ビットコインキャッシュの今後はどうなる?分裂理由と将来の展望
2018年11月16日に、ビットコインキャッシュがハードフォークを行いました。これに伴い、ビットコインキャッシュは2つの仮想通貨に分裂したのです。この分裂は、ビットコインキャッシュの価格にも大きな影響を及ぼしたと言われています。今回は、ビットコインキャッシュが分裂する原因となったハードフォークの内容や、分裂に至るまでの背景について解説します。それらを把握することで、分裂後のビットコインキャッシュが持つ将来性についても見えてくるでしょう。
1. ハードフォークによるビットコインキャッシュの分裂
2018年11月16日に行われたビットコインキャッシュのハードフォークをきっかけに、ビットコインキャッシュは2つの仮想通貨に分裂しました。ここでは、「ビットコインキャッシュ」そのものと、分裂の原因になった「ハードフォーク」について解説します。
1-1. ビットコインキャッシュとは?
ビットコインキャッシュは、もともとビットコインから分裂して誕生した仮想通貨です。以前、ビットコインでは「スケーラビリティ問題」と呼ばれる取引情報の処理が遅延する状況が大きな課題になっていました。ビットコインでは新機能の実装によって問題を解決しようとしたものの、それに反発した一部のメンバーが別の方法で対応することを提案したのです。結局のところ、両者の意見は折り合いを見ないまま、ビットコインは新機能を実装するハードフォークを行いました。そして、反発したメンバーによって「ビットコインキャッシュ」が生み出されたのです。ビットコインキャッシュは、ビットコインよりも取引データを記録するブロックのサイズを大きくすることで、送金処理にかかる時間を短縮しています。また、セキュリティの強化にも力を入れているため、将来性に期待が集まる仮想通貨だと注目されているのです。
1-2. ハードフォークとは?
「ハードフォーク」とは、仮想通貨のアップデートを指す言葉です。フォークにはもともと「分岐」という意味があり、ハードフォークではアップデートによる仕様変更によって、ブロックチェーンの分岐が起こります。アップデート前の仕様を残したチェーンと、アップデート後の変更が適用された新しいチェーンの2つに分かれるわけです。この両者にそれぞれ支持者がおり、お互いに相容れないまま別の仮想通貨としてチェーンを続けていくことをハードフォークと呼びます。
仮想通貨のアップデートには、「ソフトフォーク」と呼ばれるものもあります。ソフトフォークでもブロックチェーンの分岐は起こるものの、新旧どちらか一方に支持者が集まるため、もう一方は仮想通貨として成立しなくなります。ソフトフォークもハードフォークも、仮想通貨の機能向上を目的に行われるものであり、実施される際には多くの人から注目を集めるのです。ビットコインキャッシュがビットコインから分裂したときも、機能向上を目的としたハードフォークが原因でした。そして、ビットコインキャッシュが再びハードフォークをしたことによって、さらなる機能向上が期待できると言われています。
1-3. 分裂の原因は?
ビットコインキャッシュが分裂した原因は、開発チームが複数ある点でした。ビットコインキャッシュを含め仮想通貨のなかには、いくつものチームが開発に携わるものは少なくありません。それぞれが仮想通貨の将来を考えて開発に力を注いでいるものの、チームによっては考え方や理想に違いが生まれる場合があります。ビットコインキャッシュの分裂は、開発を主導する「ABC」と「SV」という2つのチームの間に技術的・思想的な対立があったために起こりました。主流派だったABCがアップデートすると公表したところ、SVがその内容に大きく反発したのです。ABCのSEOであるジハン氏は中国人で、マイニングに莫大な投資を行って成功を収めた人物です。
その一方で、SVを率いているクレイグ氏は、「ナカモトサトシ(ビットコインの生みの親)」を自称していた過去があります。ABC側が実証しようとした「WHC」「DSV」という2つのシステムに対してSV側が反発したため、ビットコインキャッシュは分裂することになったのです。
2. 分裂後のビットコインキャッシュについて
ハードフォークを実施したことで、ビットコインキャッシュは分裂することになりました。ここからは分裂後のビットコインキャッシュについて解説します。ビットコインキャッシュから別れた2つの通貨の名称など、それぞれの取り扱われ方も含めて見ていきましょう。
2-1. ビットコインキャッシュはABCとSVに分かれる
ビットコインキャッシュはハードフォークによって「ビットコインABC」と「ビットコインSV」の2つに分かれました。ビットコインキャッシュが2つに分裂して生まれた仮想通貨であったため、価格が半分まで低下する可能性もあります。コミュニティとしてはABC支持派のほうが多く、SV支持派を上回っており、これまでのビットコインキャッシュのブロックチェーンを継承したのはビットコインABCでした。ハードフォーク前はビットコインSVのほうがハッシュレートで優勢であったものの、分岐コインになったことで徐々に劣勢に立たされています。
2-2. チェーンの利用者はハッシュウォーにより決められる
分裂前のブロックチェーンを引き継いで利用するのは、「ハッシュウォー」の勝者になると言われています。ハッシュウォーとは、マイニングによる取引情報の処理速度(ハッシュレート)を競うものであり、より速く取引情報を処理できる(チェーンを長くできる)ほうが勝利します。そして、ハッシュウォーに勝利した側が、ビットコインキャッシュのブロックチェーンを引き継ぐことになるのです。分裂した仮想通貨が必ずしもハッシュウォーを行うわけではありません。一方が分裂した側として「リプレイプロテクション(分裂前のチェーンと別物であると識別するための目印)」の機能を備えれば、それぞれが別の仮想通貨になり競う必要はないのです。
