ビットコインのマイニング(採掘)とは? 個人でのやり方や仕組みを解説

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マイニング
2022-02-09 更新

暗号資産(仮想通貨)を手に入れる方法の1つに「マイニング(Mining)」があります。日本語で「採掘」を意味するマイニングは、「ブロックチェーンに新しい取引データをつなげる時に、内容に間違いや不正がないかを膨大な計算によって検証し、その検証の対価として新しく発行される暗号資産を受け取る」ことです。

暗号資産のマイニングは、金や銀を掘るイメージになぞらえてそう呼ばれていますが、実際にはコンピューターで暗号資産の取引の承認・確認作業を行うことを指します。

この記事では暗号資産のマイニングについてその仕組みや方法を解説します。

マイニングの仕組み

マイニングが必要になるのは、前述のとおりビットコインの取引が正しく行われたかを確認するためです。

日本円等の法定通貨であれば銀行取引は銀行が承認します。しかし中央管理者がいない暗号資産(仮想通貨)の取引は、第三者であるマイナー(=マイニングする人、採掘者)が取引の正当性を検証します。

世界中でビットコインの取引(送付)が行われると、マイナーによって、取引データである「トランザクション」が「ブロック」というにデータの塊にまとめられます。ブロックは約10分ごとに新たに生成されます。

このブロックが過去に作られたブロックとつなぎ合わされて、すべての取引データをつなげたブロックチェーンで管理されます。

新しいブロックを生成する時に、過去のものも含めたすべてのトランザクションを検証したことを示す「ナンス値」を一番早く見つけたマイナーに報酬が支払われます。そのため、マイナーは膨大な計算競争を行います。

重要なポイントは、「約10分間に1回のサイクルで行われるマイニング」というプロセスが完了するたびに、各ノード(マイナー)が検証するブロック(=トランザクション群)がただひとつに決定されるという点です。各ノードが同じブロックをそれぞれ検証し、完了次第、ノードが保持する分散型取引台帳(=ブロックチェーン)における最新ブロックが更新されます。中央管理者がいない分散ネットワークであっても分散型の取引台帳が自律的に構築されています。

ハッシュ関数でナンス値を見つける

ナンス値はハッシュ関数にランダムな値を代入して、求めます。

ハッシュ関数は入力した値に対して、まったく別の値(=ハッシュ値)を出力するという関数で、ハッシュ値から元の入力した値を知ることは非常に難しいという特徴を持ちます。
例えば、ビットコインではSHA-256というハッシュ関数が用いられていますが、このハッシュ関数に「DMM」という値を入力すると
「25F0F2B3C3A7EE2320155EC701726BAC70102B7913EA2AB94DB8DC28BED6A4EB」
というハッシュ値が返ってきます。
SHA-256のハッシュ関数に「DMM」を入力すると、いつも同じハッシュ値が出力されます。また、ハッシュ値から「DMM」を復元することは、ハッシュ関数の代入した値に対して全く別の値(=ハッシュ値)を出力するという特性上、困難です。
一方、小文字で「dmm」を入力すると
「DB948C52D1088E8542D212CD9D885C71D2F70C99987EA06943BF4E84E6DB51DF」
というハッシュ値が返ってきます。このように小文字にしたり、1つ文字を変えたりするだけで返ってくる値は全然違うものになるのです。

ビットコインでは、ハッシュ関数にある値を代入して、返ってきたハッシュ値が一定数より小さくなった時にマイニング成功となり、報酬が与えられます。ナンス値はこの時の代入値です。「000100」が決められた数字だとしたら、「000099」より小さくなる数字を総当たりで探すということです(実際には桁数が64桁になります)。

マイニングではハッシュ関数に手当たり次第にいろいろな値を代入して、ナンス値を見つける作業を行っています。

ハッシュ関数は完全にランダムに返還されるため総当たりで計算するしかないため、膨大な計算量が必要となります。

このようにナンス値を最初に発見した人に報酬が支払われるコンセンサスアルゴリズムをプルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)といいます。

マイニング報酬について

マイニングを行った報酬では「トランザクション手数料」と「マイニング報酬」の2つが得られるようになっています。トランザクション手数料は取引データである「トランザクション」作成時に設定されるものです。マイナーは利益を大きくしようとするために、高額なものから優先的に選択して認証作業を行います。マイニング報酬は、マイニングに成功したマイナーに対して、報酬として与えられるものです。

ビットコインではブロックが平均で約10分ごとに生成されており、一番初めにブロック生成に成功したマイナーには、「マイニング報酬」として新規発行されたビットコインが支払われます。

2021年10月現在では、1つのブロックをマイニングするごとに6.25BTCのマイニング報酬が支払われています。マイニング報酬は、約4年に一度訪れる半減期で半分に減少するようになっています。

ビットコインの発行量は2100万BTCとされており、2140年ごろに新規発行が終わるとされています。発行が終了してからのマイニング報酬は、トランザクション手数料のみとなります。

