UASF
ビットコインにおけるUASFって何?
UASFとは
UASFは「User Activated Soft-Fork」の略称で、「ユーザーによって有効化(実行)されるソフトフォーク」といった意味合いです。具体的に言えば、通常のソフトフォークとは違って、大多数のマイナー(採掘者)からの賛同を得られなくても、ユーザー(ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)を実際に取引している人たち)の意向に沿って実行できるソフトフォークの方法です。UASFは、ビットコインのブロックチェーンを利用している(実際に取引を行ってブロック内にそのトランザクションが記録されている)ユーザーの賛同率に基づいて実施されます。
ソフトフォークとは、「暗号資産(仮想通貨)の仕様」を変更する方法の1つです。暗号資産(仮想通貨)の仕組みにはブロックチェーンという技術が用いられていますが、1つのブロックの中に書き込めるトランザクション(取引データ)の数が限られており、ブロックの容量がフルになるとデータ処理速度が遅くなり、送金に時間を要します。これはスケーラビリティ問題と呼ばれるもので、その解決策の1つがソフトフォークです。ビットコインの仕様を変更してブロックに書き込むデータを縮小化することで、ブロックの空き不足を解消します。
UASFというソフトフォークの方法は、BIP148において提案されました。BIPは「bitcoin improvement proposals」の略で、「ビットコインの改善提案」という意味です。148は提案番号で、システムを改善するためにビットコインコア開発者などによって提出されています。
UASFという手法の大きな特徴は、ソフトフォークでありながら、ハードフォークと似たような展開になり得ることです。通常のソフトフォークでは、数珠つなぎとなっていたブロックチェーンをいったん分岐(枝分かれ)させるものの、旧ルールに基づいているチェーンと新ルールに沿って生じ始めたチェーンとの間には互換性を持たせ、それぞれは収束(一本化)されます。しかし、UASFはハードフォークと同じように、チェーンが分断されたままになってしまう可能性があるからです。
UASFを実装すると起きる影響について
UASFは具体的なソフトフォークの手法として、Segwit(セグウィット)と呼ばれる方式を用います。Segwitでは、ブロック内に格納するトランザクションのデータの中から、取引を成立させるために交わした「署名」の部分を省いていく作業を行うことによって、データの縮小化(圧縮)を図ります。
Segwitに成功すると、データの縮小化で混雑も解消されてマイニングにかかる費用が下がり、手数料も安くなる一方、ビットコインの価格は上昇すると考えられています。また、Segwitは技術的にも高い評価を受けており、多くのユーザーはその実施に期待をかけていると言われています。他のソフトフォークやハードフォークはマイナーやビットコイン開発者などの意向に基づいて実施され、ユーザーは手をこまねいて見ているしか術がありません。その点、UASFはマイナーなどの賛同が得られなくても実施でき、しかもSegwitという方式を用いていることから、多くのユーザーが期待を寄せているようです。
実は、UASFにおいてSegwitという方式でソフトフォークを実施する際には、そのことに賛同していないマイナーに対して強攻策を敢行します。それは、「Segwitを実行することに賛同しないマイナーが生成したブロックをチェーンに加えない」という措置です。
その際、Segwit の実行を支持するマイナーが反対派を圧倒すれば、後者のブロックは淘汰されていって、やがてデータが縮小化されたブロックチェーン1本へと収束されていきます。したがって、このケースでは特に大きな問題が生じません。
しかし、Segwit 支持派が劣勢に立たされた場合はブロックチェーンが完全に分裂し、新旧2種類のビットコインが誕生することが想定されます。これでは、分裂を前提とするハードフォークと同じ展開になってしまうわけです。
一方、支持派と反対派の勢力が拮抗した場合は、まさに小競り合いが繰り返されていくといったパターンになると考えられます。反対派のブロックがチェーンから排除されても、やがて再統合されてチェーンを形成し始め、もう一度除外しても再び同じ動きが生じるというパターンをイタチごっこのように繰り返していく可能性が指摘されているのです。
通常のソフトフォークやハードフォークは、マイナーやビットコイン開発者などの判断で進められるものであり、ユーザーはまったく関与できません。これに対し、UASFは大多数のマイナーからの賛同を得られなくても、ユーザーの意向を反映して実行できるソフトフォークの方法です。また、実施に当たってはSegwitという技術的に優れていると言われる方式を用います。こうしたことからユーザーの間では期待が高まっているようですが、その実施によってビットコインの分裂が発生する可能性が指摘されているのも事実です。
今、暗号資産(仮想通貨)を始めるなら
DMMビットコイン