BTC(ビットコイン)、ESGマネーと大型アップデートTaproot(タップルート)は救いとなるか
Daily Market Report 2021/08/03
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・BTC(ビットコイン)、2か月ぶりにプラス圏へ反発
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
BTC(ビットコイン)のチャート・価格情報はこちら
上図は2021年6月1日を起点とした当社取扱い銘柄の過去60日間の騰落率を比較したグラフである。
全般的に6/21と7/20付近に大きく下落しているが、足元は反発局面となっていることがわかる。ポイントとしては下記の点があげられる。
- BTC(ビットコイン)とETH(イーサリアム)がプラス 圏で推移
- BTC(ビットコイン)の上昇率は12%と最も高いパフォーマンスとなった
- ALT(アルトコイン)の下げが目立ち、反発鈍い
5月中旬から7月下旬にかけては停滞相場で値を下げる銘柄が多い中で、ETH(イーサリアム)はハードフォーク「LONDON(ロンドン)」というアップデートにより投資家センチメントは強気に傾いたように思われる。(詳細は2021/7/29のマーケットレポート「ハードフォークを控えたETH(イーサリアム)、今後の行方は?」を参照)
BTC(ビットコイン)はアップデートの近いETH(イーサリアム)を超える上昇をみせているが、いち早く反発した理由として、
①ESGマネー(環境、社会、ガバナンスの観点から投資)が流入する可能性
②4年ぶりに始まる大型アップデート「Taproot(タップルート)」の実装
という期待感に裏付けられたものではないかと考えられる。
・① 頼みの綱はESG(※)マネーか
Bloombergより当社作成
(※)ESG:持続可能な世界の実現のため、企業の長期的成長に重要な環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの観点
上図はデータプロバイダーであるCoinmarketcapが提供する、BTC(ビットコイン)と世界の暗号資産の90%以上をカバーするCMC200インデックスと、BTC(ビットコイン)を除いた銘柄で構成されるCMC200EXを使用し、BTC(ビットコイン)とアルトコインのどちらが優位であるかを可視化したグラフである。
グラフでは、インデックス提供当初の2018、2019年以来のBTC(ビットコイン)が優位な状態であることが分かる。
現在のマーケットは、銅の下落や期待インフレ率、ハッシュレートの低下など暗号資産にとって厳しい環境にさらされていることは事実であろう。(詳細は2021/7/21のマーケットレポート「BTC(ビットコイン)、今見ておきたい指標をチェック」を参照)
しかし、マイニング覇権国家として大半を独占し、マイニングを先導してきた中国のシェア率が低下することは、グローバルでのマイニング分散化が進み好都合である動きもみられている。
中国の規制強化と同時期に、電気自動車大手であるテスラのイーロンマスクCEOがマイニングの化石燃料増加を懸念し、BTC(ビットコイン)での自動車購入決済を中止するとの発言(5/13 Elon Musk_Twitter)の一方で、環境維持に向けて、マイニング使用エネルギーの透明性促進のための団体であるビットコイン・マイニング・カウンシルという団体を設立している。
中国の規制強化はハッシュレート低下を招いたものの、マイニングという土台を見直し、持続可能な社会に適したエネルギーを使用する良い調整機会になったと捉えることもできるであろう。
また、現在、機関投資家のESG課題解決を促進する世界共通のガイドラインであるPRIよると、PRIに加盟するESGマネーは約120兆ドルを超えている。
マイニングエネルギーの透明性の向上と同時に、環境負荷を低減したエネルギーを使用することで、BTC(ビットコイン)の価値向上につながる可能性がある。特にアメリカ市場では、マラソン・パテントグループやハイブ・ブロックチェーン、ライオット、カナン・クリエイティブなどマイニング企業が多く上場しており、ESGマネーを呼び込むことで、アメリカは争うことなく中国からマイニング覇権を奪うことが可能であろう。
他方で、南米のエルサルバドルではBTC(ビットコイン)を法定通貨として認め、カナダではBTC(ビットコイン)の上場投資信託が上場されるにまで整備が進む時代となった。
レイ・ダリオやポール・チューダー・ジョーンズ氏などの著名投資家もBTC(ビットコイン)を支持するなど、2018、2019年と比較し資産としての可能性が広がったといえる。暗号資産の雪解けは近いのかもしれない。
・② Taproot(タップルート)は2017年Segwit(セグウィット)相場を超えるか
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は2017年8月1日を起点とした2017年12月31日までのBTC(ビットコイン)価格グラフである。
Taproot(タップルート)の前に行われたアップグレードであるSegwit(セグウィット)実装時の価格を振り返ると、8月1日にBTC(ビットコイン)は2,733ドルであったが12月16日には19,650ドルと約7.2倍まで価格は上昇してきたことがわかる。
BTC(ビットコイン)の抱えるスケーラビリティ問題を解決する技術として2017年8月24日に実装され、Segwit(セグウィット)実装によるコミュニティの分裂によりBTC(ビットコイン)はBTC(ビットコイン)とBCH(ビットコインキャッシュ)へ分岐する問題もみられたが、4年経過した今でもBTC(ビットコイン)は暗号資産時価総額1位を維持している。
暗号資産時価総額1位を維持する背景として、BTC(ビットコイン)のボラティリティやインフレヘッジ資産としての要因もあるだろうが、金とは異なりテクノロジーの力でBTC(ビットコイン)は進化することが可能なデジタル資産であり、技術的要因でも好感されているといえよう。
今回のTaproot(タップルート)はマイナーの支持が9割を超えており、11月に実装が行われる予定となる。Taproot(タップルート)の実装により、プライバシー機能、処理速度向上やスマートコントラクト面の強化が実施され、BTC(ビットコイン)の価値を一段と高める可能性がある。
・注意するべきは月別アノマリーか
Bloombergより当社作成
上図は2016年から2021年7月31日までのBTC(ビットコイン)の月別騰落率を可視化したヒートマップである。
月別騰落率を確認すると、8、9月は他の月と比較しマイナス圏で月を終える相場が多く、8月も2017年のSegwit導入月以外の年で弱含んだ推移をしてきたことがわかる。
長期的にはTaproot(タップルート)という好材料が控えているが、特に9月の相場はマイナス月が多く、アノマリー通りの展開には注意が必要だ。
ただし、裏を返せば、9月はBTCの買い場となる可能性もあることに留意しておきたい。
(8/2午後8:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
8/2の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-2.62 %、中央値は-3.38 %、標準偏差は2.32 %となった。
最大上昇銘柄はQTUM/JPYの3.75 %、最大下落銘柄はXEM/JPYの-5.13 %。
最大上昇銘柄のQTUM/JPYは、東京市場開場後から徐々に下値を切り上げる値動きを続けた。日足では陽線となり、直近高値圏を維持している。
ただし、チャート形状は上下にヒゲを伴った「コマ」の形を描いていることで、気迷い相場入りが懸念され、7/21からの上昇相場の継続に不安の残るチャート形状となった。
最大下落銘柄のXEM/JPYは、東京時間朝方に大きく値を崩してから、当日安値圏で揉み合いを続けた。
7/21から上昇相場が続いていたが、8/1に相場の転換を示唆する十字線が高値圏で出現したことに加え、本日陰線となったことで、強気センチメントの後退から頭の重い展開へ移行することが懸念される状況となった。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
8/2の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は8.65 %、中央値は8.36 %、標準偏差は2.43 %となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はQTUM/JPYで13.39 %。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はMONA/JPYで4.45 %となった。
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