ビットコインアドレスの仕組みとは?利用時に注意すべきポイント
ビットコイン(BTC)はデジタル資産であり、実際に手で触れられる実体を持っていません。そのため、ビットコインを受け取ったり送ったりするためには、「ビットコインアドレス」を通じたデータのやりとりが必要になります。
今回は、ビットコインアドレスを取得して、ビットコインを送受信する方法やその際の注意点などを詳しく解説していきます。
ビットコインアドレスとは?
ビットコインアドレスは、ビットコインの送付先を特定するための文字列であり、例えるなら銀行の口座番号のようなものです。また、スマートフォンアプリの「ウォレット」などに組み込まれた機能を使用することで、個人情報なしで簡単にビットコインアドレスを生成することができます。
とはいえ、ビットコインを取引するための暗号資産取引所の口座開設や特定のアプリを使用する際に、個人情報を求められることがほとんどであることは知っておきましょう。
銀行口座と同様に、ビットコインを送付する場合には相手のビットコインアドレスも必要で、受け取るときには自身のビットコインアドレスが必要な仕組みです。
また、ビットコインアドレスには全ての取引履歴が永久に記録されます。そのため、海外ではマネーローンダリングにビットコインを用いられてから数年以上経過した後に、実行犯が逮捕されたというケースも珍しくありません。
ビットコインアドレスには「1」「3」「bc1」「m」または「n」から始まるものなど、種類が複数あります。
「1」から始まるのは、秘密鍵が一つ必要なアドレスです。「3」は複数の秘密鍵が必要なマルチシグを使ったものです。
「bc1」はSegwitに対応したビットコインアドレスです。Segwitとは、トランザクション情報を圧縮することでデータ量を小さくする技術です。bc1から始まるアドレスに送付する場合は、送付側もSegwitに対応したアドレスから送付する必要があります。
「m」、「n」はテスト環境で作成されたビットコインアドレスです。
ビットコインアドレスの仕組み
ビットコインの管理には、「秘密鍵」と「公開鍵」と呼ばれる2種類の鍵が利用されています。ビットコインアドレスは、2つのうちの公開鍵を利用して作られているのです。ここでは、ビットコインの送受信に深く関わっている2つの鍵について解説していきます。
秘密鍵
秘密鍵とは、ビットコインの取引における「暗証番号」の役割を果たす文字列であり、16進数の64バイト(256ビット)で生成されています。
秘密鍵があれば、その鍵と結び付いているビットコインアドレスを簡単に導き出せるため、世界中の誰にでもビットコインを引き出すことができます。そのため、秘密鍵を知られるということは資産が流出することに直結します。セキュリティを重視する場合は、ネットワークから切り離して管理するのが良いでしょう。
公開鍵
公開鍵は、秘密鍵から生成され、ビットコインアドレスの生成やビットコインの送受信に使用されます。公開鍵から秘密鍵を導き出すことはできないため、安全に公開できることが特徴です。
また、この特性を利用して、ビットコインの取引は安全性を確保しています。公開鍵を利用すると、ビットコインアドレスが生成され、他のユーザーはそのアドレスを使ってビットコインを送付することができます。
ビットコインアドレスの使用方法
ビットコインアドレスは、ビットコインの送受信の際に利用するものです。しかし、正しい方法で使用しない場合、ビットコインを失うリスクもあります。ここからは、ビットコインアドレスの基本的な使い方について詳しく見ていきましょう。
ビットコインを受け取る場合
ビットコインを受け取るときに必要となるのは、自分のビットコインアドレスです。まずビットコインを送信してくれる相手に、自分のビットコインアドレスを伝えましょう。
メールやメッセンジャーなどを利用して教えるならば、入力ミスがないようにコピー&ペーストを活用するのが便利です。モバイルウォレットを利用しているケースなら、ビットコインアドレスを二次元バーコードとして生成し、読み取ってもらうという方法もあります。
後は伝えたアドレスにビットコインを送付してもらうのを待つだけです。
ビットコインを送る場合
ビットコインを送付する場合は、受取とは逆の手順が必要です。まず、送付する相手のビットコインアドレスを教えてもらいましょう。
送付先のアドレスが1文字でも間違っていると、場合によっては送付したビットコインを喪失する可能性があるため注意が必要です。できれば、コピー&ペーストや二次元バーコードを利用して伝えてもらうのが安全です。
教えてもらったビットコインアドレスを入力してから送信すれば、ビットコインを送ることができます。アドレス入力画面は、利用するウォレットによって異なるのでよく確認しておきましょう。
ビットコインアドレスが変わる?
