ハードフォークを控えたETH(イーサリアム)、今後の行方は?
Daily Market Report 2021/07/29
_
・ハッシュレートは緩やかに回復
BTCÐハッシュレート(Blockchain.comおよびEtherscanより当社作成)
上図は、BTC及びETHのハッシュレートを2021年初来から比較したチャートである。
ETHはブロック高12,965,000でハードフォーク「LONDON(ロンドン)」を予定している。ハードフォークの発生時期は8月5日頃になる見込みだ。
(お知らせ2021/07/29「イーサリアム(ETH)の入出庫受付停止のお知らせ」参照)
今回のハードフォークで一際注目を集めているのは、「EIP-1559」手数料モデルの変更が加えられる点である。現行の手数料モデルである「第一価格(ファーストプライス)オークション」に代わり、「base fee(ベースフィー)」と「priority fee(プライオリティフィー)」の二つの手数料モデルが導入される(London Network Upgrade Specification:https://github.com/ethereum/eth1.0-specs/blob/master/network-upgrades/mainnet-upgrades/london.md)。
「EIP-1559」で一部のマイナーの反発を招いている点は、従来の手数料モデルでは、マイナー報酬として全てマイナーに支払われていたが、変更後の手数料では、「base fee(ベースフィー)」と「priority fee(プライオリティフィー)」の内、「priority fee(プライオリティフィー)」のみがマイナー報酬としてマイナーに支払われる点だ。そのため、ETHのマイニングをやめてしまうマイナーがいるのではないかと心配される声もある。
足元のマイナー動向は、5月から6月にかけて中国国内におけるマイニングへの規制強化を背景に、BTCのハッシュレートと同様にETHのハッシュレートは下落したが、7月に入り改善が見られ、特に手数料モデルの変更を含むハードフォークを控えているにも関わらずETHのハッシュレートは上昇傾向にある。
今回のハードフォーク「LONDON(ロンドン)」実施後に、どのような影響が及ぶか、注視する必要があるだろう。
・ハッシュレートは価格を牽引するか?
ETH/JPY価格Ðハッシュレート(当社クローズレートおよびEtherscanより当社作成)
ETH(イーサリアム)のチャート・価格情報はこちら
上図は、ETH/JPY価格とETHハッシュレートを2021年初来から比較したチャートである。
ハッシュレートと価格の関連性は概ね相関して推移している。
ハッシュレートの上昇は、一部で価格の上昇を期待するマイナーの存在を示唆するものでもあり、ハッシュレートの上昇と価格の推移には、相関する部分もあることが認められる。
ETHハッシュレートは7月に入り、緩やかに上昇している一方で、ETH/JPY価格は保ち合いを形成しており、従来の相関するパターンから外れている。
価格が下落すれば、損益分岐点を割るマイナーは機器を止める可能性もあり、価格がハッシュレートに先行するのであれば、7月の価格保ち合いに対するハッシュレート上昇は腑に落ちない動きである。
これは、今回のハードフォーク「LONDON(ロンドン)」により、その後のハッシュレートが上昇傾向を維持するか、下落傾向に転換するか、市場参加者が見極めている動きとも考えられる。
・フィボナッチ・リトレースメントを引いてみよう
ETH/JPY 日足 Bidチャート(当社取引ツールより作成)
上図は、ETH/JPYの日足チャートに5/12の高値47.6万円と5/23の安値18.3万円を結んで、描画ツールにあるフィボナッチ・リトレースメントを反映させたものである。
現在のETH/JPYの価格は赤いライン上の25万円付近で推移している。少し遡ってみると、7月の初旬にも同じ価格帯で、この赤いラインがレジスタンスラインとなり、価格上昇を阻まれて下落しているのがわかる。
7/20から再びじわじわと上昇してきて現在に至るが、今回はどちらに転ぶだろうか?
下落、上昇の両シナリオからターゲットとなる価格について、検討してみる。
<シナリオ1>:価格は下落し、18.3万円へ
下落の場合、フィボナッチ・リトレースメントの0%にあたり、6/22と7/20のサポートラインとなった18.3万円が意識される。
このラインは、2021年2月、3月にはそれまで上値のレジスタンスとして意識されてきたポイントであり、上辺ブレイク以降も、幾度となく、サポートとして、機能している。
このラインを割るような場合は、10~20万円のレンジ圏へ落ちこんでしまう事も想定する必要があるだろう。
<シナリオ2>:価格は上昇し、29.5万円へ
上昇の場合、フィボナッチ・リトレースメントの38.2%にあたる29.5万円が直近のターゲットとして意識される。
この現価格帯から上昇に転じることに成功した場合、レジサポ転換から、この25万円付近がサポートとして下支えしてくれる可能性も想定され、更なる上値をうかがう動きにつながる可能性も考えられよう。
ハードフォーク「LONDON(ロンドン)」実施後も、7月以降のハッシュレート上昇傾向が継続した場合は、さらに上の節目となる32.9万円や36.4万円も視野に入ってくるかもしれない。
(7/28午後9:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
7/28の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は3.21%、中央値は1.90%、標準偏差は2.83%となった。
最大上昇銘柄はXRP/JPYの11.12%、最小上昇銘柄はBAT/JPYの0.39%。
7/28の当社取扱い銘柄は、重要イベントである米国FOMCを無事に通過した(7/29 ロイター)ことを好感し、全面高となった。
最大上昇銘柄のXRP/JPYは3日連続で続伸。
オープンから午後4時までは70円前後での揉み合いが続いたが、SBIレミット社などによる日本初となる仮想通貨を用いた国際送金サービス開始(7/28 CoinPost)との報道を受け、一時81円まで急騰した。
最小上昇銘柄のBAT/JPYも続伸。オープンから緩やかに上値を伸ばし、反発しながら8日連続で続伸を続けている。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
7/28の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は7.08%、中央値は5.70%、標準偏差は3.57%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はXRP/JPYで17.89%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETH/JPYで4.31%となった。
◆本資料においてお客様に提供される情報は、株式会社DMM Bitcoinが収集・作成等したものです。
◆本資料は、一般的な情報提供を目的に作成されたものであり、暗号資産取引の勧誘を目的としたものではありません。
◆本資料は、本資料作成時点で株式会社DMM Bitcoinが信頼できると判断した情報を基に作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
◆本資料の情報によって生じたいかなる損害についても、株式会社DMM Bitcoinおよび本情報提供者は一切の責任を負いません。
◆本資料のグラフ・データ等は、過去の実績または作成時点での見通し・分析であり、将来の市場環境の変動や運用状況・成果を示唆・保証するものではありません。また、税金・手数料等を考慮しておりません。
◆本資料に関する著作権、知的所有権、その他一切の権利は、株式会社DMM Bitcoinまたは権利者に帰属します。お客様は、本資料に表示されている情報をお客様自身のためにのみ利用するものとし、第三者への提供、再配信、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。