ブロックチェーンの分岐(フォーク)

ブロックチェーンの分岐(フォーク)

ブロックチェーンの分岐(フォーク)とは

ブロックチェーンの分岐とは、1本の鎖状につながっているビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)のブロックチェーンが途中で枝分かれする現象のことを指し、フォークとも表現されます。

ブロックチェーン上では、すべてのトランザクション(取引)の承認とその内容の記載が行われています。ブロックチェーンのネットワークに参加している不特定多数の人が任意で作業を担っており、新たなコインが発行されて彼らに報酬として支払われる仕組みになっています。こうしたスキームを金鉱山にたとえて、彼らのことをマイナー(採掘者)と呼んでいます。

通常なら、1つのブロックへのトランザクション書き込みが容量の上限まで達すると、新たなブロックをその次にぶら下げる格好で書き込み作業が続けられていきます。ところが、同時進行で複数のブロックへの書き込みが行われたり、悪意のある何者かが混乱を企てたりした場合に、分岐が生じることがあります。

分岐が起きると、新たにトランザクションの承認・記載作業を進めるマイナーは、その中で最も長くなっているチェーンを作業の対象に選びがちです。なぜなら、短いものは他のマイナーからも選ばれず、やがて一定以上の差が生じたら途絶えてしまって、新たなコインという報酬を得られないからです。

ソフトフォーク、ハードフォークとの違い

突然発生ではなく、計画的に実行されるブロックチェーンの分岐方法には、ハードフォーク、ソフトフォークと呼ばれる2つがあります。どちらも、ブロックの容量がフルになるまで書き込みが進んだ際に、データ処理速度が遅くなって送金に時間がかかってしまう問題を解決できます。

ブロックに書き込むデータの縮小化(圧縮)で解決を図るのがソフトフォークで、その際にブロックチェーンをいったん分岐させます。もっとも、旧ルールに基づいてつながっているチェーンと新ルールに沿って生じ始めたチェーンとの間には互換性を持たせており、やがてそれぞれは一本化されていきます。

一方、ブロックの容量を増やすことで解決しようとするのがハードフォークで、ソフトフォークとの決定的な相違点は、旧ルールと新ルールの間に互換性がないことです。したがって、チェーンが枝分かれした状態が続き、その暗号資産(仮想通貨)が永遠に分裂することを意味します。

分岐(フォーク)の目的は?

先にも述べたように突如として発生する分岐は、同時進行で複数のブロックに書き込まれるという偶発的なものか、あるいは何者かの悪意によるものです。

これに対し、ソフトフォークとハードフォークは、ブロックの容量不足を解消するために実施される計画的な手段です。ただし、現実のハードフォークはそのこと以上に、「永続的なチェーンの分裂(新たな暗号資産(仮想通貨)の誕生)」に主眼が置かれがちだとも言えるでしょう。それは、ビットコインの運営を巡って対立が生じ、一部の開発関係者やマイナーが離脱するという動きです。

ハードフォークが現実味を帯びてくると、そのことがビットコインの価格にも影響を及ぼしがちです。分裂前からビットコインを保有している人には、新しく生まれた暗号資産(仮想通貨)が無償で配布されることがあり、それを見込んでビットコインを買い集める人が増えやすいからです。

過去に起きた分岐(フォーク)の実例

ビットコインにおいて過去に実施されたソフトフォークの実例としては、P2SH(Pay To Script Hash)への仕様変更時が挙げられます。これは、マルチシグネチャを容易にするためのものです。マルチシグネチャとは、ビットコインを決済や送金に使用する際に、複数人の署名が必要となる認証方法で、単独署名よりもセキュリティ面が優れています。従来のマルチシグネチャは操作が煩雑でしたが、P2SHでは簡単な操作で送金できるようになりました。

また、Segwit(Segregated Witness=署名の分離)への仕様変更でもソフトフォークが実施されました。ブロックに書き込むデータを縮小化させる具体策として、決済・送金者の署名部分だけを取り除くという手法が用いられました。

ビットコインでハードフォークが実施された具体例については、2017年8月にビットコインキャッシュが分裂・誕生したケースを挙げられるでしょう。ビットコインの開発やマイニングに関わっている人たちの間で意見が対立し、一部が主張するブロック容量拡大策が強行されて、ビットコインキャッシュという新たな暗号資産(仮想通貨)が生まれました。

さらに同年10月には、中国の特定集団によってマイニングが寡占状態となっていたことに反発した人たちがハードフォークを実施し、ブロックチェーンが分裂してビットコインゴールドが誕生しています。ビットコインゴールドでは、中国のその特定集団が強みをもつ技術を用いたマイニングが不可能となっています。

今後も分岐は発生しうる?

同じタイミングで複数のブロックにデータが書き込まれるというアクシデントはつねに起こりうるものですし、世の中には悪意をもつ人が必ず存在しているものです。したがって、偶発的な分岐はいつでも起こると思っておいたほうがよさそうです。

ソフトフォークやハードフォークにしても、ビットコインはブロックの容量不足という構造的な問題を抱えているだけに、今後も実施されることになるでしょう。ソフトフォークだけでは抜本的な解決には至らないという側面もありますし、今後もさらなる対立が勃発する可能性が考えられます。ビットコインキャッシュ、ビットコインゴールドに続く新たな分裂が現実となる可能性があることも視野に入れておきましょう。

これまで述べたように、暗号資産(仮想通貨)のブロックチェーンが途中で枝分かれする分岐には、偶発的に発生するケースと意図的に発生させているケースがあります。偶発的な分岐やソフトフォークは、すぐに1本のブロックチェーンに収斂されていくので特に大きな問題は生じません。しかし、ずっと分岐した状態が続いていくハードフォークでは、新たな暗号資産(仮想通貨)が分裂・誕生することになり、それを巡る思惑がビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)の価格にも少なからず影響を与えそうです。

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