暗号資産(仮想通貨)のトランザクションとは?仕組みやできることを解説
暗号資産(仮想通貨)には、ブロックチェーン上の取引を記録した「トランザクション」という用語があります。トランザクションに注目することで、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)で頻出する「スケーラビリティ問題」への理解、そしてビットコインの送金の仕組みについて知ることができます。
この記事ではトランザクションの概要や仕組みについて解説し、DMM Bitcoinでの取引状況の確認方法についても説明します。
暗号資産(仮想通貨)のトランザクションとは
トランザクションとは暗号資産(仮想通貨)のあるアドレスから別のアドレスに送金した際の取引記録のことです。ブロックチェーンのデータの大半は、このトランザクションのデータによるものです。
トランザクションのデータの中には金額や送金先の情報が含まれおり、これらのデータをブロックチェーンに書き込むことで暗号資産の動きを記録しています。
ブロックチェーンでは「ブロック」という塊の中に金額や送金先のデータが書き込まれた数千のトランザクションがまとめられます。ちなみに各ブロックの最初のトランザクションは「コインベーストランザクション」と呼ばれます。
トランザクションの構造
トランザクションにはいくつか種類がありますが、一般的なビットコインブロックチェーンでのトランザクションについて説明します。
ビットコインブロックチェーンにおけるトランザクションの基本的な構造は、「インプット(input)」と「アウトプット(output)」という2つの領域で構成されています。
インプットは送金元のデータです。送金元の残高の他に送金者を証明するための電子署名などが含まれています。一方でアウトプットは受け取り側の情報であるビットコインアドレスや、金額と「お釣り」、トランザクションを処理する際に支払う手数料などが含まれます。一つのトランザクションの中に複数のインプットとアウトプットが存在することが可能です。
「お釣り」が存在するのは、インプットの残高を一部分だけ使うということができないためです。
例えばビットコインで1000円の所持金で700円の商品を買うときには、1000円全てを使って300円のお釣りをもらうというやりとりをしなければならない構造になっています。
このほかに全てのトランザクションにはトランザクションID(txid)と呼ばれる識別子が付与され、このIDを調べることで取引が正常に行われたかが確認できます。
ビットコインの残高を管理するUTXO
ビットコインには、残高を管理するUTXO(Unspent Transaction Output:未使用トランザクション・アウトプット)という方法があります。
「残高を管理」といっても、ビットコインブロックチェーンには通常の銀行のように通帳に残高が記録されているわけではありません。記録されているのはトランザクションの取引履歴のみです。この取引履歴を元にビットコインでは、トランザクションごとにブロックチェーンにUTXOというビットコインの固まりを作ります。UTXOを使うことで、取引の匿名性が高まるという利点があります。
ユーザーがビットコインを送金する際にはこのUTXOという方法を使ってやりとりしています。
また、前述の「お釣り」で説明したように、UTXOは分割して使うことができません。もし1BTCのUTXO を持っていた場合に、0.6BTCを使いたいとすれば、1BTCを全て使う処理を行います。
この場合は0.6BTCを受取側に送金し、0.4BTCのアウトプットを生成します。
とはいえこの一連の流れはウォレット内で処理されているため、ユーザー側が仕組みを認識する必要はありません。
トランザクションの確認方法
トランザクションのデータは全て公開されており、誰でも見ることが可能です。実際に確認するには「ブロックチェーンエクスプローラー」と呼ばれるサービスを利用します。
ブロックチェーンエクスプローラーは多数存在しますが、ビットコインのブロックチェーンエクスプローラーで有名なものに「btc.com」や「blockchain.com」などがあります。
ブロックチェーンエクスプローラーごとにトランザクションにどの情報が確認できるかは異なりますが、大きくは以下のような情報を入手できます。
・送金状況
・手数料
・ウォレットの情報
代表的なアルトコインであるイーサリアムのブロックチェーンエクスプローラーとしては「Etherscan」が有名です。取引履歴の他に手数料など、イーサリアムに関する情報が網羅されています。
トランザクション手数料とスケーラビリティ問題
暗号資産(仮想通貨)の取引では手数料がかかります。手数料がかかる仕組みは暗号資産ごとに異なりますが、ビットコインではマイニング(採掘)によって取引を承認しており、その度のトランザクション手数料がマイナー(採掘者)に支払われる仕組みとなっています。