階層型決定性ウォレット(HDウォレット: Hierarchical Deterministic Wallet)というタイプのウォレットを使用する場合、自身のビットコインアドレスが定期的に変更されることがあります。
しかし、変更前のビットコインアドレスに対して、引き続きビットコインを送ることは可能です。
では、なぜ階層型決定性ウォレットではビットコインのアドレスを定期的に変更する仕組みが備わっているのでしょうか。
BTCの取引状況の秘匿化
その理由の一つとして「取引状況の秘匿化」が挙げられます。第一に、ビットコインアドレスから個人を特定することはできませんが、ビットコインの送信情報はブロックチェーン上ですべて公開されているため、「特定のアドレスでどのような送受信が行われたか」はすぐに確認できます。
そのため、一つのアドレスに大量のBTCを保有していることや、大量の取引を行っていることが世界中の人々に公開されています。
一方で、一定期間ごとにBTCのアドレスが定期的に変更される場合、ブロックチェーン上で複数のアドレスにまたがってBTCが保有されるため、BTCを大量に保有したり、多くの取引を行ったりする場合でも、その状況を目立たなくさせることができます。
資産流出リスクの低減
また、一つのアドレスの秘密鍵が流出してしまった場合でも、他のビットコインアドレスに保管されているBTCが流出することはありません。
とはいえ、階層型決定性ウォレット自体がハッキングされてしまった場合は、それまで変更してきたすべてのアドレスに保管されたビットコインアドレスへのアクセスが可能になってしまうため、厳重に管理する必要があるということには変わりません。
ビットコインアドレス使用上の注意点
ビットコインアドレスは、銀行の口座開設とは異なり、気軽に作成することができる反面、利用には注意すべき点があります。
送信時の間違い
ビットコインでは、実在しないアドレスにビットコインを送付しようとしても成功しない仕組みが存在しますが、だからといって仮に間違えたビットコインアドレスが本当に存在していた場合は、実際に送付されてしまいますし、それを取り戻す術はありません。
誰かにビットコインを送付する際は、細心の注意をはらいながらアドレスの入力を行いましょう。
コピペ時の確認
送付時に入力するビットコインアドレスを間違えないように、コピー&ペーストを利用する方法があります。通常であれば、これで入力ミスを防ぐことが可能です。ところが、過去には利用するパソコンがウイルス感染していたために、貼りつけたアドレスが書き換えられてしまった事例もありました。
コピー&ペーストしたアドレスだからと安心するのではなく、送付前にきちんと目視で確認することも大切でしょう。それでも不安になる場合は、二次元バーコードを利用してアドレスを伝え合う方法を選ぶという選択肢もあります。
まとめ
ビットコインアドレスの管理を徹底することは、ビットコインそのものを安全に管理することにつながります。ビットコインアドレスは、個人情報の保護やハッキングなどのリスク回避のために設計された仕組みです。
しかし、ビットコインアドレスを雑に管理してしまうと情報や資産の流出を招く危険性があることを覚えておきましょう。
また、アドレス以上に秘密鍵を知られることのリスクは大きいため、厳重に保管するように心がけることが大切です。
暗号資産のウォレットについて興味を持たれた方は「暗号資産を安全管理!ウォレットにはどのような種類がある?」もご参照ください。
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