ビットコイン依然として上値重く、トレンド転換となるのか
Daily Market Report 2020/9/11~13
2020.9.14
Daily Point
・政府、予備費1.6兆円支出へ 宿泊施設確保や医療機関支援(日本経済新聞)
・ユーロ3日続伸、ECBのユーロ高けん制乏しく(Reuters)
・【米国市況】株はもみ合い、S&P500が小幅高-ハイテク株は軟調(Bloomberg)
BTCJPY 1時間足 当社社内ツールより作成
先週末(9/11-13)のBTCJPY相場は往って来いの動きとなった。
金曜日(9/11)は、狭い値幅での上昇。午前8時までBTCJPYは110万円近辺を推移していた。その後の日本市場では、前日(9/10)米国市場時間の株価が安値を更新した悪いムードを引継ぎ、BTCJPYは午後1時にかけ安値の108.7万円まで値を下げた。しかし、GoToトラベルに東京が追加されるなどの経済対策の進展が報道されたことが好感され、日経平均株価が前日比プラス圏となり、さらに上値を伸ばすと、BTCJPYも後押しされた形となって切り返す展開となり、午後4時には109.9万円まで上昇した。
欧州市場時間に入ると、BTCJPYの上昇トレンドが継続し、一時110.3万円まで上昇した。しかし米国議会において、規模が推定5,000億ドルと推定される新型コロナウイルスの追加経済対策法案が審議入りに必要な60票に届かず、事実上否決され、進展が期待できない不安感から上値を伸ばすことが出来ず、米国市場時間引けに向けて、109.5万円近辺での推移に止まった。
土曜日(9/12)は続伸。市場ボラティリティの低下が好感されたか、じり高推移となり、午前8時には110.6万円まで上昇して前日高値を更新した。しかし、その後は夜間まで下落基調となり、揉み合いながら徐々に価格を切り下げた。午後10時40分にBTCJPYは、109.2万円の日中安値をつけるがここで急反発。翌午前0時には110万円台を回復。狭い値幅で揉み合ったのち、午前3時からは上値追いが加速し111万円台前半まで到達した。その後は上値が重いながらも110万円台後半を下回ることなく111万円前後を0.5万円程度の値幅で推移した。
日曜日(9/13)は一転して下落。午前中は111万円付近で揉み合いを続け、正午頃には、112万円まで上昇した。その後も112万円前半で揉み合いを繰り返していたが上値が重く、午後6時頃から下落しはじめ109万円台後半まで値を下げた。その後もBTCJPYは109万円での推移が続き取引を終了した。
・銘柄別価格前日比 (%)
社内データより作成
9/13営業日の全暗号資産終値の前日比は上記グラフの通り。
平均値は-4.79%、中央値は-4.86%、標準偏差は2.50%。
最大下落銘柄はXEMJPYの -8.64。最小下落銘柄はMONAJPYの-1.27%。
最大下落銘柄となったXEMJPYは昨今、ボラティリティが高いことから、下落幅も大きくなった。最小下落銘柄となったMONAJPYはボラティリティは他の銘柄と同程度であったが、連日の下げですでに調整されていることから下落幅が限定的となった。
・24時間 ボラティリティ (%)
社内データより作成
9/13営業日の全暗号資産の24時間ボラティリティは上記グラフの通り。
平均値は7.96%、中央値は7.22%、標準偏差は2.51%。
最もボラティリティが高かった銘柄はXEMJPYで12.40%。一方、最もボラティリティの低かった銘柄はBTCJPYで3.42%であった。
・反発ならず、ビットコイン4週連続陰線を記録。季節要因から動向を追う
①BTCJPY 週足 当社取引ツールより作成
9/13営業日のBTCJPYは前日比-1.42%の下落となった。
BTCJPYの価格帯の現在地を確認するために長期足から動向を追う。
上図は週足BTCチャートとなる。8/17に年初来高値である132万円へ到達以降、4週に渡って陰線を記録しており、7/27からの上昇幅の大半を吐き出した格好といえる。現在は過去の多くの局面で市場参加者に意識されてきた106~111万円(1万USD~1.5万USD)ラインで攻防戦を繰り返していることがわかる。(黄色枠、黄色矢印参照)
年初来高値を達成したBTCJPYの相場を押し下げた原因は複数存在するが、下落理由として先ず季節要因が挙げられるだろう。
②BTCヒートマップ Bloombergより当社作成
上図は直近5年間のBTCの月別変動率を可視化したヒートマップとなる。
5年間平均(5Yr Avg)を確認すると、
・最も上昇しやすい月は、1位:5月(26.6%) 2位:10月(22.3%) 3位:4月(18.3%)
