採掘難易度(ディフィカルティー)

採掘難易度(ディフィカルティー)

採掘難易度(ディフィカルティー)とは、ビットコインのマイニング時における、ブロックを生成するための計算難易度を示す値のことです。ビットコインのブロックは約10分に1つ生成されるように設定されています。しかし、この10分という数値はマイニング機器の性能向上や、マイナーの増減によってハッシュレート(採掘速度)が上下し、10分より長くなったり、短くなったりします。

そのため、採掘難易度は2016ブロックごとに再計算されることで、ビットコインのブロック生成が10分から大きく逸脱しないようにプログラムされます。これを「難易度調整(ディフィカルティ・アジャストメント)」若しくは「リターゲット」と呼びます。そして2016ブロックという期間を「リターゲット期間」といいます。10分に1つずつブロックが生成されるため、2016ブロックのリターゲット期間は約14日間となっています。

2021年12月29日現在の採掘難易度は約24兆2700億で、難易度はおよそ0%〜4%の間で調整されることが多いようです。リターゲット期間でブロックの平均生成速度が10分より短くなれば難易度は自動で上げられ、反対に期間が長くなれば難易度は下がります。マイニング機器の性能向上などもあり、難易度は右肩上がりで上昇する傾向にあります。

ハッシュレートとは

採掘難易度と合わせて、ハッシュレート(採掘速度)という言葉がマイニングでは使われます。ハッシュレートとはマイニングにおける1秒あたりの計算速度のことです。ハッシュレートが大きいほど多くの計算力が集まり、マイニングが行われていることが数値で示されます。

採掘難易度とハッシュレート、ビットコイン価格との関係性について

ハッシュレートや採掘難易度が上昇するということは、ビットコインへの需要が増加していると捉えることができます。実際に2017年ごろまでは、ハッシュレートや採掘難易度の上昇幅に合わせて、ビットコイン価格が上がるなど相関関係があると注目されていました。

しかし、2018年を過ぎたころから傾向が変化し、2022年現在ではこうした単純な相関関係は薄れています。

マイニング機器の性能は向上を続け、マイニングプール等が組織的になるにつれて、ビットコインの価格に関わらずハッシュレートと採掘難易度は上昇傾向を続けました。実際、2018年は価格が下落してもハッシュレートが右肩上がりを続けました。これは2017年の暗号資産価格の急上昇時にマイニング機器への投資が集中し、その効果が遅れてやってきたためであると考えられます。そのため、ハッシュレートと採掘難易度が示す価格との関係においては中期的な需給バランスを図る1つの指標としてみるのがいいでしょう。

採掘難易度に影響する要因

2019年9月に75.5%ものハッシュレートを占めていた中国は、以降じりじりとハッシュレートを落としつつも、2021年の上旬までは世界全体の50%を超えるマイニングの中心地となっていました。中でも多くのマイニングプールが位置する四川省では、安価な水力発電によって生産される電力を利用してマイニングが盛んに行われていました。しかし中国当局によるマネーロンダリング対策、世界的に話題となったCO2排出量を0にする「カーボンニュートラル」計画、そして中銀デジタル通貨であるデジタル人民元の普及を進めたい意向が重なり、最終的に2021年9月、中国国内でのマイニングは違法と判断され、全面的に禁止されるに至りました。
これにより、世界最大のハッシュレートを誇る中国のマイニングプールは移転を余儀なくされます。当時世界第2位のマイニング国であったアメリカに多くのマイニングプールが流れ込み、全体の35%を超える第1位のマイニング大国となりました。それに続いて電力が安く、寒冷地でもあるカザフスタン、ロシアにもマイニング事業者が集まることとなります。

過去にはマイニング施設が大雨による災害で稼働できなくなる事例がありましたが、その際にビットコインの価格が大きく下落しました。2021年4月時点でハッシュレートが世界第3位のカザフスタンにおいても2022年から電力の供給制限やマイニング税が導入されることとなり、今後、マイニングプールの所在地や勢力図にも変化が起こると予想され、それがビットコインの採掘難易度にも大きく影響すると考えられます。

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