出来高の推移は何を物語るのか?

出来高
2018-10-31 更新

チャートには仮想通貨の価格がどのように動いてきたのかが描かれていますが、その下段に視線を移すと、棒グラフの推移が示されているはずです。これが出来高(Volume)と呼ばれるもので、英語での表現からも想像できるように、どの程度の規模の取引が成立しているのかを示しています。

そして、価格だけにとどまらず、出来高の変化にも注目していれば、より的確な投資判断を下せると言われています。果たして、出来高を観察しているとどんなことがわかるのでしょうか? ここでは、その特性や分析方法について紹介します。

そもそも出来高とは何か?

出来高とは、その仮想通貨において実際に取引が成立した金額の累計を示したものです。常にほぼ一定の水準を保っているわけではなく、出来高は増えたり減ったりを繰り返しています。

出来高が多いほど売買が活発に行われていることを意味し、それだけ取引も成立しやすくなると言えます。逆に出来高が極端に減っている局面では、売買のオーダーを入れてもなかなか成立しない可能性があります。

出来高は24時間ごとの推移を比較するのが一般的で、大きな変化が見られた地点が重要なシグナルとなります。なぜなら、出来高は価格に先行して動くという傾向がうかがえるからです。

つまり、出来高が目立って変化すれば、やがて価格にも動きが見られる可能性が高いということです。出来高は価格を動かすエネルギー量を示すとも言われ、その推移を観察していれば、価格変動の予兆を迅速に捉えることができます。

また、出来高の推移には取引に参加している投資家たちの心理が反映されているとも言われます。その金額が急増するのは、より多くの投資家からのオーダーが殺到したからで、彼らをいっせいに突き動かした何らかの理由があったものと推察できます。

出来高が増えるにしても減るにしても、急激な変化は何らかの新たな展開の幕開けを告げるものだとも表現できるでしょう。そのチェックがおろそかになっていると、上昇の初動を捉え損なったり、“高値づかみ”をしてしまったりしがちです。

出来高の急増は何を暗示している?

では、出来高が急増するという現象は、価格に対してどのようなインパクトを及ぼすのでしょうか? 先にも述べたように、出来高の増加は売買が活発化していることを物語っています。

出来高の推移からは、買いと売りのどちらの意欲が勝っているのかは確認できません。しかしながら、取引がどんどん成立しているわけですから、大多数の投資家たちが同じ方向を見ていることになります。

つまり、出来高の急増は上昇もしくは下落のいずれかの方向に価格が大きく動く可能性を示唆しているのです。オーダーが続々と入って出来高が一気に増えていく初期段階では、まだ価格の方向性はつかみづらいでしょう。

しかし、もしも買いの意欲が勝っているなら、高い価格でも取引が成立していくはずでしょう。その結果、出来高の急増の直後に価格が急上昇を遂げるという展開になりがちです。

逆に売りの意欲が勝っていると安い価格でも取引が成立し、出来高の急増後に価格が下方向に動くことになるでしょう。出来高と価格の変化には、こうしたタイムラグが発生しやすくなっています。

ただ、出来高が急増したものの、それが一過性の現象にとどまった場合は要注意だと言えます。なぜなら、その後に出来高が細るとまさにエネルギー切れの状態となって、価格の上昇(下落)が長続きしないからです。

したがって、出来高が目に見えて増えた局面では、その次に記録する出来高がどの程度の水準なのかをチェックすることが肝心となります。以降も高水準を保っていれば上昇(下落)の動きが継続し、急減していれば失速すると考えたほうがよいでしょう。

特によく見られるのは、価格の上昇が過熱気味になっている局面で、さらに出来高が目立って増えるという現象です。一見、いっそう上昇するように思われますが、その舞台裏では出遅れていた投資家が焦って買いを入れる一方で、そろそろピークアウトが近いと思っている投資家は利益確定の売りを出し、その結果として出来高の増加を伴っているというパターンだったりするものです。

その後も出来高の増加を伴わなければ、いよいよその可能性が非常に高まってきます。価格が天井圏での出来高の急増は、トレンドのフィナーレを告げる合図となりうることを頭に入れておきましょう。

逆に出来高の減少は何を示唆している?

すでに触れてしまったことも多いのですが、出来高の減少は価格を動かすエネルギーが不足してきたことを意味しています。したがって、たとえ価格の上昇傾向が続いていたとしても、目に見えて出来高が減っていれば、失速する可能性は大きいと言えるでしょう。

一方で、ずっと低迷を続けてきた価格に上昇の兆しがうかがえ始めたものの、出来高がさらに減ってしまうという現象も見られます。その場合はいわゆる“売り枯れ”のパターンであるとも考えられます。

完全に売りが出尽くし、需給の改善から価格が上昇し始めたということです。こうした場面では、その後の推移を注視し、上昇が本格化するか否かを見定めたいところです。

ただし、価格変動が極めて激しい仮想通貨の場合は、出来高に関して意外な盲点があります。取引に参加する投資家が増えて売買がいっそう活発になっても、価格の上昇があまりにも急激だと出来高の増加を伴わなくなるのです。

2017年12月にビットコインの価格が250万円の史上最高価格を記録した局面でも、出来高は早くも11月でピークアウトし、12月はむしろ減少傾向を示していました。そして、大幅に減った直後に史上最高価格に達していました。

価格が高騰していく中での出来高の減少を踏まえて、早いうちに利益を確定してしまった投資家が少なくないかもしれません。結果的にその判断は性急だったということになるのでしょうが、さすがに高騰がクライマックスを迎える直前の出来高激減は警戒して損はなかったと言えるかもしれません。

いずれにしても、価格が大きく動いている局面こそ、仮想通貨の場合はこうしたトリッキーな出来高の推移に注意が必要だと言えそうです。

出来高とともに見ておくべきものとは?

