ビットコインの半減期とは?価格動向の予測に必須の知識

ビットコイン
半減期
2023-12-13 更新

ビットコイン(BTC)には、価格に大きく影響を与えるとされる「半減期」があります。ビットコインの価格サイクルでは、半減期の期間に合わせて最高値を更新してきており、投資家やアナリストの間でも常に話題となっています。今回は、ビットコインの半減期に関する仕組みと、価格に影響する理由なども含めて解説します。

ビットコインの基礎知識

「ビットコインの半減期」を理解するためには、ビットコインの仕組みや構造について知っておく必要があります。まずはビットコインについて、基礎的な知識を見ていきましょう。

ビットコインの発行総量は決まっている

ビットコインは「ブロックチェーン」というデジタルテクノロジーによって支えられています。分散型台帳とも呼ばれるブロックチェーンのなかに、ビットコインの全取引データが記録されており、これがビットコインの存在を保証しています。取引情報をまとめたデータの塊を「ブロック」と呼び、古いブロックに新しいブロックを鎖状につなげていくため、ブロックチェーンと呼ばれています。ブロックチェーンには、時間が経過するごとに新しい取引データが次々につながれていきます。

そして、新しい取引データを承認する作業を「マイニング(採掘)」といいます。マイニングに成功した人には、新しいビットコインが報酬として発行されます。ただし、ビットコインの発行総量は2100万枚と決まっており、それ以上は新規のビットコインは発行されない仕組みになっています。ビットコインが発行上限を迎え、新規発行が止まるのは2140年ごろとされています。

ビットコインはマイニングで発行される

ビットコインの新規発行はマイニングを通じて行われます。新たにビットコインを発行するための作業を鉱物の採掘になぞらえ「マイニング(採掘)」と呼びます。マイニングの作業を行う人は「マイナー(採掘者)」と呼ばれ、新規発行されるビットコインを目当てにマイニングを続けています。また、マイニングという作業は、ビットコインの仕組みを維持するうえで欠かせません。なぜなら、前述のようにマイニングは「ビットコインの取引データを承認する作業」でもあるからです。

新しい取引データが正当なものであると確認して承認することで、ビットコインは中央集権的な管理者不在でありながら信頼性を保っています。ビットコインの根幹を支える作業を担うからこそ、マイナーに報酬として新規発行のビットコインが支払われるのです。ただし、ビットコインの発行総量に上限がある以上、新規発行によるマイナーの報酬はいずれ尽きることになります。ビットコインが発行上限を迎え、マイニングによる報酬がなくなるのが2140年になると予測されています。

ビットコインの発行量を調整する半減期

半減期とは、マイニングによって得られる新規発行のビットコインの量が半分に減少するタイミングを指します。半減期はおよそ4年に1度訪れるようになっており、その度にマイニング報酬が半分になっていきます。「4年に1度」というのは、「ビットコインのブロックが21万ブロック生成されたとき」のことです。ビットコインのブロックは、約10分に1つ生成される仕組みになっているため、「10分×21万=およそ4年」として半減期の時期が予測されているのです。

半減期の仕組みがあるのは、ビットコインの需給バランスを調整し、価格の高騰を抑えるためだといわれています。ビットコインの発行総量に上限がある以上、発行数量が同じままだと、すぐに上限を迎えてしまいます。そうすると、ビットコインの供給が止まることになるので、需要が増加すると価格が暴騰する可能性があります。供給量を少しずつ減らすことで、発行上限達成による急激な価格高騰が起こることを防ぐ狙いがあります。

2009年に50BTCで始まったマイニング報酬ですが、2023年8月現在では6.25BTCとなっています。2024年にある次回の半減期では3.125BTCになります。

過去3回の半減期について

2009年にビットコインが開始してから、2012年、2016年、2020年と半減期はすでに3回訪れています。これから来る4回目の半減期について予測を立てるためにも、過去の半減期がどのようなものだったのかを解説します。

2012年の半減期

ビットコインが初めて半減期を迎えたのは2012年11月でした。この時にブロック報酬が50BTCから25BTCになりました。しかし、半減期が訪れてもビットコインの価格はほとんど動かず、特別な変化は起こりませんでした。これは2012年の時点で、ビットコイン取引を行っている人が少なく、認知度もそれほど高くなかったことが原因だったとされています。半減期を迎えた翌年の2013年にビットコインが値上がりしたものの、主な要因はキプロス危機の影響にあったとされており、半減期とはあまり関係がなかったとの声もあります。

(BTC/JPY価格:2012年9月〜2013年5月)

2016年の半減期

2回目の半減期を迎えたのは2016年7月でした。この時にマイニング報酬が25BTCから12.5BTCになりました。この時点ではビットコインの認知度も高まっており、取引も活発に行われていたため、値動きにも影響を与えたといわれています。半減期が訪れる直前の5月から徐々に価格が上昇し、半減期直前の6月末に急降下しました。そして半減期を迎えた後に再度価格が上昇するという値動きをしたのです。2012年の最初の半減期とは違い、2016年の半減期にはビットコインの価格が一段階上に押し上げられました。そのため、半減期が要因になって価格が上昇したと分析されています。

