ASIC

ビットコインのマイニングに使うASICとは?

ASICとは?

ASIC(エーシック)とは、集積回路の一種です。集積回路とは小さな基板の中に多数の回路素子を集積した小型の電子回路で、「IC(integrated circuit)」と略されることがあります。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略語で、特定の目的向けに作られた集積回路を指しています。

このCPUをはるかに上回る処理速度の「ASIC」と呼ばれるマイニングツールが、ビットコインのマイニング作業に投入されています。膨大な計算能力が必要とされることから、一般的なパソコンではマイニング競争に勝ち抜くことは困難です。マイニングに参加する個人や企業は、多額の投資を行って大量のASICを用意します。ビットコインのマイニングに特化したASICによって、少しでも速くマイニングできるようにしています。

一般的なPC(CPU)は、いろんな機能のついた汎用的な機械であると言えます。マシンパワーの使い道が複数あって非効率的なので、マイニング競争に勝つのはきわめて困難です。そのため、スペシャリストとしてのASICが活躍します。

ASICとマイニング(採掘)の関係性

いち早くマイニングを成功させると、報酬としてビットコインを受け取ることができます。そのため、ビットコインのマイニングにはASICが欠かせません。ASICを使えば、より効率的にマイニングを行えます。

しかし、ビットコインの開発当初は個人でも手に入るような汎用的なコンピューター(CPU)でマイニングが行われていました。最初はビットコインの価格も低かったので、高額でハイスペックなマシンパワーを投入しても回収できませんでした。CPUを使い、「解」を発見して少額の報酬を受け取っていた、いわば牧歌的な時代だったと言えます。

その後、マイニングを行うマイナーの増加に伴い、演算能力のアップが求められるようになります。

CPUの後に使われるようになったのは、3D画像の描画などにも用いられるGPU(graphics processing unit)でした。CPUより演算能力が高いため、より効率的にマイニングに従事することができます。GPUを複数接続してマイニングを行うのが一般化し始め、マイニングがビジネス化しつつありました。ビットコインの価格も徐々に上昇してきており、報酬も魅力的な水準となってきていました。

最終的に広まったのが、特定目的のための集積回路であるASICです。ビットコインマイニング専用の製造を担う企業も出てきたため、一気にマイニングの難易度は上昇しました。もはや個人が片手間に行ってもかなうものではなくなり、大きな資本を持つ個人や企業が参加しています。電気代を抑えるため、中国奥地の川沿いなどに「マイニング工場」を建設する企業もあるほどです。

ASIC耐性とは?

「ASIC耐性」とは「ASICに耐性がある」すなわち「ASIC作成しても意味がない」ということを意味します。暗号資産(仮想通貨)のマイニング演算には、ASICを製造できないものもあります。

ASICはある特定の処理を効率化するために製造されるため、演算が複雑になるとASICを製造するのが困難になります。したがって、複雑なマイニング演算を必要とする暗号資産(仮想通貨)はASIC耐性があると言えます。

なお、ビットコインマイニングには「ASIC耐性」がありません。つまりASICを作成する意味があるということです。

ビットコインマイニングの演算は「ただ一つの正解を見つける」という単純な演算であるためASICをつくることができたのでした。

ただし、現在はマシンパワーとともに電気代もマイニングビジネスの大きな要素となってきています。電気消費量が膨大であるため、電気代の高い国・地域では報酬がコストを下回ってしまう可能性があります。日本も電気代が高い国の一つではありますが、石川県金沢市のような、気温が低く、電気代を抑えられる土地でマイニングを実施する企業もあります。より電気代の安い地域を求めて、マイニング企業は土地探しを続けているのです。

ASICを利用するメリット・デメリット

ASICのメリットは、とにかく安定的に高い性能を発揮してくれるので、マイニングに有利であるということです。演算能力に対する相対的な電気代も安く、低いコストでマイニングを行えます。電気代とASIC購入費の合計がマイニング成功による報酬を上回ってしまうと、マイニングするインセンティブはありません。電気代を抑えられるのは大きなメリットと言えるでしょう。

さらに、ビットコインマイニング専用のASICは、設定の手間がありません。接続すればすぐにマイニングできる手軽さも、ASICのよさです。

一方のデメリットは、値段が高く用途の融通が利かないという点です。1台につき数十万円かかるばかりか、日本ではなかなか入手できないため海外から購入する場合が多く、これでマイニングできない、もしくは、マイニングしても収益が少ないと、損失につながってしまいます。

この点を踏まえると、ビットコインの価格下落がリスクです。ビットコインの価格が下落すると取引量が減り、報酬額の減少にも直結します。マイニングから撤退すると、マイニング専用のASICは他の用途に転用することもできず、売却も望めず、無駄になってしまいます。

また、マシンパワーが高いだけに騒音が気になることもあります。個人が部屋で動かしていると、ファンの音がうるさくて睡眠の妨げになるかもしれません。マイニングビジネスを行う企業が奥地に工場を建設しているのは、騒音対策という側面もあると考えられます。

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