マイニングの種類

暗号資産(仮想通貨)のマイニングには、一人で行うソロマイニングと複数人で行うプールマイニング、事業者と契約して報酬を得るクラウドマイニングの3つがあります。

ソロマイニング

ソロマイニングはその名の通り一人でマイニングする方法で、気軽にできそうなイメージがありますが、高価な機材を揃える必要があり、専門知識が必要です。

ビットコイン等、多くのマイナーがマイニングに参加している暗号資産ではソロマイニングは不可能に近い難易度となります。

マイニングを成功させるためには世界中のマイナーと競う必要があり、多くのマイナーが参加するビットコイン等では、一般的に使うコンピューターでは太刀打ちできないからです。

一方、開発されたばかりで、まだ競争も激しくないアルトコインではソロマイニングも可能な場合もあります。

プールマイニング

プールマイニングとは自分のパソコンのマシンパワーをインターネット経由で提供することで間接的にマイニングに参加して、計算力の大きさに応じて報酬を受け取るサービスのことです。また、マイニングを行う集団のことをマイニングプールといいます。

プールマイニングは専用のソフトをインストールするだけで始めることができますが、計算力に応じて報酬を分け合うため、それなりの機材が必要です。さらに参加するマイニングプールを選ぶ作業が生じるために、ある程度のマイニングの知識が必要でしょう。

また、ソロマイニングや後述のクラウドマイニングと比べて報酬が少ないのが一般的です。

クラウドマイニング

クラウドマイニングは大規模な施設を建設してマイニングを行っている企業やマイニングプールにお金を出して代わりにマイニングしてもらい、配当という利益を得る方法です。

クラウドマイニングは自分で実際にマイニングする必要がないためソロマイニングのように高価な機材も、専門知識も不要です。

ただし、代わりに採掘してもらう分マイニングを行っている企業に手数料を支払わなければなりません。

クラウドマイニングというサービスを購入すると考えると分かりやすいでしょう。

マイニングに関する指標や知識

マイニングでどのくらい利益が出るのかを事前に把握するために必要な指標である、ハッシュレートやディフィカルティ等を理解しておきましょう。

ハッシュレート

ハッシュレートはマイニングの採掘速度のことを指します。
ハッシュレートの単位はH/sで表され、1秒間に1回ハッシュ関数が計算されると1H/sとなります。
ビットコインにおけるマイニングは、10分の間に世界中のマイナーが一斉に計算を行い、ナンス値を見つけ出します。
自分でマイニングする時は、自分がどのくらいのハッシュレートを出せるのかと、マイニングしたい暗号資産でトータルどのくらいのハッシュレートがあるのかを知っておく必要があります。
ビットコインのハッシュレートは2021年10月現在、1秒あたり、約145エクサハッシュ(1エクサ=100京)となっています。
一方、一般的なCPUのハッシュレートは15H/s程度、GPUでは11MH/s(1M(メガ)=100万)程度です。ちなみにマイニング機器大手のビットメイン社が2020年6月に発売したASIC「Antminer T19」は84TH/s(1T(テラ)=1兆)程度となっており、CPUはもちろん、GPUでもマイニングするのが難しくなっています。
Antminer T19はビットメイン社のフラッグシップマシンの廉価版であり、1750ドルで販売されています。

ディフィカルティ

ディフィカルティはマイニングによりナンス値を見つける難易度のことです。
ディフィカルティは先述のハッシュレートを参照して、10分に1回ナンス値を見つけられるよう約2週間に一度調整されます。
基本的にビットコインのハッシュレートはCPUからGPU、ASICと右肩上がりに上がり続けているため、ディフィカルティが上昇し続けています。
マイナーにとっては、ディフィカルティが上昇すると途端に1日あたりに得られる報酬額が少なくなり、これまで使用していた機器でのマイニングが難しくなることもあります。それでもマイニングを続けるのであれば機器を買い換えることも検討しなければなりません。

マイニングスクリプト対策

マイニングスクリプトとは、Webサイトのソースコード内に記載されたスクリプトにより、Webサイトにアクセスしたユーザーの承諾なしに暗号資産のマイニングを自動実行することです。
近年、暗号資産マイニングスクリプトが話題に上がることも多く、マイニングスクリプトの埋め込まれたWebサイトを訪問すると、トップページを開いただけでPCの速度が低下したり、スマートフォンのバッテリーが急速に減少したりといった問題が起こります。
マイニングスクリプトの実装されたWebサイトを訪問しただけでウィルスに感染されるわけではありませんが、PCやスマートフォンがサイト運営者の収益化に利用される等の被害が及びます。
マイニングスクリプトはセキュリティツールで対策できるので、用意しておくと良いでしょう。

