ビットコインの上昇はこれから? 出遅れのネムに巻き返しのチャンスは?
Daily Market Report 2020/10/23
2020.10.23
Daily Point
・中国・微博や日本Twitter、「ビットコイン」が各国でSNSトレンド入り(CoinPost)
・マザーズ急落、高値警戒 信用期日で手じまいも(日本経済新聞)
・モデルナ、3万人の登録が完了-新型コロナワクチン治験の最終段階(Bloomberg)
・ペロシ下院議長、米景気対策合意は「すぐそこ」-協議進展を指摘(Bloomberg)
BTCJPY 15分足 当社社内ツールより作成
昨日(10/22)のBTCJPY相場は堅調に上昇を続けた。
朝方は、前日の上昇に追随した買いにより、日本時間午前8時には当日高値となる138.5万円まで続伸し、年初来高値を更新した。しかしその後は、連騰の反動から一転して売りが先行し、10分間で約5万円急落した。
東京市場時間では、東証マザーズ先物が下落によるサーキットブレイカーが発動したことを受け、市場センチメントが悪化し、米国債利回り上昇を背景としたゴールドの下落も重しとなり、BTCJPYは緩やかに下落した。午後2時には132.9万円付近まで下落し、その後も133万円付近で揉み合う展開となった。
欧州市場時間に入ると、133万円のサポートの底堅さが意識されたのか、午後6時に揉み合いから明確に反発したBTCJPYは、それまで上値のレジスタンスだった134万円台前半を突破し、午後8時には136万円台に乗せた。その後はゴールドの一段安や原油先物の下落に連れる形で134万円台前半まで下押すも、日中のレジスタンスだった134万円が次のサポートとなり、135万円まで切り返す安定感を見せた。
米国市場時間に入ると株高、ゴールド高、ドル高とリスクオンの状況でBTCJPYにも買いが集まり、134万円台から下値を切り上げながら上昇。米景気対策合意の期待感も市場参加者の買いの後押しとなり、翌午前2時には136.9万円まで上昇した。その後は材料薄の中、135.8万円まで調整下げが入るも、続伸するダウ平均株価を前にBTCJPYも底堅さを見せ、日中高値である138.5万円を目指し、137.8万円まで続伸する展開となった。
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
10/22営業日の全暗号資産終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は3.79 %、中央値は3.75%、標準偏差は1.66%。
最大上昇銘柄はETCJPYの+7.13%。最小上昇銘柄はXEMJPYの1.39%。
昨日は米大手決済のPayPalによる暗号資産市場への参入計画の発表から一夜明けて、すべての暗号資産が上昇する全面高となった。
特にETHJPYとETCJPYのイーサリアム系に買いが集まっていることが確認できる。BTCJPYは昨日年初来高値を更新したが、ETHJPYとETCJPYはまだ8月高値水準に戻せておらず、投資家による割安銘柄の物色買いが行われている様相か。
一方、最小上昇銘柄となったXEMJPYは昨日同様、他銘柄に資金が集まる中で、買いが入らない苦しい展開が続いている。現状を打破する材料待ちという状況だろうか。下段の分析も参考にしていただきたい。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
10/22営業日の全暗号資産終値の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は6.41%、中央値は6.59%、標準偏差は1.16%となった。
最もボラティリティが高かった銘柄はETCJPYで8.27%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTCJPYで4.01%であった。
・ビットコインの上昇はこれから?テザー(USDT)との関係
社内及びCoinGeckoデータより当社作成
上記チャートは2018/1/1からのBTCJPYの価格(円)とUSDTの時価総額(ドル)のデータを比較したチャートである。(10/22 午前9:00 時点)
2018年の下半期から、USDTの時価総額の増加と、BTCJPYの価格上昇が一致していることが見て取れる(緑矢印)。特に顕著に表れているのが、2019年7月頃からである。USDTの時価総額が揉み合いだった時期を終えて、増加し始めた頃、BTCJPYの価格は130万円まで上昇している。その後も数か月おきに時価総額は大幅増加しており、2020年4月頃から本稿執筆時点にかけて、40億ドルから4倍の160億ドルに達している。
過去にないペースで増加しているUSDTの時価総額に対して、BTCJPYの価格は4月の70万円から本稿執筆時点で138万円と2倍程度の上昇に留まっている。
そもそも、USDTの時価総額の増加がBTCJPY上昇の引き金になっているという考えは、
・新たな市場参加者が暗号資産市場に参加するため、Fiat通貨(法定通貨)をUSDTへ変換してから各取引所へ資金を移動し、参入するためにUSDTの発行量が増大する。
・トークンの移動の利便性という面が大きく評価され、Fiat資産を分散させるべく、USDT(または、他の暗号資産)をハブにし、広く移動、分散を目的とし、交換されている側面。
という二点から、USDTは評価され、時価総額を伸ばしている面があると考えられる。それに加え、昨今のマネタリーベースの増加によるインフレ対策として、様々な投資家によってBitcoinがデジタルゴールドとして再評価されていることもあり、USDTの時価総額の増加が新規資金流入の現れであり、BTCJPYの価格の押し上げ要因になると考えると、史上最高値である226.5万円に年内到達する可能性も否定出来ないのではないか。
・ネム、カタパルトを控えて買い控えか?