・最も下落しやすい月は、1位:1月(-15.4%) 2位:3月(-9.2%) 3位:9月(-4.7%)
ということがわかる。
特に9月に限っては、日経平均株価やダウ工業株30種平均の月別騰落率が落ち込むことから、マーケットのアノマリーが暗号資産にも波及しているといえるだろう。BTCは2017年9月から2019年9月の3年間連続陰線を記録しており、2020年9月は123万円を超え、陽線転換を狙うことは鬼門であると考えられる。(黄色枠参照)
③BTCJPY 月足 当社取引ツールより作成
9月は良好な展開を望めないと考えられるが、10月を確認すると最も上昇しやすい月の2位に位置しており、平均変動率は22.3%を記録している(②緑枠参照)ことがわかる。2018年を除くどの年も10月は反発、または続伸で推移していることから、押し目買い戦略で③黄色枠の106万円(1万USD)ラインを狙いたいところだ。一方、106万円ライン(1万USD)ラインを明確に割り込む場合、トレンド転換が示唆されるため資金管理を徹底してこの局面に臨む必要があるだろう。
・ネム、3営業日続落。反発なるか
XEMJPY 日足 当社取引ツールより作成
9/13営業日の最大下落銘柄はXEMJPYの-8.64%となった。
9/10の上昇からは一転、3営業日続落し、一週間ぶりに12円台で取引を終えた。
金曜日(9/11)は続伸して始まり、上図②の13.5円をサポートに底堅く推移した。一方で、14.1円(9/1高値と9/5安値の半値)のレジスタンスはブレイクできず、実体の短い十字線が形成された。これは相場の転換点を示唆している可能性がある。
土曜日(9/12)は続落。午前から午後にかけては上値を試したが、14.1円のレジスタンスや前日高値が重しとなった。夜間には13.5円のラインを割ったこともあり、下落を加速させた。
日曜日(9/13)も続落して始まり、日中に13円のラインが割れると12円台前半まで勢いよく下落した。下落後は値ごろ感による買いからか12円台前半から12円台後半をもみ合ったが、翌午前2時に12円を割ると11円台後半まで下押した。
今後のシナリオとして、上を再び目指す場合は②の13円、13.5円のレジスタンスをそれぞれ抜けられるかが注目されるだろう。一方、下を試す場合は③の8.5円~10.5円の保ち合い圏が意識される。このうち10.5円のラインは8/29の上昇以後、終値で明確に割ったことがないため、最も重要なサポートとみなされるだろう。【詳細は、以前のレポート(https://img.bitcoin.dmm.com/press/market/dmm_bitcoin_market_report_20200911.pdf)の「米株下落に水を差され、上昇相場移行は持ち越し」のコラムで記載】
・長期でみるネムとビットコインの強弱関係
XEMBTC 週足 当社取引ツールより作成
上図はXEMBTCの2018年6月来の週足チャートである。チャートを確認すると、
①0.00000735BTC(2019年5月のサポート、2020年2~3月のレジスタンス)
②0.00001000BTC(2019年2月のサポート)
③0.00001500BTC(2018年8月~11月のレンジ帯、2019年4月、2020年8月のレジスタンス)
の価格帯が特に意識されているようだ。
XEMBTCは今年2月の上昇によって、2年以上にわたる下落トレンドを終わらせたものの、①の0.00000735BTCのラインがレジスタンスになり反落。その後は下落基調で推移し、5月に下げ止まった。8月の上昇相場では、2月に抜けられなかった①0.00000735BTCのレジスタンスを上抜けるとそのまま続伸し、②の0.00001000BTCのラインを上抜け。上抜け後は②のラインをサポートに上値を追ったが、③の0.00001500BTCがレジスタンスとなり反落した。現在は②と③の間を推移している状況である。
今後のシナリオとして、②と③の間のレンジ相場(≒11.0~16.5円 1BTC=110万円の場合)に移行し、値幅を縮めながら次の方向性を探る展開が考えられる。
下値の目途は①0.0000735BTC(≒8.08円 1BTC=110万円の場合)が視野に入る。また、③のラインを上抜けた場合は④の0.00002127BTC(≒23.97円 1BTC=110万円の場合)が次の上値の目途となるだろう。
XEMBTCはBTCの価格によって変動することから、BTCの価格推移と合わせて注目したい。
(9/14 5:30作成時点)
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