P2P(ピアツーピア)

暗号資産(仮想通貨)におけるP2Pとは?ブロックチェーンとの関係は?

P2P(ピアツーピア)とは?

P2Pとは「peer to peer(ピアツーピアあるいはピアトゥーピア)」の略語で、ピーツーピーと呼ばれることもあります。中心的な機関や装置を持たず、末端の端末(ピア)同士が直接データをやり取りする仕組みを指しています。暗号資産(仮想通貨)に限定された用語ではなく、インターネットに代表されるデータのネットワークモデルの一つです。

暗号資産(仮想通貨)取引は、P2Pというネットワークの基に成立しています。P2Pがあるからこそ、ユーザーが増えても暗号資産(仮想通貨)の取引や送金は問題なく行えています。暗号資産(仮想通貨)の大前提となるネットワーク構成技術で、暗号資産(仮想通貨)以外でも今後さまざまな分野で増えていくと考えられています。

一般的に、インターネットでWebサイトにアクセスするときには、特定の管理サーバーにアクセスします。それに対し、P2Pの仕組みではユーザーの端末同士が直接アクセスしてデータをやり取りする形をとります。たとえば、LINEやSkypeのようなコミュニケーションアプリが典型的なP2Pモデルの実用例と言えます。

暗号資産(仮想通貨)におけるP2Pモデルは、ブロックチェーンによって実現されています。法定通貨や一般的な金融商品のやり取りであれば、中央銀行や各種金融機関など中央機関があります。それに対し暗号資産(仮想通貨)の場合、取引履歴(=ブロック)をひとつなぎ(=チェーン)にしたブロックチェーンで、暗号化されたデータを管理するため、中央機関がなくても安全であるとされています。

以前は情報処理の分野で中心的に使われていたP2Pですが、2008年に登場した暗号資産(仮想通貨)を皮切りに、金融や流通などさまざまな分野で使われるようになりました。

P2P取引のメリット・デメリット

P2P取引には、中央集権的な仕組みにはないメリットがいくつもあります。ただし、当然ながらデメリットがあることも忘れてはいけません。

メリットとしては、データ処理量を分散できて素早く取引できることです。ネットワークに接続するユーザーが増えても、中央サーバーに負荷が集中してパフォーマンスを落とすことがありません。そのため、暗号資産(仮想通貨)のように世界中の人がアクセスしてもサーバーが落ちるなどの問題が発生せず、アクセス速度が落ちることも起こりません。結果として通信回線やサーバーなどの機器に高額な投資をすることもなく、低コストで安全にネットワークを構築・運営できます。

また、仮に特定の端末でウィルス感染のような障害が起きても、利用者が受ける影響は小さくなります。中央サーバーを持つネットワークだと、そのサーバーが障害を起こすとすべてのユーザー同士でデータ通信ができなくなってしまいます。P2Pであれば、仮に誰かの端末がダウンしても、他の端末とアクセスできればよいので通信を継続できます。

一方、デメリットとしては、やり取りされる情報の質の問題が挙げられます。かつて、一部のファイル共有ソフトにおいて、音楽や映画など著作権で保護された著作物も多く共有されていました。当然ながら、著作権法では権利の所有者に無断で著作物をアップロードすることを認めていません。

また、やり取りするデータの改ざんや不正混入などの問題があります。中央サーバーだけを管理していればよいわけではなく、悪意を持ったユーザーによるウィルス混入などのリスクを防がなければいけません。P2Pの形だと、こうしたリスクをコントロールする形で実装するのが困難とされています。
ブロックチェーンでは、後述する方法によって、不正が起こらない仕組みを取っています。

P2Pとブロックチェーンの関係について

暗号資産(仮想通貨)のP2Pネットワークでは、ブロックチェーンという仕組みを採用することでデータの改ざんなどのトラブルを回避しています。

ブロックチェーンとは、取引履歴がひとつなぎになった「分散型台帳」です。ビットコインを例に挙げると、ブロックチェーンの信頼性は、ユーザーがかたまりごとに約10分かけて複雑な計算を行って承認しています。このプロセスを「マイニング」と呼び、マイニングによって信頼性を検証する仕組みを「PoW(プルーフ・オブ・ワーク)」と呼びます。計算と承認をした人に、報酬としてビットコインが付与されます。

わざわざ複雑な計算をしないと承認できないような仕組みにすることで、P2Pの弱点を補っています。仮にブロックチェーン内の取引データを改ざんしたければ、計算能力が他のユーザー(マイナー)より優れているコンピューター(CPU)を使って改ざんを行えばよいように見えます。しかし、そのためには約10分という短時間でブロックチェーン全体の半分以上を書き換えなければいけません。

各ブロックでは、データを圧縮した値が算出され、次のデータに申し送りされています。そのため、一つのブロックを改ざんしたければ、その後ないしそれ以前のデータについても改ざんしなければいけません。一つのデータだけを書き換えても、不正ブロックとその前のブロックとの間に関係性がないため、不正ブロックは次の承認のタイミングで意味をなさなくなるのです。ブロックチェーン全体を短時間で書き換えるだけのマシンパワーを手に入れるのは現実的ではないため、基本的には不正が起こらないようになっています。

ただし、PoWには一つ問題点があります。それは、大量の電力を使用して多くのマシンパワーを活用できる資本を有する者だけが、実質的にマイニングできる体制になってしまっているということです。環境面でも負荷を与えかねませんし、そうした大資本がブロックチェーンを改ざんし、不正な取引を「承認」してしまうリスクもあります(これを「51%攻撃」と呼びます)。

この問題点を解決するとされているのが、「PoS(プルーフ・オブ・ステーク)」です。PoSとは、暗号資産(仮想通貨)の保有量に応じてマイニングのしやすさを変える仕組みです。PoSでは、暗号資産(仮想通貨)をたくさん保有しているほどマイニングが成功しやすくなります。また、一度マイニングに成功すると「マイニングしやすさ」の度合いが下がるようになっています。特定の個人やグループばかりがマイニングに成功する事態が起こりにくく、しかも計算の量(=電気消費量)を下げるメリットもあります。PoSは、イーサリアムを始め、いくつかの通貨で採用されています。

暗号資産(仮想通貨)におけるP2Pネットワークは、ブロックチェーンという仕組みを実現したからこそ成立していると言えます。

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