ところが、ビットコインABCとビットコインSVは、どちらもリプレイプロテクションを備えていません。そのため、ABCもSVも同じビットコインキャッシュとしてデータ上に存在することになるのです。仮想通貨の世界では、同一の仮想通貨が複数のブロックチェーンによって存在している場合、「短いチェーンのものは不正である」と判断されます。そのため、より速くチェーンを伸ばすためにハッシュレートを競うことになるわけです。支持者の数でABCが勝っていても、ハッシュウォーで負けてしまえば、ABCのチェーンが不正とみなされ消滅してしまいます。
2-3. 仮想通貨交換業者はABCのノードを使用している
仮想通貨のネットワークに接続する端末を「ノード」と呼びます。仮想通貨交換業者では、ビットコインキャッシュについて、ABCのノードを使用している状態です。これは仮想通貨交換業者がABCを支持しているからではなく、もともとビットコインキャッシュのノードがABCのタイプ以外には存在していませんでした。SVは従来のビットコインキャッシュとはノードのタイプが違うため、これまでのビットコインキャッシュのチェーンでは機能しない可能性があります。こうした点も、ABCが今までのビットコインキャッシュのブロックチェーンを引き継ぐことができた理由でもあるのです。
3. ビットコインキャッシュ分裂後の各所の対応
国内外の仮想通貨交換業者では、さまざまな対応を取っているのです。どのような対応をとっているのかを紐解いていきます。
3-1. ABCをビットコインキャッシュとして扱う
日本国内の仮想通貨交換業者の多くは、ハードフォーク実行前からABCをビットコインキャッシュの後継コインとして扱うことを告知していました。そのため、ABCのみの入庫を受け入れ、SVについては口座に反映させないという発表も行われていたのです。ABCとSVのアドレス形式は同一であるものの、SVをビットコインキャッシュとして送金した場合にトラブルが起こっても、仮想通貨交換業者は保証しないという措置を取っています。
3-2. SVは新通貨として扱う
ビットコインSVをビットコインキャッシュとは異なる新しい仮想通貨として取り扱うという対応もあります。ただし、こうした仮想通貨交換業者を利用している場合であっても、SVを送金した際の二重送金対策をしなければいけない場合もあります。ビットコインキャッシュとビットコインSVの分離作業をユーザー自身が行う必要があるわけです。しかし、ビットコインSVを新通貨として認め、取り扱っている仮想通貨交換業者は世界的にも少ない状況でもあります。
4. 分裂したビットコインキャッシュの未来は明るい?
ハードフォークを迎えたビットコインキャッシュの将来性について、さまざまな角度からその展望を探ってみましょう。今後の動向を予測できれば、ビットコインキャッシュを購入すべきなのかも判断できるようになるはずです。
4-1. 仮想通貨交換業者の展望
ビットコインキャッシュを基軸通貨とする海外の仮想通貨交換業者が現れています。中国の大手マイニングプールであるViaBTCが立ち上げた「CoinEX」や香港に拠点を置く「OKEx」などが代表例でしょう。また、Bitcoin.comのCEOであるロジャー氏も、ビットコインキャッシュを基軸とした仮想通貨交換業者を立ち上げる計画を発表しています。以前はビットコインキャッシュの取り扱いを停止する仮想通貨交換業者も多かったものの、ハードフォークが終わったことで取引を再開する動きが増えているのです。また、以前は取り扱いをしていなかった仮想通貨交換業者のなかにも、新たにビットコインキャッシュの取引に参加するところも現れています。
4-2. ABC主要メンバーの展望
ビットコインキャッシュの開発チームABCの主要メンバーであるロジャー・バー氏は、「ビットコインキャッシュこそがビットコインである」と発言しています。ロジャー氏自身も、相場が一時的に苦しくなっている点については認めているのです。しかし、仮想通貨の認知度が世界的に高まっているため、将来的な展望は明るいと自信を見せているところもあります。そして、数ある仮想通貨のなかでも、自身が開発を手掛けているビットコインキャッシュの将来性を特に強調していました。ハッキングや詐欺行為が増えている状況についても、仮想通貨の認知度を高める結果になるとして、悲観的な考えは持っていないようです。
4-3. 専門家による2019年の展望
ビットコインキャッシュの実用化に向けた動きが世界中で進んでいるため、期待感は高まったままです。2018年の仮想通貨相場は下落しているものの、2019年中にはビットコイン価格の上昇の予測もあります。そのため、ビットコインキャッシュを含めた仮想通貨全体の展望は明るいと言われているのです。
5. 分裂後もビットコインキャッシュから目が離せない!
ハードフォーク前はビットコインキャッシュに関するさまざまな憶測が流れていたものの、その後も期待感は低下せずに、価格も一定の水準を保ったままになっています。ビットコインキャッシュは将来性の高さに注目が集まっている仮想通貨でもあるのです。基軸通貨として利用する仮想通貨交換業者も現れるなど、今後の動向から目が離せないと言えるでしょう。
ビットコインキャッシュについて詳しく知りたい方は「ビットコインキャッシュの今後を予想!実用化や価格上昇は期待できる?」もご参照ください。
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