暗号資産(仮想通貨)で利益が出た場合の税金対策!納税額はどのように決まるのか

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税金対策
2024-01-20 更新

ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)は投資対象として注目が集まっています。「投資で利益を得たい」と考えている人にとって、暗号資産は魅力的に映るでしょう。しかし、暗号資産で利益が出た場合、それに伴って税金を納めなければなりません。暗号資産を通じて得る利益に対して、どのような仕組みで税が課せられるのかをしっかり理解しておくことが重要です。今回は、ビットコインなどの暗号資産の取引において税金が発生するタイミングや税額の計算方法、そして節税対策などについて解説します。

暗号資産(仮想通貨)で税金が発生するタイミングとは?

ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)に関する利益のうち、課税対象となるものの種類について理解しておきましょう。暗号資産で利益を出すといっても、その種類はさまざまです。それぞれ課税のタイミングが異なるので、あらかじめチェックしておく必要があります。

日本円に換金したとき

ビットコインなど暗号資産で利益が出る、もっとも一般的なケースが「取引」によるものでしょう。取引とはビットコインや暗号資産を購入しておき、購入額よりも高値で売れるタイミングで売却するものです。この場合、購入額と売却額の差が利益となります。ここで重要なのは、売却というのは日本円に換金することを指す点です。暗号資産交換業者から出金した時点ではなく、日本円に交換した時点で利益が確定したとみなされ課税されます。「ビットコインを売却して日本円に換金したけれど預けたままだから課税されない」というのは誤りです。

ただし、暗号資産の取引が常に利益を生むとは限りません。ときには予想が外れて損失が発生するケースもあるでしょう。同じ課税期間(1年間)に発生した利益と損失は、それぞれ相殺できます。そのため、売買の記録をしっかりと残して、購入額と売却額を把握しておくことが重要です。

暗号資産(仮想通貨)で商品を購入したとき

ビットコインなど主要な暗号資産の場合、そのまま決済手段として利用できる店舗もあります。暗号資産で決済する場合、購入に利用した暗号資産を日本円に換金した場合と同様の課税が行われる仕組みです。商品購入やサービス提供に支払ったビットコインについて、取得時の価格と、商品・サービスの日本円による価格の差が利益として課税対象になるのです。たとえば、1BTCを500万円で取得した人が1BTCで商品を購入したとします。購入された商品が520万円で販売されているものだった場合、差額となる20万円が利益とみなされ課税対象になるのです。

ほかの暗号資産(仮想通貨)に交換したとき

ビットコインをほかの暗号資産に交換した場合も、取得時と交換時の価格差が利益とみなされます。たとえば、1BTC=500万円のときに購入し、価格が520万円に上昇した時点で520万円分のイーサリアム(ETH)と交換すると差額の20万円が利益となるのです。さらに、交換先の暗号資産が値上がりして日本円へ交換したり、商品購入に利用したりするとその差額も利益として課税対象となる点に注意しておきましょう。

マイニングで報酬を得たとき

ビットコインやその他の暗号資産を取得には、購入する以外にも「マイニング(採掘)」によって手に入れる方法があります。マイニングによって暗号資産を取得する場合も課税対象になるため注意が必要です。暗号資産をマイニングで取得すると、まず取得時点での価値が利益となります。さらに、取得した暗号資産を保有し続け、価格上昇が発生した場合にも差額分の利益を得たとみなされ課税対象となるのです。暗号資産のマイニングには、専用のマシンを用意するなど、初期費用などがかかります。これらの費用と税額をあわせると、取得した暗号資産の価値を上回ってしまう場合があり、損失のほうが大きくなるというケースもあるでしょう。そのため、マイニングに参加する場合には、税金も考慮しつつ利益を出せるかを判断する必要があります。

暗号資産(仮想通貨)で利益が出た場合、原則は雑所得として申告

ビットコインを含めた暗号資産(仮想通貨)で利益を得た場合、それらは原則「雑所得」として課税対象となります。ただし、例外があります。国税庁は令和4年12月22日に「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」を改訂し、所得区分を変更しました。その年の暗号資産取引に係る収入金額が300万円を超える場合に限り、暗号資産取引に係る帳簿書類の保存がある場合は「事業所得」とし、帳簿書類の保存がない場合は「雑所得(業務に係る雑所得)」とするとしました。