トランザクション手数料はそれぞれ設定されており、より高く設定することで、マイナーが優先的に承認するインセンティブが働きます。手数料がマイナーの収入になるためです。この手数料は大体の相場価格が決まっていますが、トランザクションが多く寄せられ、ブロックチェーンネットワークが混雑すると手数料が高騰することがあります。
ビットコインのブロックは、1ブロックあたり1MB(メガバイト)までと容量が決まっており、容量の限界に達するとトランザクション手数料の高いものから順番にマイナーが処理するルールがあります。そのため、ビットコインの人気が高まると必然的にブロックの容量の限界に達しやすくなり、同時に手数料の価格が上がってしまうことから、結果的に手数料が安いトランザクションはなかなか処理されずに送金遅延が起こります。
これはビットコインに限った話ではなく、イーサリアム(ETH)など多くの暗号資産を悩ます問題とされており、「スケーラビリティ問題」といわれています。スケーラビリティ問題に関してはレイヤー2(セカンドレイヤー)といった技術を用いることで解決が図られていますが、2023年7月現在でも度々発生しており、解決に向けた議論が進められています。
関連コラム:「暗号資産(仮想通貨)のセカンドレイヤー(レイヤー2)とは」
DMM Bitcoinで取引状況を確認する
DMM Bitcoinでは取引状況を確認できます。マイページの「BTC入金」「BTC出金」で承認状況を確認できるので、進捗を調べてみるといいでしょう。
ビットコインの入金の場合
DMM Bitcoinの口座に対してビットコインの入金作業を行った場合は、まずマイページの「BTC入金」画面にある「未反映入金リスト」を確認しましょう。ここには、入金指示を行った日時、入金数、TX(トランザクションIDの略称)といった項目が表示されています。
何らかの表示がある場合は、自分の入金用アドレスを適切に入力できており、ブロックチェーン上で承認作業の途中にあることを示しています。認証完了までしばらく待ちましょう。
認証および入金が完了すると、未反映入金リストから表示が消え、その代わりに「入金履歴」に情報が表示されるようになります。
ビットコインの出金の場合
DMM Bitcoinでビットコインの出金を行った場合は、「BTC出金」で進捗情報を確認できます。出金依頼を行うと、まず「出金リクエスト履歴」にDMM Bitcoin側で出金処理がなされていないものが表示されます。出金処理前のためトランザクションIDはなく、ここに表示され、ステータスが「予約」「出金審査中」の場合であれば出金のキャンセルが可能です。
DMM Bitcoin側で出金処理が完了すると出金リクエスト履歴から情報が消え、「出金履歴」に表示されるようになります。
DMM Bitcoinで暗号資産(仮想通貨)を入金・出金する
DMM Bitcoinでの入金と出金の方法についても確認しておきましょう。DMM Bitcoinでは、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、エックスアールピー(XRP)の入出金が行えます(2023年7月時点)。また入出金は、日本円や暗号資産(仮想通貨)の管理を行う「ウォレット口座」からのみ可能で、取引に使用する資金を管理する「トレード口座」からは行えません。ただし、ウォレット口座とトレード口座間では「振替」手続きでリアルタイムに資金を移動することができます。
暗号資産の入出金についての最新情報は「日本円・暗号資産の入出金について」をご覧ください。
入金、出金にかかる手数料
DMM Bitcoinの場合、ビットコインなどの暗号資産の入出金に関する手数料は無料となっています。ただし、外部ウォレットからDMM Bitcoinの口座に入金する際は、暗号資産の送付にかかる手数料(マイナーへの手数料)が顧客側負担であることに注意しましょう。
承認作業に従事してくれたマイナーに対する報酬は、承認するトランザクションデータに付与された手数料によって構成されています。このため、ビットコインなどの暗号資産をDMM Bitcoinに入金する際には、暗号資産の送付に関する手数料が別途発生することになります。
税金の取り扱いに注意しよう
何らかの商品・サービスの売買を行うため、ビットコインの入出金を行った際は、税金に関する注意が必要になります。
個人の場合、暗号資産の取引などで得た利益(所得)は、原則として日本の所得税の課税対象となります。そして、総合課税の「雑所得」として確定申告を行い、納税する必要があります。
例えば、保有する暗号資産で商品を購入した場合、保有する暗号資産を売却(譲渡)したとみなされます。この時の所得金額は、暗号資産の支払い数量の価格(譲渡価格)と、暗号資産の取得価格との差額になります。
なお、被相続人からの相続・贈与などで暗号資産を取得した(入金を受けた)場合は、相続税または贈与税が課税されます。相続税法では、金銭に見積もれる経済的価値のある財産を相続または贈与により個人が取得した場合、相続税や贈与税の課税対象となります。