損益分岐点

これまでお伝えしたように、ビットコインのマイニングには多額の電気代がかかります。
そのため、せっかくマイニングしたのに電気代や機器代の投資が赤字になってしまうということも考えられます。ビットコイン価格が下落するとマイニングの損益分岐点を割ってしまうことがあるからです。
損益分岐点を計算するにはコンピューターの計算能力やマシンの費用によって様々です。
マイニングプールではハッシュレートに応じた1日あたりの収益予測を出しているところがあります。中国の大手マイニングプールであるF2Poolによると、2021年10月末の記事執筆時点で、1TH/sあたり、1日の収益は0.39ドルほどとなっています。
マイニングプールに参加する際は参考にするといいでしょう。

マイニングに必要なものや注意点

マイニングには膨大な計算量が必要で、マイニングに必要なマシンやツールを揃える必要があります。
2021年10月現在、まだ開発されてまもなく、参加者の少ないアルトコイン等ではマイニングの競争も緩やかで自分が持っているPCやスマートフォンでもマイニング可能です。
一方、時価総額ランキングで上位に出てくるような暗号資産では、PCでマイニングすることも可能ではありますが、マイニングするまでに膨大な計算が必要とされ、その分の電気代や、マイニングするための機材を考慮するとほぼ利益は出ません。

GPUやマイニング専用チップASIC

ビットコイン取引が開始された当初にはCPUによるマイニングが行われていましたが、ビットコインの価格が高騰するにつれてマイニングの競争が激しくなり、より性能の高いGPU(グラフィックボード)でないとマイニングを成功させることが難しくなっていきました。

CPUはCentral Processing Unit(=中央演算処理装置)、GPUはGraphics Processing Unit(=画像処理装置)等と訳されます。

CPUはパソコン全体の計算を行う装置で、GPUは3Dゲーム等3Dグラフィックスを高速で処理するために作られました。

3Dグラフィックスは縦・横・奥行等の位置情報を計算して映像を表示させたり、高画質の映像を滑らかに表示させたりする必要があるため、高度な演算処理を行えるようになっています。

マイニングには膨大な計算量が必要とされるため、より高速な処理が可能なGPUが使われ始めたのです。

マイニングしたい暗号資産(仮想通貨)によって向いているGPUは異なるため、まずはマイニングしたい暗号資産を決めるのが効率的です。

また、ビットコインのマイニングは競争の激化が著しく、すでにGPUでも計算が追い付かなくなっており、ASICと呼ばれるビットコインマイニング専用チップを搭載するハードウェアの方が計算も早く電気代も抑えられるため、マイニングの主流となっています。

パソコンやマイニングソフトウェア

マイニング機器をビットコインネットワークに接続したり、マイニングの状況を把握したりするために、パソコンやマイニングソフトウェアが必要です。

さらにマイニング報酬を受け取るために、ウォレットを準備しておきましょう。暗号資産交換業者で使っているアドレスも利用できます。

マイニングにかかる費用:膨大な電気代とマイニング機材

マイニングに必要な費用は、主にマイニングに使う機材の購入費と電気代の2種類になります。

機材に関しては、自分のパソコンでマイニングするのであれば特に費用を支払う必要はありませんが、GPUやASICを使うのであればその購入費用が掛かります。

また、マイニングでコンピューターを動かすのには電気代も当然必要です。日本では2016年より電力の小売全面自由化がなされ、電気代を支払う会社を選ぶことができるようになっているので、お住まいのエリアの電気会社のHP等で確認しておきましょう。中にはマイニング専用の電気プランもあるので、マイニングを行う方は検討してみるといいでしょう。

さらに、電気代は地域によっても異なります。日本国内でも電気料金に差がありますし、海外で電気料金が安価な国もあります。コンピューターを冷やすために、1年を通して寒冷な地域でマイニングを行う企業もあります。

マイニングにも税金がかかる

マイニングによって暗号資産(仮想通貨)を取得した場合、個人であれば所得税(雑所得)の課税対象となります。給与所得のある会社員がマイニングで利益を得た場合、国税庁のWEBページ等で確定申告が必要になるかどうかを確認する必要があります。
また、暗号資産の取得価額は、マイニングによって取得した時点の価格(時価)です。機材購入費やコンピューターを稼働させるために要した電気代等、マイニングのために要した費用については経費として計上できる可能性があります。

関連コラム:暗号資産(仮想通貨)にかかる税金とは?税額計算や確定申告方法を解説

まとめ

暗号資産(仮想通貨)は暗号資産交換業者で購入したり、人と交換したりする方法以外にもマイニングで手に入れることができます。
ビットコインのマイニングに個人で参入することは難しくなっていますが、プールマイニングやクラウドマイニング等、別の方法を検討したり、まだ競争の緩やかなアルトコインのマイニングに取り組んだりと、できることはたくさんあります。
マイニングに取り組む際はハッシュレートやディフィカルティについてよく理解し、電気代や機器代といった支出とマイニング報酬による収入を考慮して取り組むと良いでしょう。

ビットコインのマイニングの難易度調整についてより詳しく知りたい方は「ビットコインのマイニングが価格変動に影響?その理由は難易度調整」もご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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