(BTC/JPY価格:2016年4月〜2016年12月)

2020年の半減期

3回目の半減期は2020年5月でした。この時にマイニング報酬が12.5BTCから6.25BTCになりました。2020年3月に新型コロナウイルスに起因する経済パンデミックによって、数日で価格が50%もの下落を見せますが、5月の半減期にかけてじわじわと上昇しました。半減期以前から価格は「織り込み済み」と見られていたために、半減期直後は大きな価格変動はありませんでした。しかし2020年末に前回の半減期で記録した最高値である1BTC=200万円付近を破ると、価格は一気に急騰。2021年4月に600万円の天井をつけるまで上昇を続けました。当時は機関投資家が続々と参入し、供給に対して需要が大きく増加したことが価格上昇に寄与したとみられています。

(BTC/JPY価格:2020年2月〜2021年1月)

ビットコインの半減期による影響を予測する

これまでに3度あった半減期から、半減期前後にはどのような事態が起こると想定されるのかを見ていきましょう。

半減期直前に価格の変動が起こり、半減期後に価格が上がる?

最初の半減期では値動きがほとんどありませんでしたが、2度目と3度目の半減期においては、価格の上げ下げが発生し、半減期を過ぎた後、最終的には上昇するという結果になりました。3回目では半減期前に価格が上昇しました。そのため、今後も半減期の前後に、ビットコインの価格が動き、その後、価格が上昇していく可能性があります。

これらの傾向から、半減期を迎える前にビットコインを保有しておこうと「買い注文」が増えることも予想されます。買い注文が増えることによって、半減期の1~2カ月ほど前に、ビットコインの価格が上昇する可能性もあるかもしれません。

半減期後にマイナーの売り圧力が減少する

半減期を迎えた後、ビットコインの発行量は半減します。そのため、マイナーが利益目的で市場にて売却するビットコインの量が減少すると考えられます。売り圧力が低下することで価格の上昇要因になるという予測が多いようです。ただし、半減期における価格上昇を見込んで半減期前に買い注文が増えていた場合、半減期を迎えた直後に利益確定のために売り注文が増えて一時的に価格が下がる可能性はあります。その後、半減期後に相場が安定すれば、ビットコインの価格は緩やかに上昇していくと予測されているのです。

また、これまでの半減期の傾向から、半減期後翌年の第4四半期に価格の天井を迎えています。必ずしも毎回同じ上昇が起こるとは限りませんが、暗号資産(仮想通貨)アナリストの中にはこうした動きを重視する人も多くいます。

今後の半減期の影響は?

4回目の半減期は2024年春頃とされています(2023年8月末時点)。ビットコインの普及が進んだ状況で半減期を迎える以上、価格にも少なからず影響が出るでしょう。

ただし、これまでの傾向を見ると、上昇幅は徐々に小さくなっています。2016年には約28倍だったのが、2020年には約7.7倍、現在のサイクルでは2023年8月現在で約6倍程度です。

(当社マーケットレポート「2024年のビットコイン半減期に備えて」より引用)

ただし、半減期だけをみて、価格予想をするのは避けたほうがよさそうです。半減期について世の中の認識が広まるにつれて、投資家がさらに早い段階から買いを入れることも考えられます。さらに新型コロナウイルスや各国の政治状況など、ビットコインの価格は予想できない動きに影響されます。

今後、ビットコインは半減期を繰り返し、33回目の半減期によって新規発行を終了します。この時期が120年後の2140年ごろになるといわれています。半減期を繰り返しながら新規発行量を調整することで、ビットコインの価格は安定していき、現実社会の経済を支える暗号資産(仮想通貨)として流通することが期待されています。半減期によって供給量が下がれば、それだけ希少性が増して価格も上昇するという予測もあるものの、逆に価格が安定して誰でも使用できる資産になる可能性もあるでしょう。どちらにしても、ビットコインの将来に多くの人が注目している点では変わりがないのです。

また、マイニング報酬が半減することで、採算が合わない小規模マイナーの数が減るとされています。すると、ハッシュレート(ビットコインの処理速度)が低下してしまい、価格の下落につながることがあります。しかしこれは一時的なもので、大規模なマイナーに移行することで価格変動が安定していくと予想する声もあります。

まとめ

ビットコインにとって、半減期は価格にも大きな影響を与えるイベントです。2024年に訪れるといわれている半減期に向けて、ビットコインの動向には注目しておくべきでしょう。半減期によって、ビットコインの価格が上下に変動する可能性がありますから、しっかりと情報を集めておくことが大切です。

マイニングについて興味を持たれた方は「ビットコインのマイニング(採掘)とは? 個人でのやり方や仕組みを解説」もご参照ください。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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