ビットコイン先物の仕組みを解説!将来の価格を予測して取引可能

先物
ビットコイン
2021-01-13 更新

特定の金融商品について、将来の価格を予想し、期日までに売買することを約束する取引方法を「先物」と呼びます。ビットコインでも、先物取引が開始され、投資対象として注目を集めつつあります。しかし、先物取引には現物取引とは異なる難しさやリスクがあるため、実際に取引を始める場合には注意が必要です。レバレッジをかけることができる先物取引では、投資金額を上回る損失が発生してしまう可能性もあるため、資産に余裕を持って取引を行いましょう。今回は、ビットコインの先物取引の詳しい仕組みやメリット、注意点などについて解説します。

なお、DMM Bitcoinではビットコインの先物取引は取り扱っていませんので予めご了承ください。

1. ビットコイン先物とは?証拠金取引との違い

ビットコイン先物の開始は、暗号資産(仮想通貨)投資家から大きな注目を集めました。しかし、実際に取引をするためには、きちんと仕組みを理解しておく必要があります。ビットコイン先物について解説するとともに、証拠金取引との違いについても紹介していきます。

1-1.先物取引とは

先物取引とは、特定の商品に関する売買について、将来の定められた期日(決済日)までに行うことを約束する取引です。売買の価格は、約束を結んだ時点で決めるため、実際に購入する時点での価格に左右されません。現物取引と異なり、先物取引には取引を行うまでの期日が定められており、期日内であればいつでも取引を決済することが可能です。

先物取引では、取引の対象となる商品を直接売買するのではなく、取引で生じた差額のみを決済する「差金決済」で完了するものが多いと言われています。先物取引を行うには、証拠金となる資金を用意しなければなりません。証拠金を預け、レバレッジをかけることで、元手の資金を超える取引ができるようになります。

1-2.ビットコイン先物とは

ビットコイン先物は、ビットコインを対象とした先物取引です。取引をした時点で決めた価格や数量で将来の定められた期日までに、売買を約束する取引です。ビットコイン先物では、取引を行う前に証拠金を預けなければなりません。預けた証拠金に対して、レバレッジをかけることで、元手となる資金の数倍の取引を行うことができます。

1-3.ビットコイン先物とレバレッジ取引の違い

ビットコイン先物は証拠金を預けて行う取引である証拠金取引の1種です。ただし、一般にレバレッジ取引と呼ばれるものとは異なる点があります。1つ目は「取引期限(期日)の有無」です。レバレッジ取引には期日はなく、新規注文に対してどのタイミングで決済注文を行っても構いません。しかし、先物取引には取引に期日が設けられているため、期日までに必ず取引を行う必要があります。もし、期日までに取引を終了しなかった場合、強制的に精算されてしまう点に注意しましょう。

2つ目は、「取引相手と決済方法の違い」です。レバレッジ取引では、新規注文を出した場合、必ず反対売買となる決済注文を行わなければなりません。これは、レバレッジ取引では利用している業者(ビットコインの場合は暗号資産交換業者)と取引を行っているためです。しかし、ビットコイン先物では、取引相手は同じように先物取引を行う投資家になります。そのため、必ずしも決済注文を必要とはしません。「現引」「現渡」といった方法で清算を行うこともできるからです。現引は新規買い注文の内容で商品を受け取る方法であり、現渡は新規売注文の内容で保有している商品を譲渡する方法になります。

ビットコイン先物 レバレッジ取引
証拠金 暗号資産業者に預け入れる
取引期日 期日までに取引を行う必要あり 期日なし
取引相手 投資家 暗号資産交換業者
決済方法 「現引」「現渡」で清算が可能なため、
必ずしも決済注文(反対売買)は必要でない
新規注文を出した場合は
必ず決済注文(反対売買)が必要

2. 期日(決済日)があるのが特徴!ビットコイン先物の仕組み

ここまで説明したように、ビットコイン先物は、一般的な先物取引と同様に取引期日が設定されています。期日までに精算する必要があり、期日が訪れれば強制的に精算が行われるのです。ここでは、ビットコイン先物の仕組みについて、詳しく解説します。

2-1.証拠金の仕組み

ビットコイン先物で取引を行う場合、まず暗号資産交換業者に証拠金を預け入れる必要があります。証拠金は新規注文を行う前に預け入れておき、建玉(未決済注文)の維持と新規注文のために利用されるものです。必要証拠金に対する評価証拠金(預入証拠金と評価損益の合計)の割合を「証拠金維持率」と呼びます。建玉を維持するためには、一定の証拠金維持率を保たなければなりません。基準となる証拠金維持率は、利用する暗号資産交換業者によって異なります。

2-2.限月の仕組み

限月とは、ビットコイン先物において、あらかじめ定められている満期日のことです。たとえば、今週物(今週の金曜日17時満期)、来週物(今週物の1週間後が満期)、四半期物(3月・6月・9月・12月の最終金曜日が満期日)などがあります。先物取引において、満期日まで決済されなかった取引は、その時点で自動的に決済が行われます。また、満期日までに決済が行われなかった取引は、別途定められる「清算価格」によって自動精算される仕組みとなっています。満期日までの期間については、利用する暗号資産交換業者によって異なるために注意しましょう。

2-3.レバレッジの仕組み

ビットコイン先物では、レバレッジの仕組みを利用することができます。レバレッジとは、預け入れた証拠金よりも高額な取引が可能になるものです。たとえば、預入証拠金が10万円でレバレッジを4倍に設定した場合、40万円までの取引を行うことが可能になります。レバレッジ取引ではより大きな金額で取引することができるので、現物取引と比較すると得られる利益も大きくなる可能性がありますが、逆に損失も膨らみやすいというリスクがあるため注意が必要です。

