仮想通貨にも分散投資が必要か?

分散投資
2018-10-31 更新

投資の世界において、「卵は一つのカゴに盛るな」という格言が語り継がれてきました。卵を一つのカゴに入れて保管していると、それを落とした場合にすべての殻が割れてダメになってしまう恐れがあります。

しかし、いくつかのカゴに分けて卵を保管しておけば、いずれか1つのカゴを落としてその中の卵が割れてしまったとしても、他のカゴのものは無事で損失を1つのカゴだけに抑えられるというメッセージです。投資の世界に置き換えれば、資金を特定の対象に一極集中させるのではなく、幅広く分散させてリスクを抑えるべきだと説いているわけです。

では、資産全体の運用において分散投資を実践する際に、仮想通貨はその対象の1つとなってくるのでしょうか? そして、仮想通貨への投資においても、複数のコインに分散したほうが効果的なのでしょうか? ここでは、仮想通貨と分散投資というテーマにフォーカスを当ててみます。

分散投資がもたらすメリットとは?

分散投資とは、資産運用におけるリスクを軽減するための手法です。ただ、ひょっとしたら世間では、投資の世界でよく用いられているリスクという言葉を、少々誤解しているかもしれません。

投資においては「リスク=危険」ではなく、「リスク=不確実性」を意味しているのです。たとえばリスクがゼロにほぼ等しい預貯金は確実に利息が得られるようになっています。

これに対し、仮想通貨の価格は大幅に上昇する可能性を秘めていますし、過去には実際に価格が大幅に上昇したことがあったものの、確実にそうなるということではありません。また、大幅に下落する恐れもありますが、こちらも不確実だと言えます。

つまり、リスクが高いと言われる投資対象は、不確実性が高い代わりにハイリターンを期待できるということです。逆にリスクが低ければ低いほど、収益が手元に入る可能性が高くなるものの、預貯金の利息が象徴するように、得られるものは非常に少なくなります。

話を本題に戻すと、不確実性をできるだけ軽減しつつ、全体的な収益性も確保するために行うのが分散投資です。タイプの異なるさまざまな投資対象に資金を分散することで、全体的なリスクとリターンのバランスを図ります。

たとえばどんな分散投資が効果的なのか?

では、具体的にどのような投資対象に分散するのが効果的なのでしょうか? 最も基本的なものとして挙げられるのは、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券という4つの組み合わせでしょう。

また、海外株式や海外債券を先進国のものと新興国のものに区別し、6つのカテゴリーに分散するという手法もよく用いられます。新興国株式は先進国のものと比べて値動きが大きくなりがちで、新興国債券は先進国のものよりも利回りが高いケースが多いものの、どちらも安定性に欠け、性質が異なるからです。

さらに、不動産やリート(不動産投資信託)、コモディティまで分散対象に加えるケースもあります。リートとは、不動産物件に投資して運用している投資信託の一種です。保有している不動産から得られた家賃収入を投資家に分配する仕組みになっており、比較的小口の資金で不動産投資に近い効果が得られます。

コモディティは原油のようなエネルギー、金をはじめとする貴金属、小麦などの穀物といった商品市場で取引されているものの総称です。こうして分散投資の対象が拡大傾向を示しているのは、グローバルに市場の連動性が高まって、先進国の株式が下げれば新興国にも連鎖が広がるといった傾向が顕著になってきたからです。

どれだけ分散しても、それらがほとんど同じような動きを示すのでは高い効果を期待できません。世界的に見渡せば株式と債券を運用の中核に据えている投資家が多く、それらとは異なる推移を示す傾向のある投資対象が分散投資の組み合わせとして選考されがちです。

さて、ここまで説明してきたのは、複数の投資対象に資金を分けて投じる「資産分散」と呼ばれる手法です。他にも分散投資には、資金を投入するタイミングを複数回に分けることで購入価格を平均化してリスクを軽減させる「時間分散」というアプローチもあります。

仮想通貨をはじめ、たくさんの人たちが参加してそれぞれの意向に沿って売買が行われているものはつねに価格が上下しており、不確実性が高いと言えます。そこで、投資時期を分散することで価格変動の影響を緩和するのが「時間分散」の狙いです。

「時間分散」では、ドル・コスト平均法という手法を用いるのが一般的だと言えます。これは、仮想通貨のように価格が変動するものを定期的に定額ずつ投じて購入するという投資行動のことです。一定量ではなく一定額の購入に徹することで、結果的に価格が安い局面では購入する量が増え、逆に価格が高い局面では購入する量が減るため、購入価格を平準化できます。

仮想通貨は株式などと値動きが異なるのか?

仮想通貨への投資はグローバルに拡大していますが、分散対象の一つとして明確に位置づける動きはまだうかがえません。仮想通貨も分散投資の対象と加えた場合に、目立った効果を期待できるのでしょうか?