ネムは今年2020年12月に大型アップデート「カタパルト」を予定している。このアップデートにより新しいプラットフォーム「シンボル」と新しいトークン「シンボル(XYM)」が誕生する。ネムの保有者はオプトインと呼ばれる手続きを踏めば新しいトークンXYMを付与される予定だ。
だがこのオプトインはシンボルのローンチまでに行う必要があり、時間的な制約がある。また取引所に預けている場合、個人でオプトインを行うことはできず、取引所の方針に従うことになる。つまり、付与されない可能性もあるのだ。
一昨日、10/21営業日、BTCJPYをはじめとする各銘柄が上昇した中、前日比-0.59%とわずがではあるが、XEMJPYだけが下落し、陰線をつけた。
要因として、ネムが米大手決済会社PayPalのサポート対象に入らず、他の銘柄に資金が集まったことが上げられる。そして、このカタパルトも少なからず投資家心理に影響を与え、取引を手控えられてしまった可能性がある。
XEMJPY 日足 当社取引ツールより作成
さて、そのような状況のXEMJPYだが、10/19(赤い丸)に転換線(橙線)が基準線(緑線)を下抜け、売りのサインを示していた。そこから下落し、他の銘柄がすべて陽線をつけた10/21も陰線をつけている。ボリンジャーバンドでは、すでに2σの下限ライン(チャート下の橙線)に接し下限の値幅を狙うには難しい。また10/31付近で雲がねじれていることから、そこに向かい、価格が押しあがりトレンドの転換点となる可能性もある。
XEMJPY 日足 当社取引ツールより作成
他方で、パラボリックSAR(赤点線)では、ローソクより上を推移し、下落サインが継続している。下落しているSAR(赤点線)と上昇している日足が交わり突破出来れば、そこが買いのタイミングとなるが、現状、まだその気配はない。
次にスローストキャスティクスでは、10/21に25%下限付近でSlow%K(青線)がSlow%D(橙線)を下から上に抜けている。XEMJPYだけ陰線をつけたこの日が買いのタイミングだったようだ。長めの下髭と、次の日が陽線であったため、平均値が切りあがったようだ。現在Slow%K(青線)、Slow%D(橙線)共に売られ過ぎを示す20のライン(スローストキャスティクスチャート下部の赤線)付近にあり、RSIも同様に20のライン(RSI下部の赤線)付近にあることから、反発する可能性はある。
最後にMACDだが、10/14にMACD(青線)がシグナル(橙線)を上から下に抜け、売りのサインを示していた。現在ヒストグラム(紫色グラフ)はマイナス圏にあり、相場と同様に下落トレンドを示している。スローストキャスティクスとMACDを組み合わせることで、10/14からの下落トレンドはうまく捕らえられていた様だ。しかし、トレンドの転換点はまだ見えない。
以上のようにXEMJPYの指標はまちまちとなった。12月にカタパルトを控え、まだまだ投資家心理に振られる展開が予想される。
(10/23 午前5:00時点)
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