出来高の推移とともにきちんと見ておきたいのは、大きな変化が起きた際に価格がいずれの水準に位置していたのかということです。上昇トレンドの序盤で発生した出来高の急増は動きが勢いづく可能性を示唆していますが、先にも述べたように、過熱感が高まってきた天井圏ではむしろ反落の恐れがあることを意味しています。

下落局面においても同様で、初期段階での出来高の増加はトレンドが加速することを暗示しています。しかし、底値圏でさらに出来高が増加すれば、まさにセリング・クライマックス(投げ売りの最終局面)で、反発に転じる可能性を考えたほうがよさそうです。

加えて、ローソク足の形状も見逃せないポイントだと言えるでしょう。たとえば、ローソク足が長い上ヒゲをつければ、いったんは買いが勢いづいて高値をつけたものの、その後は売りに押し返され気味になったことを意味しています。

これが転換点となって、以降は下落基調が鮮明になる可能性が考えられます。そこで、併せて確認しておきたいのが出来高の状況です。

もしも、ローソク足が長い上ヒゲをつけていたとしても、出来高が少なければさほど悲観的になる必要はありません。しかし、出来高の増加も伴っていたなら、売りの勢いが増している可能性があり、本格的に下落するシナリオを想定したほうがよさそうです。

なぜなら、大量の取引が成立して出来高が増加しているにもかかわらず、結局は上昇しきれなくて売り圧力に屈服した状況を物語っているからです。これに対し、長い上ヒゲでも出来高が少なかった場合は、単に上昇のエネルギーが途絶えてしまっただけかもしれません。

反対に上昇への転換を示唆する長い下ヒゲの場合は、出来高が少ないと反騰は不発に終わる可能性があります。ローソク足が長い下ヒゲの形状になって出来高の増加も伴っていれば、買いの勢力が盛り返していることが期待されます。

出来高にもトレンドが発生する!?

実は、価格だけでなく出来高の推移においても移動平均線を描くことが可能です。チャートによっては、出来高の棒グラフに重ねて2本の出来高移動平均線が曲線で描かれていることがあります。

たとえば、5日ごとの出来高の平均値を算出し、その推移をグラフ化したのが5日出来高移動平均線で、25日ごとのものが25日出来高移動平均線です。日足のチャートではこの2つの組み合わせで判断するのが一般的で、それぞれの推移を見れば、出来高のトレンドを確認できます。

しかも、通常の移動平均線と同じように、出来高移動平均線からも買いや売りのサインを察知できます。ゴールデンクロスやデッドクロスといった現象が出現するのです。

25日出来高移動平均線を5日出来高移動平均線を上抜くのがゴールデンクロスで、買いを入れるタイミングだと判断できます。反対に、25日出来高移動平均線を5日出来高移動平均線を下抜くのがデッドクロスで、こちらは売りを決断すべきポイントです。

出来高は価格に先行して動きやすいため、通常の移動平均線でゴールデンクロスやデッドクロスが発生するタイミングよりも早く反応する可能性が考えられます。逆に通常の移動平均線は価格に遅行しがちなので、これらのサインも出遅れ気味です。

出来高、価格の水準、ローソク足の形状を確認する習慣を!

これまで見てきたように、価格の変化を先取りして動きやすい出来高に注目すれば、上昇トレンドの初動にタイミングよく乗ることができたり、反落に巻き込まれずに済んだりします。ただし、出来高だけで判断するとミスジャッジとなる恐れもあるので、他の状況にもしっかりと目配りするとよいでしょう。

おさらいすると、出来高が著しく変化した局面で価格がどのような水準に位置し、ローソク足がどういった形状になっていたのかをチェックするのが基本です。「陽線で出来高増なら強い」とか、「陰線で出来高増なら弱い」などといった画一的な判定を下すのではなく、どういった展開でそのような現象を示しているのかをきちんと見極めることが重要です。

その一方で、前述したように仮想通貨の出来高は株価や為替のそれとは異なる動きを示すこともあるので、いろいろな指標を見比べて総合的に判断したほうがよさそうです。

幸い、仮想通貨では最長の歴史を誇るビットコインでも10年チャートでほぼすべての推移を振り返ることが可能です。過去における価格と出来高の推移を自分なりに検証していけば、より確度の高い推察ができるようになるかもしれません

※掲載されている内容は更新日時点の情報です。現在の情報とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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