ブロックヘッダ

ビットコインのブロックヘッダ

ブロックヘッダとは

Wordなどワープロ文書でもお馴染みのヘッダとは、書類本文上部のエリアを指しています。その、各ページの先頭に設けられた、本文の入力箇所と別の領域には、作成日や作成者などの付随情報を記入できるようになっています。

ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の大半にはブロックチェーン技術が用いられています。そして、すべてのトランザクション(取引)がブロック(台帳・帳簿)に記載され、容量が満杯になると新たなブロックが生成されてチェーン状につながっていきます。それぞれのブロックは、ワープロ文書と同様、「トランザクションを記録する箇所」と「付随情報を記録する箇所」によって構成されています。前者は文書の本文に相当し、そのヘッダに当たる後者をブロックヘッダと言います。

ビットコインのブロックヘッダには、①ブロックのハッシュ値、②マイニング(採掘)に関するデータ、③ブロック内に記載された全トランザクションの要約、という3種類の付随情報が記録されています。

ブロックヘッダの役割

ブロックヘッダに書き込まれている3種類の情報は、それぞれが重要な役割を担っています。まず、①の「ブロックのハッシュ値」とは、ハッシュ関数と呼ばれる数式によって算出された暗号化データです。これは、そのブロックを識別するために用いられています。

ハッシュ値は、一般的な識別番号のように、連番などの単純な方式になっていないのが大きな特徴です。SHA-256という名前のハッシュ関数によって2回にわたり変換が行われ、逆進できない性質をもっていることから、解読不可能だとされています。そのブロックに記載された個々のトランザクションにおいてもハッシュ値が算出されていますが、そのハッシュ値にもSHA-256による変換を繰り返してつないでいき、最後に算出されたハッシュ値がブロックヘッダに記入されます。

そのようなプロセスを経て算出されたブロックのハッシュ値から、一つ前のブロックの続きであることを確認できるのです。また、ブロックヘッダが改ざんされていないことの証しでもあり、正常なチェーンであるという事実も把握できるようになっています。

もし悪意ある何者かが一つ前のブロックの中身を改ざんしたとすると、そのブロックヘッダのハッシュ値が変化してしまいます。チェーンとしてつながっている次のブロックに記されたブロックヘッダのハッシュ値は、前述したように「一つ前のブロックの続きであること」を証明したものです。前のブロックヘッダのハッシュ値が変われば、おのずとその証明が成立しなくなってしまいます。犯行が発覚しないためには次々とブロックを改ざんし続けなければなりません。チェーンが長ければ長いほど、その何者かが不正をバレない状態で作業し続けるのが困難なのです。

続いて、②の「マイニング関連のデータ」には、マイニングの難易度やタイムスタンプなどがあります。

ビットコインのマイニングは、約10分に1回の頻度となるようにコントロールされています。実際にマイニングを行うのは、超高速の演算作業をするコンピュータです。高スペックのマシンが登場すると、10分を大きく割り込む時間で演算を終えてしまうケースも出てきます。その状態が続くと、ビットコインにあらかじめ定められている2,100万BTCという発行上限に早々と到達してしまいます。

そこで、「マイニングの難易度」と呼ばれる数値を変更することでその調整を図っているのです。つまり、その数値の推移を辿ることで、マイニングのピッチがどのように変化してきたのかをうかがい知ることができます。

一方、「タイムスタンプ」は、そのブロックが生成された時刻を示すものです。これをもとに、一つ前のブロックにおいて最後に記載されたトランザクションの時刻を特定できます。

③の「ブロック内に記載された全トランザクションの要約」とは、すべての取引に関するデータを圧縮化したデータです。個別の取引について確認したい場合は、ここにアクセスすれば容易に抽出して閲覧できるわけです。

意外と知られていないようですが、ブロックヘッダに全トランザクションの要約が記載されていることは、一般的なビットコインの利用者にも高い利便性をもたらしています。本来なら、ブロックチェーンの長さが長くなるにつれてトランザクションに関するデータはどんどん膨大になっていき、個別にそれを保有するのは困難となります。

しかし、ブロックヘッダにブロック内における全トランザクションの要約があれば、そこから特定のデータにアクセスできます。その結果、個別の機器が保有すべきデータの量を大幅に抑えられるので、スマートフォンなどのモバイル端末でもストレスなく容易に取引できるのです。

以上のように、ブロックチェーンの個々のブロックは、「トランザクションを記録する箇所」と「付随情報を記録する箇所」によって構成されています。そして、後者はブロックヘッダと呼ばれ、①ブロックのハッシュ値、②マイニング(採掘)に関するデータ、③ブロック内に記載された全トランザクションの要約が記録されています。これらをもとに、データ改ざんの有無や個別の取引を確認したり、マイニングの状況を把握したりすることが可能です。

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