なお、雑所得は一般的な給与所得や株式投資などによる所得とも異なるものであり、税率や控除の仕組みにも違いがあります。ここでは、雑所得の特徴や確定申告が必要なケース、申告の方法などを解説します。

雑所得とは

課税対象となる所得は10種類に分類されており、それぞれの種類によって税率や控除の仕組みが異なります。雑所得は、ほかの所得区分(給与所得・事業所得・利子所得など)に含まれないものです。たとえば、副収入や公的年金、作家を本業としていない人が受け取る原稿料や講演の謝金などが該当します。雑所得の税率は累進課税となっており、最高で45%(所得額が4000万円以上の場合)を税金として支払わなければなりません。

確定申告が必要なケース

ビットコインおよび暗号資産によって利益が発生したからといって、必ずしも確定申告が必要になるとは限りません。給与所得者の場合、年間でおよそ20万円以上の利益が発生すると申告を行う必要があります。給与所得者以外では、38万円以上の利益が発生していると申告が必要になるでしょう。ただし、これらはあくまでも目安です。ビットコインや暗号資産以外への投資で利益を得ていたり、給与所得以外の副業で得た所得があったりすると申告が必要な利益額が変わります。申告漏れが不安な人は、事前にきちんと専門家へ相談するなどの対策をしておくことが大切です。

確定申告のしかた

ビットコインなど暗号資産で利益が発生し、確定申告が必要となった場合はしっかりと手続きをしなければいけません。まずは、「申告書」「源泉徴収票(給与所得者の場合)」「ビットコインの取引履歴や入出庫の明細書」を用意しましょう。申告書に関しては、税務署などでもらうことができるほか、国税庁のウェブページからダウンロードして印刷することも可能です。

また、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、案内に従って指定の金額を入力していくことで申告書を作成することもできます。そして、報酬額や種目、取引先事業者名なども忘れずに記入することが大切です。完成した書類は、住所地を管轄する税務署へ持参あるいは郵送すれば申告が完了します。

マイナンバーカードとそれを読み込むカードリーダー、パソコンまたは対応するスマートフォンをお持ちであれば、自宅からでも国税庁の国税電子申告・納税システムであるe-Taxを利用してインターネットによる方法だけで申告を完了できます。

暗号資産(仮想通貨)で利益を得た場合の所得の計算方法

税額がいくらになるかを計算するためには、まず正確な所得を把握しておく必要があります。ここでは所得の計算方法を理解して、暗号資産(仮想通貨)で得た利益から税額を算出する方法を見ていきましょう。

所得の計算方法

暗号資産の利益が確定するのは、基本的に日本円に換金した場合です。逆に言えば、日本円に換金していないものに関しては、利益としてみなされず課税対象となりません。具体的な例として、「1000万円で2BTCを購入(1BTCあたり500万円で取得)し、その後1BTC=550万円に値上がりした」ケースを見ていきます。まずは、購入したビットコインのうち1BTCを550万円で売却する場合です。売却した1BTCの取得価格は500万円ですから、売却時との差額である50万円が利益になります。次は、購入したビットコインのうち0.5BTCで275万円の商品を購入した場合です。0.5BTCの取得にかかった金額は250万円になりますから、差額である25万円が利益になります。

そして、購入したビットコインのうち0.1BTCを使って、イーサリアムを1ETH購入した場合です。このケースでは、0.1BTCをその時点での価格で日本円に換金したのと同等に扱われます。0.1BTCの取得にかかった額は50万円であり、売却時の相場では0.1BTC=55万円になりますから、差額の5万円が利益とみなされます。このようにして算出された利益から、損失や経費を差し引くことで課税所得が求められるのです。

