ビットコイン反発上昇、先行きは続騰か?
Daily Market Report 2020/11/9
2020.11.9
Daily Point
・仮想通貨ビットコインバブルの再来か、3年ぶり水準まで高騰(CoinPost)
・米スクエアのビットコイン売上高 16億ドル超え(COINTELEGRAPH JAPAN)
・バイデン氏勝利に市場は安ど、法廷闘争でも勝利揺るがずとの見方(Reuters)
・日経平均29年ぶり高値-米政治の不透明感薄らぎ、景気や業績に焦点(Bloomberg)
BTCJPY 1時間足 当社社内ツールより作成
先週(11/6―8)のBTCJPY相場は続伸して始まるが、大幅下落を経て小幅高となった。
金曜日(11/6)のBTCJPYは続伸し、年初来高値を更新するが往って来いの展開。
前日の米国市場引け後に、決済サービス大手のスクエアの好決算が伝わったことと、同社の決算資料でビットコイン投資の継続を示唆したことが後押しとなり、早朝のBTCJPYは買い先行で始まった。直近高値である158.7万円を上抜けると上昇を加速し、午前8時には163.8万円まで到達した。
上昇の反動により、東証が開場する午前9時前にはBTCJPYは159.8万円まで調整するが、米大統領選の進展による不透明感解消や、民主党が勝利しても、議会選挙で上院が共和党優勢である限りは緊縮政策は困難になるとの思惑から株式市場は続伸。BTCJPYも連れ高となり、午前10時に165.7万円の年初来高値をつけた。
その後も日経平均株価が堅調に推移し29年ぶり高値を更新する一方で、BTCJPYは軟調なゴールドに連れ、下値を切り下げる展開へ。午後1時には158万円まで値を落とした。BTCJPYは午後3時かけて再び上向くが、163.3万円までと、午前の上値を抜けられるほどの上昇余地は残っていなかった。
欧州市場時間でも、序盤に日経先物や株式市場が続伸するなか、BTCJPYは上値重く、下値を探る展開となった。
午後7時に日中始値付近の価格である158.7万円まで下押してからは再び上昇に転じ、米国市場時間までに162万円まで反発上昇。
午後10時半に発表された米国雇用統計では、失業率が予想7.7%に対し、結果6.9%、非農業部門雇用者数は予想60.0万人に対し、結果63.8万人と、雇用環境は改善と伝わった。序盤では米国株式やBTCJPYが上昇したものの、週末の警戒感と大統領選挙の結果待ちの不透明感からか、軟調な展開となり、午前5時に157.4万円まで下押した。しかし、米国株式、ドル円相場も下げ渋ったこともあり、BTCは160万円まで回復した。
土曜日(11/7)のBTCJPYは大幅下落。
早朝は前日引けの流れから162.5万円まで反発するが、頭打ちとなり、午後5時までは下落基調で推移、159万円台をつけた。その後、午後11時までは下げ渋りつつも上値重く、160万円前後で1万円未満の狭いレンジでの攻防となった。
翌午前0時には157.0万円まで下落するが、前日午前5時につけた安値付近であることからの値ごろ感による買いからか、159.0万円まで反発した。
午前1時にバイデン氏当選との報道が流れると、BTCJPYは155.9万円まで反落。直後に159万円まで戻すが、トランプ氏が否定したことなどが嫌気されたのか下落基調に転じ、午前5時に148.1万円をつけた。その後は英ジョンソン首相ら同盟国や欧州の首相らが祝意を示したことが伝わり、スムーズな政権移行への期待感からか戻り基調となった。
日曜日(11/8)のBTCJPYは反発。
朝方から政権移行への期待感と不透明感解消が好感されたのかBTCJPYは堅調に上昇。午前11時に156.4万円の戻り高値をつけると、調整基調へ。午後6時に154.3万円まで下押した。午後7時より、再び上昇に転じ、翌午前2時には160.5万円まで続伸した。その後の失速でも、158万円台では底堅い展開となった。一部米メディアによる、議会共和党が政権移行を見据えた準備に取り掛かっているとの報道や、トランプ氏側近がトランプ氏に敗北受け入れを促しているとの報道から、政権移行の懸念材料がより薄まったことも後押しとなったようだ。
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
11/8営業日の全暗号資産終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は3.07%、中央値は3.03%、標準偏差は1.67%。
最大上昇銘柄はBCHJPYの+5.74%(詳細は後述)。最小上昇銘柄はETCJPYの+0.86%。
最大上昇銘柄のBCHJPYはBCHNへのチェーン分岐の不透明感から11月4日まで下落していたが反発し、下落前の水準まで上昇している。
最小上昇銘柄のETCJPYは他銘柄に比べて動きは少ないが下値は切り上げての上昇となった。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
11/8営業日の全暗号資産終値の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.87%、中央値は6.21%、標準偏差は2.35%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はXEMJPYで12.18%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はETCJPYで4.22%であった。
・話題独占のビットコイン、史上最高値を塗り替えるか?
