イーサリアムの過去チャートから価格推移を追う!今後の動きに影響する要因とは?

イーサリアム
価格推移
2024-01-20 更新

イーサリアム(ETH)は、暗号資産(仮想通貨)のなかでも人気の高い暗号資産の一つです。しかし、いくら人気が高くても、実際に価格がどのように変動するのか容易には予測できません。そこで大事になるのが、これまでの価格推移です。イーサリアムが現在までにどのような価格変動を経験してきたのかを確認することで、将来的な価格の動向を見極めるのに役立ててみましょう。ここからは、イーサリアムの実際の価格推移を紹介しつつ、変動の原因などについて解説します。

イーサリアムの価格に影響を与える要因

これまで実施された「Frontier(フロンティア)」「Homestead(ホームステッド)」「Metropolis(メトロポリス)」「Serenity(セレニティ)」と呼ばれるアップグレードは、実施前後で大きな注目を集めていました。

他にも、イーサリアムでは大型アップグレード以外にも様々な名称がついた中間アップグレードが行われ、開発が順調に進んでいることが伝わると価格が上昇する現象が起きています。

2023年10月末月現在、イーサリアムは5段階にわたるアップグレードが計画されており、これらのアップグレードはイーサリアムの将来を左右する重要なイベントといえるでしょう。

ただし、アップグレード以外にもイーサリアムのサービスに関わる問題やマクロ経済状況にも影響を受けています。次項では各年代の価格推移を解説します。

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イーサリアムの誕生から2016年までの価格推移

イーサリアムは誕生から2016年以前まで1ETH=500円以下の水準で価格が推移していましたが、2016年2月ごろから価格が上昇し、同年3月のホームステッドが実施された頃を境に1ETH=1,000円を突破しています。大規模なアップグレードがイーサリアムの価格を押し上げたとみられています。

ビザンチウムアップグレードが行われた2017年

2017年2月にEEA(イーサリアム企業連合)が発足し、イーサリアムをビジネスで活用しようとする企業同士によるアプリケーション作成プロジェクトが立ち上がったことで、将来性への期待感が高まり、2017年3月には1ETH=3,000円を突破しました。その後、2017年6月にはイーサリアムの価格が一時的に大きく上昇し、1ETH=43,000円台まで高騰しました。ところが、その後にイーサリアムの取引が増加し、処理が滞るという障害が発生しました。

さらに2017年7月にはParity社がサービスを提供しているウォレットに脆弱性が見つかり、15万ETH(時価約33億3,000万円)が盗難されました。こうした事件によってイーサリアムを手放す人が増え、一時は17,000円台まで下落します。

その後、9月の時点では1ETH=4万円前後まで復調したものの、またもここから反落し、一時は23,000円台まで価格が下落してしまいました。この理由としては当時、全2回にわたって実施される「メトロポリス」アップグレードのうち、前半部分となる「ビザンチウム」アップグレードが10月に稼働される予定であることから、期待感が高まったことで価格が高騰を始めていました。しかし、そのタイミングに暗号資産市場で大きな存在感を示していた中国がICOによる資金調達を全面的に禁止したことにより、市場全体が冷え込んだことで、イーサリアムの価格もつられて下落したといわれています。

2017年10月には、ビザンチウムが予定通りに実施されました。直後は大きな値上がりは起こらなかったものの、2017年11月には1ETH=4万円台を超えるようになります。その後、暗号資産市場全体の盛り上がりも相まって、価格はさらに上昇していきました。11月下旬には5万円台を突破し、12月に入っても勢いは衰えませんでした。12月中旬には8万円、12月下旬には一時9万円を超える高騰が起こったのです。

2018年の暗号資産(仮想通貨)バブル崩壊とイーサリアムの価格推移

2018年に入った当初は、イーサリアムの高騰もさらに進みました。価格はさらに伸びるかと思われていましたが、1月中旬には「暗号資産(仮想通貨)バブル」の崩壊に伴って価格が急落しました。具体的に、2018年におけるイーサリアムの価格推移について見ていきましょう。

2018年上半期の価格推移

2018年1月、昨年からの価格上昇が続いていき、1ETH=16万円にまで暴騰します。ところが、その後は急落し、11万円台まで値を下げました。この時期、イーサリアムを含め多くの暗号資産が過去最高値まで上昇したのち、下落に転じるという状況に陥りました。そのため、一部の投資家からは「暗号資産バブル」と呼ばれることもあります。2018年3月にはG20サミットで暗号資産規制について話し合いが行われたこともあり、再び暗号資産市場全体の相場が下落に向かいます。イーサリアムも4月には一時1ETH=4万円台にまで下落しました。しかし、2018年4月に「EIP(イーサリアム改善案)1011」が発表されたことを受け、5月には再び1ETH=84,000円まで値を戻しました。

