CPFP

CPFPはビットコインの承認を早める奥の手

ビットコインにおけるCPFPとは？

CPFPは「Child Pays For Parent」の略で、直訳すれば、「子どもが親のために支払う」となりますが、そのままではイメージがつかめないかもしれません。もう少し言葉を補うと、「親（最初に設定した取引）がなかなか承認をしないので、子ども（当初よりも高めの手数料を提示した取引）を設定し、その手数料を支払うことで承認を促す」という意味合いになります。要は、ビットコインの承認を早めるための手法の１つです。

ビットコインの決済を成立させるためには、トランザクション（取引）をマイナー（採掘者）に承認してもらう必要があります。そして、承認時にはビットコインの購入者がマイナーに手数料を支払うことになります。その設定が相対的に少額であるとマイナーにとっては魅力薄となってしまうため、トランザクションの承認に時間を要することがあります。

そういった場合の承認促進策の１つとして考えられるのがCPFPなのです。具体的には、まず未承認となっているトランザクション（親）のTxOut（トランザクションアウトプット）をTxIn（トランザクションインプット）とする新たなトランザクション（子ども）を設定します。TxOutとは「指定のアドレスに指定の金額を送金してください」という意思を、TxInとは「ここに入ってきたビットコインを使用してください」という意思を示すこと。もっと簡潔に表現すれば、TxOutは送金、TxInは出金といった意味合いになります。つまり、子どものほうのトランザクションを設定することで、「親に送金されてきたものを支払いに充ててください」というリレーションが生じるわけです。

その際に重要なポイントとなるのは、子どものほうのトランザクションでは高めの手数料を提示することです。提示額に魅力に感じるマイナーが出てくれば、作戦は成功したと言えます。なぜなら、その手数料を享受するためには、親と子どもの両方のトランザクションを承認する必要があるからです。

CPFPにはメリットとデメリットがある

CPFPの何よりのメリットは、やはり承認が早まる可能性が高くなることにあります。通常、ビットコインでは10分ごとに１つのペースで帳簿の役割をするブロックが新たに生成されて、その中にトランザクションが書き込まれていくことで決済が成立します。どれだけ処理が円滑に進んだとしても、10分よりも極端に短縮化されることがない設計になっている一方で、遅延が発生した場合の制限はありません。

こうしたことから、特にビットコインの人気が過熱した局面などでは、未承認のトランザクションが膨大な規模に達することがよくありました。つまり、承認待ちの大行列が発生しているような状況で、一刻も早く決済を成立させたい投資家にとっては気が気でないことでしょう。そのような場合、もしも未成立となってもウォレット内の残高は回復するので実害はありませんから、まさに「果報は寝て待て」のスタンスで気長に臨むのも一考の価値ありです。しかし、是が非でも決済を成立させたいなら、CPFPを試してみたいところでしょう。

もちろん、CPFPにもデメリットがあります。まず、トランザクションを２回も設定するという手間がかかることのがその１つです。また、最初に設定したトランザクションの手数料と、もっと高い金額で提示した２度目のトランザクションの手数料をダブルで負担することも難点でしょう。さらに、せっかくCPFPの可能性に賭けたのに、マイナーが対応してくれないという可能性も考えられます。

そういったCPFPのデメリットを踏まえれば、RBF（Replace-by-Fee）という手法に目を向けてみるのもいいかもしれません。これは、トランザクションを送信した後でも提示する手数料を変更できるというものです。「手数料が変更される可能性がある」旨のラベルを付けたうえで、トランザクションを送信します。そのうえで、トランザクション処理の状況に応じ、必要だと判断すれば手数料を変更します。ただ、最大のネックは、RBFに対応している仮想通貨交換業者が少ないことです。

提示した手数料が相対的に低めだったことが主な理由でトランザクションがなかなか成立しない場合、続けてもっと高い手数料のトランザクションを設定することで承認を促すのがCPFPです。マイナーがそれに応じれば、２つのトランザクションをともに決済されるのがそのメリットですが、相応の手数料を負担することも念頭に置いたうえで実行すべきか否かを判断するのが望ましいでしょう。
もしCPFPのみならず、手数料を後で変更できるRBFという選択肢も用意されているなら、通常は後者を優先して利用するのがよいでしょう。そうすれば、CPFPとは違って、2つの取引分の手数料を負担しなくて済むからです。マイナー手数料無料で出庫できる仮想通貨交換業者もあるので、そういったところを取引先に選んでおくのが賢明でしょう。