ETH(イーサリアム)、昨年の急落との共通点とは?
Daily Market Report 2021/03/03
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・12月末以降のトレンドラインを下抜けか
ETHJPY 日足 Bid
当社取引ツールより作成
ETHJPYは昨年12月より上昇トレンドで、黄色いトレンドが注目されてきた。
(詳しくは、2月17日のレポート「ETH(イーサリアム)、意識すべきサポートライン」をご覧いただきたい)
1月の相場では、上値が重くなってから三角保ち合いを形成し、上方へブレイクした。
2月も同様に上辺を抜けると20万円台を達成し、上値模索の状態となった。その後のETHJPYは十字線を形成して上値の重さが確認されると、下落に転じ、それまで意識されていたラインを割り、25日平均線付近で反発した。
現状として、15万円では底堅い動きとなっており、今後、再び上値追いを再開させるかが注目される。
一方でETHJPYにとって、高値更新後の下落は昨年2-3月や、9月にも発生し、まだ市場参加者の記憶に新しいことから、警戒する向きもある。
過去の下落パターンは今回にも当てはまるのだろうか。
ETHJPY の2020年以降の上昇、下落の動きを振り返ってみよう。
・2020年2-3月の急落
ETHJPY 日足 Bid
当社取引ツールより作成
上図は昨年2月から4月上旬にかけてのETHJPYの日足チャートである。当時のETHJPYは活況なアルトコイン相場を追い風に半年ぶりに3万円の高値をつけた。その後、上値の重さが意識され、トリプルトップを形成したのち、25日移動平均線を下抜けて下落した。
下落後は50日移動平均線をサポートに反発するが、26,000円台のサポートがレジスタンスとなったこともあり、25日移動平均線を上回らないまま再び下落に転じ、50日移動平均線を下抜けた(赤矢印)。
75日移動平均線を下抜けると反発局面となったが、75日移動平均線がレジスタンスとなり、下値模索の展開となった。高値(2/19)から底(3/13)までの下落率は約71%。戻り高値(3/7)から底までは約66%だった。
なお、底が深かった理由の一つとして、新型コロナウイルス拡大による世界的なリスクオフから、暗号資産を売って現金化する動きが広がったことが挙げられる。
当時と現在のETHJPY相場の共通点として、次の①~④が挙げられる。
①高値更新後に25日移動平均線を下抜ける下落
②最初の下落後は50日移動平均線をサポートに反発(現在のETHJPYが一度50日移動平均線を割っていた点は異なる)
③反発後は一度も25日移動平均線上回っていない
④高値圏で形成したサポートがレジスタンスに転じた
また、下図は同時期のETHUSDの出来高である。
注目したい点として、2月上旬の強気相場では出来高の増加に伴い、価格も上昇していたが、3月上旬の下落後の反発局面では、出来高の増加に対し、価格は重く、失速したようだ。
考えられる要因として、上昇局面では、買いに向かう市場参加者が多く、価格が伸びやすかったが、反発局面では、売買が交錯し、価格が伴わなかった可能性がある。
ETHUSD出来高移動平均
Coin Market Cap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
・2020年7-8月
ETHJPY 日足 Bid
当社取引ツールより作成
7-8月のETHJPYはDeFi銘柄として注目されたことで上昇し、5万円の高値をつけてから下落に転じた。
最初の下落では、25日移動平均線、50日移動平均線ともに下抜けたが、75日移動平均線で反発。反発局面では25日移動平均線、50日移動平均線、高値圏のサポートだった4万円の価格帯がレジスタンスとなり、再び下落した。
2度目の下落では終値ベースで75日移動平均線も割った。高値(9/2)から底(3/13)までの下落率は約71%だが、戻り高値(9/17)から二番底(9/23)までは約20%となった。
二番底が浅かった理由の一つとして、金融緩和によるインフレ対策を背景に、マイクロストラテジー社に代表される企業や、機関投資家の間で、ビットコインを買う動きが広がり、大口の資金が暗号資産市場に流れ込んだ(暗号資産にとって強気要因だった)点が挙げられる。
現状の相場との共通点は下記①~④となる
①最初の下落によって25日移動平均線を下抜けた
②下落後は50日移動平均線がサポートとなった
③反発局面では、終値ベースで25日移動平均線を上回っていない
④高値圏で形成した4万円台のサポートがレジスタンスとなった
また、下図は同時期のETHUSDの出来高である。
2020年3月の急落と同様に、反発局面での出来高の増加に対し、価格は上値重く、失速した点に注目しておきたい
ETHUSD出来高移動平均
Coin Market Cap (https://coinmarketcap.com/)より当社作成
・15万円のサポートと 50日移動平均線に注目
ETHJPY 日足 Bid (3/3以降の描画は一例)
当社取引ツールより作成
昨年2月以降の展開を踏まえると、現在のサポートである15万円か50日移動平均線のどちらかを下回った場合に急落を警戒したほうが良いかもしれない。
上図は下落の場合の値動きと移動平均線の一例で、赤矢印は売りのエントリーポイントを示している。
下落の条件として、
①25日移動平均線を終値ベースで上回らないこと
②50日移動平均線がレジスタンスとなる
③高値圏で形成した160,000-170,000円がレジスタンスとなる
④150,000円のサポートを割る
⑤出来高の増加に対し、価格の上昇が伴わないこと
が想定され、①をクリアしたうえで、②-⑤に多く当てはまるほど、急落への警戒が必要かもしれない。
赤矢印は売りのエントリーポイントの一例で、一度下回ったことを確認してから、15万円または50日移動平均線をレジスタンスとして下落してが、昨年3月の急落を踏まえると、75日移動平均線下回ると下落が加速する可能性には留意したい。
現状のETHJPYは17万円を下回っており、ETHJPYが割安だと考えることもできるが、暗号資産全体が弱気相場入りしつつあると考えることもできるかもしれない。
(3/2午後22:00時点)
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
3/2営業日の当社取扱い銘柄別終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-0.46%、中央値は-1.80%、標準偏差は4.28%となった。
最大上昇銘柄はXEMJPYの11.51%。最大下落銘柄はETHJPYの-5.00%。
最大上昇銘柄のXEMJPYは4日連続続伸と力強い動きをみせている。節目の80円まで上昇となるか注目される。
最大下落銘柄のETHJPYの詳細については本稿にて述べたとおり。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
3/2営業日の当社取扱い銘柄の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値10.00%、中央値は8.77%、標準偏差は3.40%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はXEMJPYで19.94%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTCJPYで6.75%となった。
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