2018年下半期の価格推移

2018年下半期に入っても、イーサリアムの価格は下降傾向を続け、8月には1ETH=4万円を下回ってしまいます。さらに下落は続き、9~10月頃は2万円台で推移を続け、11月には1万円台まで値を下げました。12月には一時1ETH=1万円を割り込みましたが、12月末までには15,000円台まで値を戻したのです。2018年下半期は、暗号資産(仮想通貨)市場全体が下げ相場で推移しており、イーサリアムも1ETH=5万円を下回る水準で推移し続けることになりました。

2019年のイーサリアムの価格推移

2019年1月上旬は1ETH=15,000円台で推移しました。しかし、同月に予定されていたアップグレード「コンスタンティノーブル」が延期になったこともあり、同月下旬には価格が11,000円近くまで下落しました。とはいえ、延期されたアップグレードが2月末頃に実施されるというニュースが流れたことで、この下落は一時的で、2月以降価格を上昇させたイーサリアムは6月に33,000円近くまで到達しました。

しかしその後は中国の暗号資産取り締まり強化を受けて暗号資産市場全体が低迷し、イーサリアムもその影響を受けて軟調な推移となりました。

2020年の価格推移

2019年末に「イスタンブール」、2020年1月に「ミューア・グレイシャー」といったアップグレードが実装された影響で年初から上昇基調となったイーサリアムですが、3月にコロナウイルスに起因するパンデミックの影響を受けて、数日で50%以上の下落を経験します。このときはイーサリアムに限らず、暗号資産(仮想通貨)市場全体が落ち込んでいます。

しかしその後、8月には「DeFi サマー(分散型金融の夏)」と呼ばれる、イーサリアム基盤で構築された新しい金融サービスが注目されます。新しいユースケースが生まれたことによって暗号資産への注目度も増し、価格が上昇します。

この上昇基調とともに、12月には「イーサリアム2.0(Eth2)」及び「セレニティ」と呼ばれたアップグレードが開始されたことを受けて、2020年12月末には1ETH=10万円近くまで上昇しました。

なお、2023年10月現在では、イーサリアム2.0は「コンセンサスレイヤー」という呼称に変更されています。この変更についてイーサリアム財団は、イーサリアムの新規ユーザーが、既存のETHがなくなるという間違った認識を持たないようにすることや、実際、既存のETHからETH2暗号資産に買い替える必要があるという詐欺が横行してしまったことなどを理由として挙げています。

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2021年の価格推移

2021年に入っても、イーサリアムを含め暗号資産(仮想通貨)市場全体で好調が続きました。5月にはついに1ETH=473,000円を超えて過去最高値を更新します。

その後は中国政府が国内企業に対して暗号資産を全面的に禁止したことや海外電気自動車メーカーがビットコインの決済受け入れを中止したことを受けて7月ごろまで価格が低迷したものの、9月にはNFT(ノンファンジブルトークン)のブームによって価格が上昇し、430,000円台にまで復帰しました。

9月以降、しばらくは価格の調整で下落したものの、10月にビットコイン先物ETFがアメリカで初めて承認されたことを市場が好感し、暗号資産市場全体が高騰しました。この勢いのまま11月には1ETH=546,000円を突破し、最高値を更新。これが2023年10月現在までの最高値となっています。

この間に過去最高値を記録した理由には、DeFiやNFTに加え、メタバースといった新しいトレンドのサービスがイーサリアムで構築されていたことで、イーサリアムへの注目が高まった影響が大きいと考えられるでしょう。

2022年以降の価格推移

2022年にはアメリカの金利上昇によって経済全体が冷え込みました。

さらには、5月にステーブルコイン「テラUSD(現テラクラシックUSD)」のドルペッグが崩壊したことでプロジェクトが破綻し相場が急落。テラのガバナンストークン「テラ(LUNA)」は一時時価総額トップ10にも入ったほど人気を誇っていました。しかし、テラが崩壊したことを受けて影響が暗号資産業界全体に波及し、大手暗号資産ファンドやレンディングサービス企業などが相次いで破綻しました。

こうした影響を受けて2022年1月には42万円台を推移していたETHは6月には一時13万円を割り込むまで下落しました。

その後は9月に大型アップグレードの「The Merge」を受けて、一時価格が上昇しますが、海外の大手暗号資産メディアのスクープ報道によって2022年11月に大手暗号資産交換業者 FTXが経営破綻し、暗号資産業界は再び「冬の時代」に突入します。