経費として認められる費用

暗号資産で利益を出した場合、その利益すべてが課税対象になるわけではありません。暗号資産で利益を出すために支払われた経費に関しては控除の対象となるため、きちんと申告するようにしましょう。経費として認められるものとしては、暗号資産取引を行うために購入した書籍類や、暗号資産に関するセミナー参加費などがあげられます。また、暗号資産取引のために購入したパソコンの代金や、取引のために利用した通信サービスの利用料なども含まれるのです。ただ、こうした経費はその証明となる領収書やレシート、支払調書などが必要になります。これらの証拠書類は、普段からきちんと保管しておくように心がけましょう。

暗号資産(仮想通貨)で発生した税金の節税対策

ビットコインや暗号資産(仮想通貨)で利益を得ると、原則は雑所得という区分で課税対象となります。雑所得は累進課税になっており、所得額が増えると税率も高くなってしまうため、節税対策について考えておくべきでしょう。ビットコインや暗号資産の利益から発生した税金の節税について解説します。

年間の利益を20万円以内に抑える

節税対策の一つとして、利益を年間20万円以内に抑えるという方法があります。給与所得者にとって、年間利益20万円が課税対象になる目安だからです。もしビットコインおよび暗号資産での利益が20万円を超えそうな場合、含み損のある暗号資産を売って損益相殺すれば、利益額を減らすことができます。あるいは、利益が20万円を超えないように暗号資産のまま保有を続けるのも良いでしょう。利益として判断されるのは、暗号資産から日本円に換金または他の暗号資産と交換したり、決済手段として利用したりした場合だけです。取得した暗号資産のまま保有しておけば、課税対象にはなりません。利益を確定するタイミングを図ることで、課税所得を20万円以内に抑えることができるのです。

事業所得として申告する

前出の通り、その年の暗号資産取引に係る収入金額(売却額)が300万円を超える場合は、暗号資産取引に係る帳簿書類を保存することで所得区分を「事業所得」とすることができます。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、事業所得の場合は法人を設立せずに個人で事業を行う個人事業主として青色申告をすることも可能です。利益が事業所得に区分されると、雑所得として扱われる場合と比較して、さまざまな優遇を受けることができます。

事業所得の場合は、ほかの所得との損益通算が可能です。雑所得では、同じく雑所得に分けられる所得としか損益通算できないものの、事業所得はそうした制限を受けないのです。事業所得では、暗号資産の取引が万が一赤字であれば給与所得等その他の所得と損益通算(相殺)できるので、確定申告により、払いすぎた所得税額(給与所得の源泉徴収税額)の一部又は全部が還付されます。

雑所得の場合は、ほかの所得と損益通算はできないので、事業所得は大きなメリットです。

また、青色申告による事業所得は損失による控除を3年間繰り越すことができます。たとえば、ある年に300万円の損失が出た場合、その後の3年間に毎年100万円の利益が出ても損益相殺で課税所得がゼロになるわけです。さらに青色申告控除という特別な控除を受けられたり、青色事業専従者として親族を従業員にすると給与を経費扱いできたりもします。

法人化して事業所得として申告する

4000万円以上の額を雑所得として申告した場合、45%の税率が課せられます。さらに、住民税も10%が課せられるため、実質的には所得に対して55%の税金が発生します。会社を興して法人の事業所得として申告すると、こうした税率を低く抑えることができます。法人の事業所得には、法人税としての税率が適用されるからです。法人の事業所得であれば、所得が800万円以上になると、法人税・法人住民税・法人事業税として約35%が課税される仕組みになっています。もし、暗号資産で4000万円の利益があった場合、個人で申告すれば55%の2200万円が税金になるものの、法人であれば税金を約1400万円に抑えられる可能性があるのです。

ただし、法人は期末時点で保有している暗号資産(自社発行による暗号資産等は除く)についての期末評価が必要になります。期末時点に保有している暗号資産の時価額が課税対象となるため、資産としての評価損益を計上することに注意してください。

まとめ

ビットコインや暗号資産(仮想通貨)を通じて利益を得た場合、税金が課せられる可能性がある点を忘れてはいけません。20万円以上の利益があると、確定申告を行う必要も出てくるため注意しておきましょう。また、納税額が大きくなりそうな場合には、早めに税金対策を行っておくことも重要です。どのような税金の納め方が最適なのか、いろいろと検討しておくことが大切だといえます。

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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