XLM(ステラ・ルーメン) 、対数チャートからみえる5月の調整と今後の行方
Daily Market Report 2021/07/30
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・長期上昇トレンドへの回帰
XLM/JPY 週足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
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上図は、XLM/JPYの週足チャートである。
XLM/JPYの値動きを振り返ると、昨年11月から上げ幅が拡大したことが顕著である。
上昇幅が拡大した要因について、XRPの急騰に連れ高したとの見方もあるが、2020年3月より着実に下値を切り上げており、①のトレンドラインが意識された上昇トレンドの中で、暗号資産全体の時価総額が増大する中、加速的な局面を迎えた結果であると見ることもできる。
11月からは①のトレンドラインよりも傾きの強い、②のトレンドラインを引くこともできるだろう。上昇の傾きが強くなったということは、市場参加者のXLM/JPYへの買い意欲の高まりを表しているとも考えられる。
年明けもXLM/JPYは上昇が加速し、2021年5月中旬には、80円台半ばに乗せた。
翌週には、中国当局の規制強化報道(5/20ロイター)を背景とした暗号資産市場の下落局面により、XLM/JPYも長い陰線をつけたが、ここでは31.20円前後でリバウンドしている。
このリバウンドにより、いったんの下値を確認したことになり、③のトレンドラインが設定され、このラインを保とうとする動きも確認された。
これは、上昇トレンドが完全に終了したわけでないことを確認できたと言えそうだ。
2021年6月に入り、暗号資産市場全体として、反発の決め手に欠けるなか、XLM/JPYは③のトレンドラインを下抜け(赤矢印)、その後もこのトレンドラインを復帰できないままである。
この約2か月間で高値87円から最大で75%の大幅下落となったXLM/JPYだが、下値をみると②のトレンドラインの攻防を継続しており、一定のサポートが機能していると考えることもできそうだ。
本日は対数チャート※からXLM/JPYを分析してみる。
※対数チャートは、値幅基準ではなく値動き率基準とした表示形式であり、一般的に複利効果を前提とした長期保有(バイ・アンド・ホールド)型の市場参加者が利用するチャート形式の一つである。
・対数チャートでは長期上昇トレンドへの回帰か
XLM/JPY週足Bid対数チャート
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
上図は2019年7月を起点とするXLM/JPYの週足対数チャートで、RSI(14日, 終値)を表示している。
XLM/JPYにおいて、2020年3月の安値2.7円を起点とした長期の上昇トレンド(サポートラインA)が機能しており、2020年11月と2021年7月にこのサポートラインで反発していることがわかる。
つまり、対数チャートの観点では、長期保有型の市場参加者による上昇トレンドが現在も継続中であることが確認できる。
したがって、長期足では、上昇トレンドが継続している中での、通常見られる調整の一つとする見方もできる。
・2021年5月以降の急反落は調整か
一方で、2021年5月からの急落はどのような評価ができるであろうか。
直近2か月のXLM/JPYの急落は、XLM/JPYが急騰した2021年2月から発生している価格上昇と、反対に下落しているRSIの逆行現象“ダイバージェンス※” (上図の上段及び下段黄色矢印)で説明がつくだろう。
(※)ダイバージェンス:テクニカル指標と実際の価格が逆の方向に向かって動いている状態。ダイバージェンスが生じるとトレンドは転換する傾向が見られる。
以下、ダイバージェンスとXLM/JPYの急落について深堀してみる。
RSIは一定期間における上昇か下落のどちらの勢いが強いのか、計測する指標とされており、RSIが80を上回ると「買われ過ぎ」であり、反対に20を下回ると「売られ過ぎ」であると判断される。
改めて上図を見ると、RSIは 85から徐々に下落しており(上図の赤丸)、XLM/JPYの勢いが衰えつつあることを示していた。しかしXLM/JPYの実勢価格は僅かながら上昇を続け、RSIとダイバージェンスが発生している状況であった。
その後、上図の赤矢印のように、XLM/JPYは、RSIの動きを後追いするように下落することとなった。よって、上部白丸で示しているXLM/JPYの価格は上昇しているが、過熱感は収まりつつあり、その後調整も伴い、価格が下落していったと考えることができそうだ。
直近のRSIに着目すると、40前後の水準で下値を固めるような展開となっており、20を下回るような弱気相場の兆候はなさそうだ。
以下、今後のシナリオを下図をもとに分析する。
XLM/JPY週足Bid対数チャート
Tradingview(https://jp.tradingview.com/)より当社作成
・<シナリオ1>上昇トレンドの継続となる場合
上図は2017年11月を起点とするXLM/JPYの週足対数チャートである。
XLM/JPYの上昇が期待できる場合は、A線のトレンドライン(上図黄線)に沿って再度の高値を目指す動きを想定することになるだろう。
この場合、過去に意識された水準である32円近辺が最初のターゲットとなり、その後は、50円が一つの目安となろうか。
暗号資産全体やXLMを後押しする材料次第では、2021年5月に付けた年初来高値の85円の可能性も現実味を帯びてきそうだ。
・<シナリオ2>下降トレンドに転換する場合
A線(上図黄線)がサポートとして機能せず、下方ブレイクした場合は、1年半近く続いていた上昇トレンドの終了を意味する可能性が高くなり、下降トレンド入りへの転換が現実味を増してくる。
下落トレンド転換を想定したシナリオにおいて、ターゲットとなる価格水準は過去に攻防ラインとなっていた18円や、8円付近となろうか。
レジスタンスラインB線(上図赤点線)のような傾きの大きな価格下落となれば、A線(上図黄線)に支えられた上昇分を一気に相殺する展開にも警戒が必要かもしれない。
(7/29午後9:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
7/29の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は0.78%、中央値は0.21%、標準偏差は2.15%となった。
最大上昇銘柄はXEM/JPYの4.27%、最大下落銘柄はETC/JPYの-1.82%。
最大上昇銘柄のXEM/JPYは7日続伸。7/20の十字足チャート出現が、下落局面からの転換サインとなり、その後着実に下値を切り上げている。終値は17円台目前となっており、7月高値圏で底堅い展開となっている。
最大下落銘柄のETC/JPYは、24時間ボラティリティがETHJPYに次いで低い3.07%となっており、全般方向感に欠ける値動きとなった。7/24のハードフォークを通過し、足許の材料不足感もあり、膠着状態となっている印象を受ける。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
7/29の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は4.87%、中央値は4.27%、標準偏差は1.65%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はBCH/JPYで8.32%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETH/JPYで2.95%となった。
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