2-4.追加証拠金(追証)の仕組み

ビットコイン先物では、取引を続けるためには一定の証拠金維持率を保つ必要があります。注文を出した後、ビットコインの価格変動によって含み損が発生するなどの要因で、証拠金維持率が一定水準を下回った場合、追加で証拠金を入金しなければなりません。これを「追加証拠金(追証)」と呼びます。追証が必要になったにもかかわらず、定められた期間までに入金が行われなかった場合、未決済注文はすべて強制的に決済されてしまいます。

2-5.ロスカットの仕組み

ロスカットルールとは、相場が急激に変動するなどの要因で損失が一定水準を超えた場合、自動的に建玉を決済するという仕組みです。ロスカットルールが適用されることによって、発生する損失を抑えることができます。ロスカットルールによる決済が行われるタイミングは、証拠金維持率を基準としていますが、暗号資産交換業者によって基準が異なるので注意が必要です。また、ロスカットルールが適用された場合でも、追証が求められる可能性はあります。あまりにも急激な相場変動が起こると、ロスカットが間に合わずに、証拠金を上回る損失が発生することもあるからです。

3. ビットコイン先物の価格動向を知る 資金調達率

ビットコイン先物の価格動向を知るには、スワップ手数料の一種である資金調達率(ファンディングレート)に着目するのが重要です。

資金調達率は、ビットコイン先物の保有中に毎日かかるスワップ手数料の一種で、ロングとショートのバランスを取るために設定されたポジション保有コストのことです。たとえばショートが多い局面での資金調達率はマイナスになり、ショートしているトレーダーはポジションの一部でロングのトレーダーに補償を支払うという仕組みになっています。投資家がレバレッジ取引に使っている総額にかかるもので、しかも随時変動します。そのため、しっかりと把握しておかないと大きな損失となる可能性もあるので注意が必要です。

また、資金調達率のマイナスは市場がショートポジションに、プラスは市場がロングポジションに傾いていることを示します。先物取引をする暗号資産交換業者の取引画面で知ることができます。

4.少ない資金で取引!ビットコイン先物のメリット

これまで説明してきたようにビットコイン先物は、レバレッジを利用することで実際の元手よりも大きな額の取引ができるため、少ない資金から利益を狙うことが可能です。

その他のビットコイン先物のメリットについても解説します。

4-1.少額から取引ができる

ビットコイン先物による取引では、最小発注数量が暗号資産交換業者によって異なります。なかには0.001BTCから発注できるところもあり、少額での取引も可能です。2020年10月26日時点で、1BTC=136万円程度ですから、およそ1360円の元手があれば取引ができるわけです。また、レバレッジをかければ、少額の元手でより大きな取引を行うことができます。

4-2.注文方法が選べる

ビットコイン先物は、現物取引よりも多様な取引ができるという特徴があります。相場の動きやリスクの許容度に合わせて、自分の取引スタイルから注文方法を選べるのです。たとえば、相場が下落傾向にある時に、ビットコインを保有している場合は損失が膨らんでいきます。保有するビットコインを手放して、損失を抑えることは可能ですが、利益を得ることはできません。しかし、ビットコイン先物取引では、現物取引とは異なり、暗号資産交換業者からビットコインを借りて売り注文から取引を開始することが可能です。そのため、相場が下落傾向にある場合でも売ったビットコインを「買い戻す」ことで決済ができるので、取引をした時より価格が下落したときは利益を得ることができます。また、さまざまな注文条件を組み合わせた特殊注文が可能な暗号資産交換業者もあります。「益出し」「損切り」など、新規注文の約定後に反対売買を予約する注文方法もあり、価格変動に対応した取引が可能です。

5.損失の拡大に注意!ビットコイン先物のリスク

ビットコイン先物には、現物取引にはないチャンスがあります。しかし、利益を得る可能性が高いということは、それだけ損失が大きくなる危険性もあるということです。実際に取引を始める前に、きちんとリスクについても理解しておく必要があります。

5-1.ビットコインの価格変動や流動性のリスク

ビットコインは、価格変動が激しい投資対象です。そのため、急激な相場の変化によって、大きな損失が発生する可能性があります。値動きによっては、注文が約定しなかったり予想外に不利な条件で決済されたりする可能性があるのです。価格変動や流動性のリスクは、投資額を抑えることである程度は回避できます。また、レバレッジの倍率を低くすることでもリスクを低下させることができるため、自分が許容できる損失などを考えながら投資することが大切です。

6.ビットコイン先物はリスクを理解したうえで始めよう!

ビットコイン先物は、現物取引とは異なる取引方法を選ぶこともでき、投資家にとっての新しい選択肢になっています。しかし、現物取引とは異なる点もあるので、実際にビットコイン先物で取引を始める前に、しっかりと特徴や仕組み、リスクを理解しておくことが大切です。また、最初は少額投資から始めるなど、リスク管理に意識を向けるようにしましょう。

DMM Bitcoinでは、このコラムでご紹介した「ビットコインの先物取引」は取扱っておりませんが、「レバレッジ取引」でのお取引を提供しております。DMM Bitcoinでのレバレッジ取引について興味がある方は「暗号資産(仮想通貨)取引の空売り(ショート)とは?取引方法や注意点を紹介」をご覧ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

関連記事

今、仮想通貨を始めるなら
DMMビットコイン