BTCは150万円の壁を越えた後にも上昇スピードは緩むことなく、11/6に165万円まで上昇した。およそ2年間の歳月を経て、突破できなかった真空地帯まで上昇となり、マーケット参加者の間で再度2017年12月の最高値226万円を更新することができるのか注目されている。
株式市場に焦点を当てると、日経平均株価は29年ぶりの高値をつけており、米ナスダック総合指数は年初来から26.15%上昇と高値圏での推移をみせている。安全資産として認知されているゴールドでさえも同じく、年初来28.61%上昇という高値圏での展開となっており、今現在のマーケットはCOVID-19がもたらした史上最大の金融緩和によって金融相場の波が続いている可能性がある。年末に向けて、BTCは金融相場に乗じてさらなる上昇を目指していくのか。今後の行方の手がかりを探る。
BTCJPY 週足 当社社内ツールより作成
上図は、BTC週足チャートと12本の指数平滑移動平均線(EMA)を表示し、価格のトレンドを視覚化したチャートとなる。上図から、
①5月第1週の赤短期EMAと青長期EMAがクロスするゴールデンクロスの発生(赤矢印)。
②5月第1週のクロス以降、一度もローソク足が青長期EMAへ下落することなく青長期EMA、赤短期EMA共に上向きを維持。
③時間が経過するごとに赤短期EMAと青長期EMAの間隔が広がり、上昇トレンドの強さを示唆。
ということが読みとれる。では、③の上昇トレンドの強さはどの程度のものなのか。過去のパターンの上昇トレンドの強さを振り返ったものが下図となる。
BTCJPY 週足 当社社内ツールより作成
直近の③のような上昇トレンドの強さを示唆した過去のチャートは、
A:2015年11月第1週(35,213円)~2017年12月第3週(2,265,523円)⇒6,333%上昇
B:2019年5月第1週(635,578円)~2019年6月第4週(1,500,604円)⇒136%上昇
C:2020年1月第2週(883,244円)~2020年2月第2週(1,149,252円)⇒30%上昇
D:2020年5月第1週(947,641円)~2020年11月1週(1,528,210円)⇒61%上昇
とCのコロナショック時を除けば、1か月以上の長期に渡り上昇トレンドは継続しており、今現在のD地点は、トレンド発生から61%上昇(11/7終値基準)しているが、半月以上に渡って上昇トレンドを維持しており、トレンドの強さは2017年後半の相場以来であることがわかる。
・潮目が変わった
Bloombergより当社作成
上昇トレンドの強さ以外に、ビットコインとアルトコインの強弱関係が入れ替わったことも今後の行方の手がかりになる。上図は世界の暗号資産市場の90%をカバーした指標であるインデックスCMC200とビットコインを除いたアルトコイン中心のインデックスCMC200EXの年初来からの動向を比較したものだ。2020年始まって以降、アルトコイン>ビットコインという強弱関係で推移していた流れが10月下旬にアルトコイン主導からビットコイン主導へ転換したことがわかる。(黒矢印)
2020年最も値動きの大きい当社取り扱い銘柄に絞り、1/1を起点とした動向を振り返ってみると(下図参照)、
①1月~2月は、ETC、MONAが相場を牽引。概ね上昇傾向。
②2月後半から調整局面入り、3月12日に下落のピークを迎える。
③DeFiブーム到来、ETH高騰。同時期にSymbol期待でXEM高騰。
当社取り扱い銘柄の内、2020年の値動きの大きい銘柄を抜粋、値動き比較
Coin Market Capより当社作成
と、今年に入ってこれまでは一貫してアルトコインが相場を牽引する展開が目立っていたことが上図からわかる。
アルトコインの上昇ピーク時の上昇率から今後のBTC価格の価格上限を推定(1/1終値で計算)すると、
XLM(ピーク時年初来150%上昇)の場合、BTCは約196万円
ETH(ピーク時年初来250%上昇)の場合、BTCは約274万円
XEM(ピーク時年初来350%上昇)の場合、BTCは約352万円
まで上昇する可能性があり、最高値226万円の更新も視野に入ってきていると言える。
一方、①で上昇したETC(ピーク時150%上昇)、MONA(ピーク時250%上昇)のように、上昇スピードが失速したならば、
MONA(年初来60%))の場合、BTCは約125万円
ETC(年初来14%)の場合、BTCは約89万円
までの下落が想定される。年末に向けてボラタイルな相場展開が予測されるため入念な資金管理が求められるであろう。
(11/9 午前7:00時点)
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