ビットコインと米国株のこれまでの推移を比較してみると、前者の黎明期を別とすれば、大まかには同じようなトレンドを描いています。その背景には、2008年のリーマンショック以降にリスクオンとリスクオフという風潮が循環してきたことがあるのかもしれません。

リスクオンとは、積極的にリスクを取って高いリターンを追求する動きが投資家の間に広がる現象のことで、株式市場への資金流入が顕著になります。その正反対の現象がリスクオフで、地政学的リスクの高まりや金融ショックなどを受けて、投資家が比較的安全とされる債券などに資金を避難させる動きが活発化します。

ビットコインをはじめとする仮想通貨は価格の変動が大きいことから、リスクオンのモードになっている局面では注目されやすく、リスクオフになると敬遠されやすいという傾向が出てきているのかもしれません。

ただ、米国株とビットコインは同じような上下動を繰り返しているものの、多少の違いが見られることも確かです。米国株のトレンドがビットコインよりも先に転換することがあれば、逆にビットコインのほうが先駆けることもあり、大なり小なりのタイムラグが発生しています。

完全に同じ動きをしているのであれば、すでに米国株に投資している人が分散投資の効果を高めるために仮想通貨に注目するというのは、あまり意味のないことかもしれません。ただ、値動きの大きさに差があることは確かなので、米国株のような先進国株を中核に据えた運用で比較的安定的な成果をめざしつつ、資金の一部で仮想通貨のハイリターンを追求してみるのは、リスクとリターンのバランスを図ることにつながるとも言えそうです。

ちなみに、仮想通貨の価格と半導体関連企業の株価が相関関係にあるとの指摘も聞かれます。その背景には、仮想通貨のマイニング(採掘)にGPU(画像処理装置)などを通じて膨大な量の半導体が使用されていることがあります。

一方、米ドルの強さを示すドルインデックスとBTC/USDが逆相関していると分析も散見されますが、そうとは言いがたい推移を示している局面も見られます。そもそも仮想通貨は株式や債券などと同等のものではないため、並列させて相関性を検証するのは乱暴なことかもしれません。

分散投資を図るうえでは、コアとサテライトという戦略が用いられることがよくあります。先進国の株式や債券への投入資金のウエートを高くして運用のコアに位置づけたうえで、一部の資金をサテライト的に新興国株式などに振り分けて、リスクを抑えながらもハイリターンの可能性を探ってみるというものです。

先述しましたが、仮想通貨もサテライト的な位置づけで資金の一部を投じ、資産全体のリターン向上の一助となることを期待してみるのも1つの考え方かもしれません。

仮想通貨自体もいくつかに分散したほうがいい?

仮想通貨と他の資産運用との関係について考えてきましたが、ここから先は仮想通貨だけにスポットを当てたいと思います。ビットコインのみならず多彩なアルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)が登場している今、仮想通貨も複数に分散したほうがリスクとリターンのバランスを図ることができるのでしょうか?

ビットコインや主要なアルトコインのチャートを見比べてみると、いずれも大まかに似通った推移を示していることがわかります。特に急落局面ではほとんど同じタイミングになっており、連鎖売りのような現象がうかがえます。

ただ、その一方で、高値をつけるタイミングには少なからず違いが見られ、その上昇度合いや推移のシルエットもいくらか異なっています。分散投資を行っていればリスクが軽減されるのかと問えば、それは疑わしいというのが実情でしょうが、天井を打つのにタイムラグが発生していることから、仮想通貨間で乗り換えていくことにはそれなりの効用があると言えるかもしれません。

ただし、それもあくまで目先の傾向にすぎず、仮想通貨の歴史はまだそう長くないだけに、長い目で見れば一過性の現象だったという結論に辿り着く可能性も十分に考えられます。今後、仮想通貨同士の間で何らかの法則的な動きを確認できたとしても、あくまで一時的に有効なものだと割り切って参考にするのがよさそうです。

そもそも、アルトコインは主要なものを除けば時価総額や流通量が限られています。分散効果を問う以前に、知名度もさほど高くないものにまで手を広げすぎないのが賢明かもしれません。

俗に「草コイン」と呼ばれるものには、特に注意を払ったほうがよさそうです。一攫千金を期待できることを理由に一部の投資家が注目しがちですが、ギャンブル性が高いと言わざるをえないものであって、近づかないのに越したことはないでしょう。

まずは中核となる運用を確立し、仮想通貨でアクセントを!

仮想通貨は話題性が高くて価格の動きも刺激的ですが、株式や債券などの運用と同格で捉えるべきものではありません。まずは内外の株式や債券などにバランスよく分散投資し、資産運用の中核をしっかりと確立させることが先決でしょう。

将来に向けてリスクとリターンのバランスのとれた運用を進めていく体制を整えたうえで、まだ資金的に余裕があってその魅力に惹かれるなら、仮想通貨にも目を向けてみるというのが自然な考え方かと思われます。言わば、仮想通貨によってお金の運用の彩りにアクセントを加えるわけです。

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