翌年2023年3月には暗号資産市場だけでなく、暗号資産事業の顧客向けにサービスを行っていた銀行も破綻するなど影響は広範囲に及びました。

イーサリアムの過去チャート

2013年にヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアムを考案してから2023年でちょうど10年が経ちます。暗号資産情報サイトに掲載されている2015年からのイーサリアムの過去のチャートを見てみると、低調に推移した時期はあったものの、総じて上昇してきていることがわかります。

特に「暗号資産バブル」と呼ばれ、ICOの広がりによってイーサリアムの注目が高まった2017年末から2018年初頭の時期やDeFi、NFT、メタバースなどのユースケースが広がった2021年から2022年に最高値を更新しています。短期的にはアップグレードや世界情勢など様々な要因によって上下しますが、現在までのところ、長期的に上昇傾向にあると捉えられるでしょう。

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イーサリアムの今後の価格変動に影響する要因

イーサリアムの今後の価格変動に影響を与える要因について知っておくことが、相場の予測に役立つはずです。ここからは、イーサリアムの価格に影響する可能性がある出来事などについて紹介します。

アップグレードの実施

現在は公式で使用されていない用語であるものの、イーサリアムは「The Merge」以降のアップグレード計画について、以下の5つのカテゴリーに整理していました。

・The Surge:スケーラビリティの改善

・The Scourge:MEV による検閲耐性、分散化、プロトコルリスクの改善

・The Verge:ブロックの検証方法の改善

・The Purge:ノードを実行するコストの改善

・The Splurge:その他カテゴリーに当てはまらないもの

このうち、The Surgeに該当するスケーラビリティの改善に関するアップグレードは、当初2023年中に実装が予定されていましたが、2023年10月現在は、2024年にずれ込むことが予想されています。そのほかのアップグレードについてもリリース時期はわかりませんが、これまでにもアップグレードが価格に影響を与えてきたことからも、イーサリアムのアップグレードに関する情報はチェックしておくといいかもしれません。

新しいユースケース

イーサリアムはこれまでにDeFiやNFTといった新しいユースケースを生み出しています。注目が高まるメタバース内でも、イーサリアムの発行規格を利用するサービスも多く存在します。イーサリアムの共同創業者であるヴィタリック・ブテリン氏がイーサリアムを「さまざまな用途に使えるブロックチェーンプラットフォーム」と考えたように、今後も新たなユースケースが生まれてくる可能性もあるでしょう。

その度にイーサリアムへの需要が増え、価格への影響もあるかもしれません。

世界の大企業との提携

2017年にEEA(イーサリアム企業連合)が設立されました。EEAとは、イーサリアムを企業が採用するために業界標準や使用を策定し、分散型アプリケーション(Dapps)の開発を促進することを目的とする団体です。

フォーチュン500に入るような企業からスタートアップまで多くの企業が参加しています。EEAに参加する企業としては、世界的に有名な企業である「Microsoft」「JP Morgan」などが名を連ねています。また、日本国内からも「野村総合研究所」「NTTデータ」などが加わっており、イーサリアムへの注目度の高さがうかがえるでしょう。世界の大企業との提携が進めば、開発が促進されるばかりではなく、イーサリアムの普及・実用化が早まる可能性があります。それに伴って、価格に変動があるかもしれません。

これまで、イーサリアムのブロックチェーンに記録された取引履歴は世界中で確認できるものだったため、プライバシー保護の観点から企業での利用が難しい面がありました。EEAでは非公開型の可能性についても議論を進めています。そうした課題を解消する取り組みが始まったことで、企業によるイーサリアムの活用が現実味を帯びてきたといえます。実社会にどのような形でイーサリアムが役立つかが明らかになっていけば、需要も高まっていくかもしれません。

まとめ

2023年10月現在では暗号資産(仮想通貨)市場全体で好調とはいえない状況です。

しかし、2024年にはビットコインの半減期が予定され、イーサリアムに関しても開発が着々と進められています。これから行われる予定のアップグレードは、イーサリアム価格が上昇するきっかけになるかもしれません。アップグレードの広がりだけではなく、ユースケースの広がりによってイーサリアムの需要を押し上げたり、大企業との提携が実用性を高めたりする可能性もあるかもしれません。

イーサリアムについて詳しく知りたい方は「アップデート直後のイーサリアム、2020年や今後の動向は?」もご参照ください。

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