仮想通貨から暗号資産へと呼称変更する意味とは?その影響を探る

暗号資産
呼称変更
2019-08-07 更新

2018年12月14日より、金融庁は「仮想通貨」を「暗号資産」という呼称へ正式に変更すると発表しました。これまで仮想通貨という呼称で普及してきたものがどうして暗号資産という呼称に変える必要があったのか、疑問に感じている人もいるでしょう。今回は、暗号資産へと呼称が変更された理由について詳しく解説します。

1.「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更となる

世界の先進国が集まって経済について会議を行うG20にて、日本で仮想通貨と呼ばれていたものを「暗号資産(crypto-asset)」と呼ぶことが提案されました。日本の金融庁は、これを受けて2018年12月14日より、仮想通貨の呼称を「暗号資産」へと変更することを決定したと正式に発表したのです。暗号資産という呼称に変更することで、適用される法律が資金決済法ではなく、金融商品取引法になることが予想されています。

2.なぜ「暗号資産」へと呼称変更したのか?

仮想通貨の呼称を「暗号資産」へと変更した理由については、金融庁から正式に発表はありません。ここでは、呼称変更が行われた背景と要因について見ていきましょう。

2-1.世界では「仮想通貨」と呼ばれていない

日本では仮想通貨という呼称が一般的になったものの、海外では違う名前で呼ばれていました。日本の仮想通貨にあたる英語は「CryptoCurrency=暗号通貨」であり、業界に深く携わる人たちのなかには、暗号通貨という呼称を使用してきた人もいました。本来、仮想通貨という言葉が示すものは広く、たとえば電子マネーや買い物時に付与されるポイントまで含んでしまうためです。そのため「仮想通貨」と呼ばれているものは、「暗号技術が使われているインターネット上の資産」であるため、「暗号通貨」という呼称が適切であると言われてきました。

しかし、実際に普及したのは「仮想通貨」という呼称だったため、業界においてもそちらに合わせるという状況が続いてきたのです。こうした経緯もあり、金融庁が「暗号資産」という呼称を使うと発表した件について、評価する声もあがっています。

2-2.現状では「通貨」としての役割を果たし切れていない

一般に、通貨には4つの役割があると言われています。「価値の尺度」「流通手段」「価値貯蔵」「交換手段」という4つの機能を果たすものが通貨と呼ばれるのです。しかし、2019年2月現在、仮想通貨にはいくつかの機能が欠けている状態が続いています。たとえば、「価値の尺度」としての機能を果たすのは、ある程度安定した価値を維持しなければいけません。しかし、仮想通貨の価格は短期間に大きく変動することが多く、安定しているとは言えないでしょう。ビットコインが決済手段として普及しつつあるものの、利用できる場所は限定的なため「交換手段」としても不十分です。「価値貯蔵」についても、ハッキングなどの危険性から疑問を抱かれています。通貨としての役割を担っていないものを「通貨」と呼称すべきではないという意見から、「暗号資産」という呼称への変更が行われたという面があるのです。

2-3.「資産」としての特性の方が強い

仮想通貨の根幹になっているブロックチェーンが実現した情報空間は、従来のインターネットよりも公共性や透明性が高いものです。これまでのインターネット空間は情報の匿名性により自由な情報交換が可能だった半面、情報の信頼性が低いというだけではなく、匿名であるがゆえの悪意ある情報も多く含まれていました。ブロックチェーンはインターネットにおける匿名性を保ちつつ、低コストで「情報(価値)」をやり取りできる空間を実現しているのです。

仮想通貨とは、その情報空間でやり取りされる価値のごく一部でしかありません。ブロックチェーンの技術が最初に利用されたのが「ビットコイン」だったため注目を浴びてきたものの、世界的にはむしろブロックチェーンとそれを利用した情報空間のほうに期待が集まりつつあります。今後、ブロックチェーンを利用した価値のやり取りには、不動産や著作権、ウェブ上の行動履歴やゲームのアイテムなどのあらゆる情報が含まれるようになるでしょう。これらは「価値や権利」のやり取りであるため、「通貨」よりも「資産」という呼称のほうが特性を適切に表現しているのです。

2-4.「仮想通貨」というワードにはマイナスイメージがある

日本では「仮想通貨」という呼称が一般に浸透しています。しかし、それは必ずしも好意的なイメージばかりではありません。ICO詐欺・詐欺コインによる事件や、さまざまな盗難・流出事件などにより、「実態がないから危険である」といった印象を抱く人も少なくないのです。仮想通貨に関わる人たちのなかには、こうしたマイナスイメージを払拭するために、「暗号資産」という新しい呼称へ変更することを受け入れたいという人もいるでしょう。こうした要望も、呼称変更を進めることを後押ししたと言えるでしょう。

3.「暗号資産」への呼称変更に対する反応

「仮想通貨」を「暗号資産」という呼称に変更するという決定について、反対を表明する人がいる一方で、肯定的な意見もあります。ここでは、反対派と賛成派それぞれの反応について見ていきましょう。

