビットコインキャッシュ)。金融緩和縮小の裏で資産としてどう動く?

Daily Market Report 2021/08/04

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・BCH(ビットコインキャッシュ)高値更新ならず

BCH/JPY 日足Askチャート(当社取引ツールより作成)
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上図は2020年12月から現在までのBCH/JPYの日足チャートである。

現在、BCHは2週連続陽線引けとなっており、5月から継続している下落トレンドからの転換を試す動きとなっている。

足元の値動きを見ると、反発の勢いは継続せずに、やや上値の重たい展開となっているが、かといって、下値不安もさほど大きくないように見える。
下値に関しては、昨年末から白丸で囲まれた3.9万円ラインでのサポートが複数回見られており、短期的な下値目処は3.9万円であることが伺える。

昨今のBCHは、中国の暗号資産に対するマイニング等の規制や、英City A.M.紙が報じた「Amazonが2021年末までにビットコイン決済を導入」(後にAmazonが否定)など、ファンダメンタルズ的な材料によって動かされる相場であったと言える。

BTCからハードフォークして生まれたBCHにとっては、BTCと相関があると考えられるが、今後の値動きはどうなって行くだろうか、今回は伝統的金融資産を絡めた考察を行ってみる。

・安全資産の代表、米10年国債利回りと相関の動きか?

Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成

上図はBCHと米ドル、米国債利回り(10年、以下米10年債利回り)、S&P500の相関関係(※)を表したグラフである。
(※)相関関係:一般的に、-1に近ければ近いほど負の相関があり、0に近ければ近いほど相関関係は見られず、1に近ければ近いほど、正の相関関係にある。

コロナ禍の現在においては、主要な中央銀行は大規模な金融緩和を行っている。その中で米FRBは物価と雇用の一定の目標基準を達成するまで金融緩和を継続し、利上げは24年以降との見通しを示している。

しかし一方で、ワクチン接種率が高まり、新規感染者数が年初をピークとして減少傾向となっている事に伴い、経済活動の再開と景気回復期待から、米国の6月の消費者物価上昇率は前月比0.9%と13年ぶりの高水準に達し、インフレの影がちらつくようになってきた。

そうしたことを背景に、コロナ禍で実施されてきた大規模金融緩和の行く末について、マーケットは、米10年債利回りの上昇で反応している。

BCHは米10年債利回りに対して、過去2018年は-0.53、2019年は-0.38と逆相関となっており(BCHは2018年は下落基調、2019年は緩やかに上昇、米10年債利回りは2018年は緩やかに上昇、2019年は下落)、一方でS&P500とBCHの相関を見ると、2018年は0.697、2019年は-0.62となっており(BCHは2018年は下落基調、2019年は緩やかに上昇、S&Pは2018年は下落、2019年は上昇基調)、BCHはS&P500に対し、2018年は順相関、2019年は逆相関となっていることが分かる。

2019年の暗号資産市場は、2018年の一部の国内暗号資産交換業者へのハッキング事件等を起因とする大幅下落があった翌年であり、大幅下落に対する自律反発的な市場醸成の過程も含めて、暗号資産は他のマーケットに対して独自の値動きを形成していたことが考えられる。

一方で2020年、2021年のBCHは米10年債利回り、S&P500に対して順相関となっている(BCHは2020年は緩やかに上昇、2021年は上に往って来いも年初来プラス水準を維持。米10年債利回りは2020年は下落、2021年は上に往って来いも年初来プラス水準で推移。S&P500は2020年は上昇、2021年も上昇。)。2020年のS&P500との相関は0.471、2021年は0.028である。2020年は、3月に原油価格がマイナスに陥り、BTC等暗号資産も含む、マーケット全体が大きく下落したことが記憶に新しい。

その大幅下落からの回復基調を同じくして辿った事が、相関性を高めた理由として小さくはないだろう。他方で、2021年では、『米テスラのBTC購入、BTC決済導入ニュース』や『中国の暗号資産規制強化の動き』など、暗号資産にフォーカスしたファンダメンタルズの変化が大きな要因と考えられる。

結論として、2018年~2021年全体を通してみると、BCHとやや相関関係が見られる部分はあるものの、一貫した相関関係のあるものは見られないことが分かった。これはBCH自体の歴史も浅く、価格醸成の過程であるということも大きいだろう。

ただ、S&P500との相関が過去4年中3回が順相関となっている部分もあり、BCHを始め、今後の暗号資産の値動きに関して、伝統資産である米10年債利回りやS&P500などにも広域的にリーチしてみることも良いかもしれない。

ただし、2018年のハッキング事件や2021年の一連のテスラ報道など、暗号資産特有のファンダメンタルズの変化には十分に注意する事が必要だ。

(8/3午後9:00時点)

・銘柄別価格前日比 (%)

社内データより作成

8/3の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。

平均値は-3.24 %、中央値は-3.25 %、標準偏差は1.52 %となった。

最小下落銘柄はLTC/JPY-0.83 %、最大下落銘柄はXEM/JPY-5.70 %

最小下落銘柄のLTC/JPYは、BTCの軟調な値動きにつられ午前中に下落し、その後は15,000円付近で膠着状態となった。

頭の重い展開ではあったが、下値も堅いようで、何度か8/2安値に面合わせしたものの、1時間足では長めの下ヒゲを伴った反発を見せ、下げ渋っている。

最大下落銘柄のXEM/JPYは、午後に8/2の安値16.69円を明確に下抜けし、16円台前半を中心とした冴えない値動きとなった。

欧州時間には一時15.79円まで下押しする場面があり、16円台の維持にも暗雲が漂う状況となっている。

・24時間 ボラティリティ (%)

社内データより作成

8/3の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。

平均値は7.53 %、中央値は7.15 %、標準偏差は1.31 %となった。

最もボラティリティが高かった銘柄はXEM/JPY9.49 %。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPY5.02 %となった。

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2021-08-04
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