DMM Bitcoin上における「入金」・「出金」
ビットコインをDMM Bitcoinの自分の口座に入金する際には、口座番号にあたる「ビットコイン入金アドレス」を送付者側に伝える必要があります。同様に出金時には、宛先となるビットコインアドレスを相手から教えてもらうことになります。
ビットコインの入金手順
DMM Bitcoinの口座にビットコインを入金する場合には、自分の「マイページ」から「入金アドレス」または2次元バーコードを利用します。セキュリティおよび暗号資産(ブロックチェーン)の仕組み上、反映されるまで数時間から数日間かかる可能性があるため、時間の余裕を持って入金を行うといいでしょう。
例えばパソコン用WEBブラウザ経由なら、自分の「マイページ」左側にあるメニューで「日本円・暗号資産の入金」、「BTC入金」の順番でクリックすると、「ビットコイン入金アドレス」と2次元バーコードが表示されます。
DMM Bitcoin外部のウォレットに「入金アドレス」を正確に入力するか、カメラ対応の「モバイルウォレット」などでこの2次元バーコードを撮影すると、自分の口座にビットコインを入金できます。1文字でも間違えると誤ったアドレスに送付することになるため、2次元バーコードを利用できない場合はアドレスすべてをコピー&ペーストで伝えるなど、入力ミスが起こらないようにしましょう。
誤ったアドレスに送付した場合や、異なる暗号資産を送付した場合は、ビットコインがDMM Bitcoinにあるウォレット口座に届くことなく失われる可能性があります。DMM Bitcoinに限らず暗号資産交換業者ではビットコインを返還できない状態となるため、細心の注意を払って作業を行いましょう。
ビットコインの出金手順
ビットコインをDMM Bitcoinから外部に出金する場合は、自分の「マイページ」左側にあるメニューで、「日本円・暗号資産の出金」、「BTC出金」の順番にクリックすると、出金用ページが表示されます。送付先となる「出金アドレス」、出金数、出金の目的などを設定すると、ビットコインを出金できます。出金頼日から原則として3 営業日以内に指定ウォレットのアドレスに送付されます。
「スマートフォン版取引システムアプリ」で入金する
「スマートフォン版取引システムアプリ」で入金したい場合には、アプリのホーム画面左上にある「≡」(ハンバーガーメニュー)部分をまずタップします。
その後、表示されたメニューで「マイページ(ウォレット口座)」、「入出金/口座振替等」、「ビットコイン入金」の順番でタップすると、WEBブラウザ経由でDMM BitcoinのWEBサイトにある「BTC入金」が表示され、前述の手順同様に2次元バーコードを使って入金作業を行えるようになります。
「スマートフォン版取引システムアプリ」で出金する
「スマートフォン版取引システムアプリ」で出金したい場合には、アプリのホーム画面左上にある「≡」(ハンバーガーメニュー)部分をまずタップします。
その後、表示されたメニューで「マイページ(ウォレット口座)」、「入出金/口座振替等」、ビットコイン出金」の順番でタップすると、WEBブラウザ経由でDMM BitcoinのWEBサイトにある「BTC出金」が表示され、前述の手順同様に送付先となる「出金アドレス」、出金数、出金の目的などを設定すると、ビットコインを出金できます。出金依頼日から原則として3 営業日以内に指定ウォレットのアドレスに送付されます。
なお、DMM Bitcoinから出金する際の送付元アドレスは、前述の「入金アドレス」とは異なります。入金アドレスはあくまで入金専用のため、ビットコインを第三者とやり取りする場合には注意しましょう。
出金時同様、誤った外部アドレスに送付してしまった場合は、ビットコインを取り戻すことはできません。細心の注意を払って出金作業を行いましょう。
まとめ
暗号資産(仮想通貨)のトランザクションとは、ブロックチェーン上の取引を記録したものです。トランザクションデータの中には金額や送金先の情報が含まれます。
トランザクションを確認するにはブロックチェーンエクスプローラーを使います。ビットコインやイーサリアムなど、暗号資産の種類によって用いるエクスプローラーが異なるために、ご自身でも確認しておきましょう。
DMM BitcoinでもトランザクションIDから取引状況を確認できます。
ビットコインがなかなか届かないという状況の場合は、取引履歴にあたるトランザクションIDを調査すると進捗を把握できます。ビットコインを使って何らかの商品・サービスを購入する際にも役立つ知識であるため、自分が利用している外部ウォレットとDMM Bitcoinの口座間で練習してみるのもいいでしょう。
※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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