3-1.反対派の反応

日本国内において、「仮想通貨」という呼称は一般に浸透しつつあります。そのため、仮想通貨という呼称を利用して事業者登録を行っている事業者も少なくありません。この状況で「暗号資産」という呼称へ変更される場合、正式な呼称とは異なる名前を使用し続けるか、改めて事業者登録し直すかを選択する必要があります。仮想通貨の関連団体や企業のなかには、「仮想通貨」という呼称の使用を続けたいという声もあがっているのです。

3-2.賛成派の反応

国際的には「暗号資産」という呼称への賛成意見が大きくなりつつあります。たとえば、バハマでは国家による仮想通貨の導入政策プランがあり、仮想通貨などのトークンを「暗号資産」と定義するための討論論文を発表しています。国際的な会議などでは、すでに「仮想通貨」という呼称は使われていません。今後、仮想通貨に対する規制や法整備などを踏まえた場合、国際的に協調した取り組みが必要になってくるでしょう。日本でも国際的な場に合わせて「暗号資産」という呼称を導入したいという意見が強くなっています。また、「暗号資産」という呼称になることで、一般的な電子マネーなどと区別することができるという点からも賛成意見が出ているのです。

4.「暗号資産」への呼称変更はすぐに行われるのか?

金融庁主催の仮想通貨交換業者などに関する研究会の会議において、認定協会から「新たに暗号資産というものができた」という誤解を与えたくないという意見が出されました。そのため、しばらくの間は「仮想通貨」という呼称を使用し続けることになったのです。金融庁のホームページにおいても、「暗号資産(いわゆる仮想通貨)」という表記になっています。2019年3月現在、「暗号資産」という呼称への移行時期は明確になっていません。しかし、トレーダーや関係者の間では、いずれ確実に「暗号資産」という呼称に変更されるという予測が有力とされています。

5.「暗号資産」となることで今後どうなるのか?

「仮想通貨」から、「暗号資産」という呼称に変更されると金融庁が発表した背景には、単純に名前を変えるという以上の意味があるのです。「暗号資産」という呼称が利用されるようになることで変わる仮想通貨の将来に関する予測について紹介します。

5-1.予想1:金融商品取引法で厳しく管理されるようになる

これまで、仮想通貨の法的な取り扱いは曖昧でした。仮想通貨の購入には決済手段として利用するというよりも、投機的な側面が強くありましたが、株やFXのような法規制は整っていなかったのです。「暗号資産」という呼称に変更した背景には、「仮想通貨をほかの金融商品同様に規制する」という目的があると言われています。海外においては、すでに仮想通貨を証券化する流れも見られているのです。日本国内でも、仮想通貨交換業者を金融商品取引法で規制する案が検討されています。今後、金融庁から証券化を認められた仮想通貨のみが取引可能になり、それ以外は売買ができなくなる可能性もあるでしょう。しかし、ルールや規制が厳格化されれば、ユーザーが安心して取引に参加できるというメリットもあります。

5-2.予想2:怪しいICOが一掃される可能性がある

仮想通貨を利用して資金を募るICO(仮想通貨の新規公開)は、新しい投資手法として注目を集めていました。これにより、多額の資金を集め、開発を進めている仮想通貨もあります。ところが、ICOを利用して資金を集め、そのまま音沙汰がなくなるという詐欺も横行してきたのです。「暗号資産」という呼称になり、金融商品取引法で管理されるようになれば、新しい仮想通貨を立ち上げる場合にも法令遵守が求められるでしょう。怪しいICOによって被害に遭う投資家が少なくなることで、取引に参加する人が増える可能性もあります。

5-3.予想3:データが価値のある「資産」として取り扱われる

これまで資産として扱われてきたものには、有価証券や不動産のような実体のあるもののほか、無形ではあるものの著作権や特許権などが含まれていました。しかし、データ自体が資産として認められる例はきわめて少なく、たとえばゲームのアイテムなどは入手にどれだけ資金が必要でも資産として扱われなかったのです。しかし、「暗号資産」は、「ブロックチェーンを通じてやり取りされる価値や権利の記録情報」を指す言葉になると予想されています。つまり、ブロックチェーンの暗号技術で価値が保証される個人情報やゲームのアイテムなどのデータも資産として認められる可能性があるのです。

これまでゲームのアイテムなどの情報が資産として認められなかったのは、ゲームの管理者が簡単に複製したり価値を変えたりすることが可能だったためです。しかし、ブロックチェーンに記録されるデータには管理者が必要なく、書き換えがほぼ不可能だと言われています。だからこそ、ブロックチェーンに記録されたデータであれば、ゲームのアイテムであっても「価値ある資産」になる可能性があるのです。

6.「暗号資産」に呼称変更しても仮想通貨の投資価値は高いまま

「仮想通貨」を「暗号資産」という呼称に変更する背景として、法律による規制強化の流れがあると言われています。そのため、「これまでのように自由な取引ができなくなる」という懸念の声もあるのです。その一方で、しっかりとした規制が行われることで、投資家が安心して取引に参加できるようになるという展望もあります。むしろ、ICO詐欺による被害などが減少することで、仮想通貨の投資価値が上がる可能性もあるでしょう。仮想通貨の購入を検討するなら、今後の動向について注目しておくことが大切です。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン